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そのスキル危険につき〜第一騎士団公安部始動〜  作者: 風雅みずいろ


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12/15

12)同胞を助けたい

なにも考えずに飛び出したものの、ミスリル鉱山までは馬を飛ばしても3日かかるらしい。

食事に入った店で聞いた情報では山を超える必要があり、その山にブラックイーターという魔獣もでるそうだ。


「魔獣ってでかいのか?」

「なんとか逃げ延びたものによると2mくらいらしいですよ」

「まじか。飛び出した手前、このまま帰れないな」


いま出れば宿屋のあるところまで夕方にはたどり着く。

「ごちそうさま。これを交番に届けといて貰えるか」

騎士団への伝言を頼み先を急いだ。


最初の宿までは無事たどり着いたが、次の宿までの道のりで聞いたことのない叫び声を聞いた。

「うおおおおおお」

「まさか魔獣?」

馬を繋ぎ止めて周りを見回した。

木々がガサガサっと音を立てて、全身緑色のゴリラのようなケダモノが向かってくる。

実はマノンとベッカーにだいぶ鍛えてもらって、攻撃的動きを取得していた。

訓練はちょっとしたパワハラだったが役にたったと感謝して深呼吸した。


意識を集中させて剣を構える。

「メモリーファング」と叫ぶと、魔剣から青白い光を放った。

魔獣は記憶を噛み砕かれ混乱している。

その隙に胴体に切り込む。

「がああああ」


それでも魔獣はまだまだ倒れない。

今、死ぬわけにはいかないんだよ。

「メモリーディザスター」

記憶を完全に破壊されて前も後ろもわからないようだ。

最後に背中からひと突きで、魔獣はドサっと倒れ込んだ。


その後3体まとめて出現した魔獣もなんとか倒して宿にたどり着いた。

「お客さんご無事で?」

「ああ、とりあえず水もらえるか」

「前のお客さんは3名だったんで、なんとか切り抜けたようですが、よくお1人で大丈夫でしたね」

「死ぬかと思ったよ。ここは結界があるんだろ」

「はい。魔獣くらいは大丈夫なんでゆっくりやすんでください」


翌日はその3名に頼み込んで同行させてもらいミスリル鉱山に急いだ。

彼らは鉱山へ届け物をする商人と護衛2名だった。

俺の記憶を見せたら「ほぉお」とか「はぁああ」とか興奮していたのがおもしろい。


やっとミスリル鉱山に着くと全員酷い待遇で働かされていた。

薄暗い坑内につるはしを当てる音がカーンカーンと響いている。

「騎士団公安部の小早川だがここに召喚されたものがいると聞いたんだが」

「水瀬一馬(みなせかずま)のことか?この先の奥でミスリルを掘り出してるぜ」

足元の悪い中、前方へ進んだ。

「水瀬さ〜ん、水瀬さ〜ん」


知輝が叫ぶとボロボロのシャツでつるはしを振り上げていた男が振り向いた。

「あんた誰?」

「俺は小早川知輝。騎士団公安部のものだ」

「へええ、いいとこで働いてるんだな。日本人みたいだけど俺になんのよう?」

「あなたに会いにきました」


知輝は水瀬を外に連れ出して話を聞いた。

水瀬は騎士団公安部という肩書きに興味を抱いたようで

「あんた公安とかって、あっちで警察官で召喚されたのか?」

「ああ、警視庁捜査一課だけどな」

「へええ、どっかであってるかもな。俺は東京地方検察庁検事官だよ」

知輝は異世界で友達に会った気分で微笑んだ。


「どうやって召喚されて、しかも鉱山に?」

「取り調べ中にこいつぶん殴って世界の果てまで飛ばしてやろうと思ったら召喚門にいたんだ」

「ははは。俺は黙秘してるやつの記憶見たいって思ったら召喚門だよ。あんたスキル申請局には行かなかったのか?」

「行かないね。いきなり連れてこられて意味わからねーよ」

「そのまま鉱山か?」

「ゴネてたらここに連れてこられて労働の毎日さ」

水瀬は伸び切った髪をかきあげながら不貞腐れた対応をしている。

「水瀬さん、こんなとこにいちゃだめだ。俺とこの世界変えてみないか?あんたもいいスキル持ってるはずだよ」


知輝は必死で水瀬を説得した。


「急に召喚するなんて尋常じゃないけど、こちらの組織に入り込まないと変えることなんて不可能だろ」

「十分わかってるけど、納得いかねえよ。俺は断固拒否だ。」

「俺だってそうだけど、ここの領主と関わって交番も作ったし、こうして水瀬さんにも会いにこれた」

「おまえこの世界に交番作ったのか」

水瀬は意外な顔をしたあと、大笑いしている。

「わかったよ、ここにいても埒(らち)あかねえし、おまえについてってやるよ」

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