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【第二章完結】魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜  作者: 犬型大
第二章

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人か、魔物か3

「なかなか優秀な魔獣のようですね」


 様々なニオイがする。

 俺は目を閉じて鼻に集中して、ニオイを辿っていく。


『獲得:鋭い嗅覚』


「‘……なんだ?’」


 頭に声が響いた。

 次の瞬間、ピヨハンシのニオイがよりはっきりと感じ取れ始めた。


「‘ここで手をついた……’」


 ニオイの痕跡からピヨハンシの動きが分かる。

 壁にピヨハンシのニオイが強く残っている。


 手をついて立ち止まったのだ。


「‘そのまま歩いていく’」


 壁に手をついて休んだピヨハンシは再び歩き始める。

 俺はピヨハンシから殺された男の血がしていることにも気がついた。


「どこまで行くのかしらね?」


 町の中を抜けて、逆側までやってきた。


「‘ここだ……ここに入っていった’」


 俺はふと立ち止まる。

 ある家のドアの前でニオイが途切れている。


「ここ……みたいです」


「なんてことはない家に見えるな」


 俺は軽くドアから離れる。

 ともかくニオイだけを追ってきたので、どんな家なのかも分かっていなかった。


「‘普通の家?’」


 なんてことはないただの家だった。

 ここにピヨハンシが入っていったとして、何が目的なのか全く分からない。


「ここにザイハンシの家があったのか?」


「いえ、そんな情報はないですね」


 もしかしたらここはザイハンシの家なのかもしれない。

 そう思ったユベーラがボルスティのことを見る。


 しかし冒険者ギルドで調べた情報の中には、そんなものなかったようだ。


「…………ミャルエスカ、大地の記憶だ。範囲を絞ってこのドアの前だけ見せてくれ」


 なぜ来たのか俺たちに分からずとも、ピヨハンシには何か理由があるのかもしれない。

 どっちにしろ来ているか来ていないかは確かめてしまえばいいのだ。


 ここに来たというのならドアの前に立った、ということになる。

 ミャルエスカとポップンが大地の記憶を発動させる。


 これまでピヨハンシを追いかけられるように、比較的広い範囲を指定して大地の記憶を使っていた。

 今はピヨハンシが入っていったと思われる家のドア前だけに範囲を絞る。


「‘逆再生の動画を見てるようだな’」


 ドアの前を通ったと思われる人が逆に歩いていく。

 家の前ギリギリを通る人もそんなに多くはないのか、人が入ってくることは少ない。


 今のところ周りから特に注目されていることはない。


「止めろ!」


 ドアから人が後ろ向きに出てくる。

 逆再生で出てきたということは、ドアの中に入っていった人がいるということ。


「ザイハンシだ……」


 出てきた幻影の顔を確認する。

 片目を閉じた人相の悪い男は確かにザイハンシであった。


 見つけた。

 俺の心臓が大きく跳ねる。


 もうコイツの面を見るのは飽きた。

 いい加減終わりにしたいものだ。


「ふっ、いい鼻をしているな」 

 

 寡黙なラグルドが俺を見て、僅かに微笑む。


「……ザイハンシが出た様子はない。ここにいる可能性が高いな」


 大地の記憶ではザイハンシが入る様子しか見えない。

 ということはまだ中にいる可能性も高い。


「しかしここに長居しすぎたな。一度撤退するぞ」


 何の変哲もない家の前に怪しい男たちがずっと立っていれば訝しむ人も出てくる。

 旅の疲れもあれば、周りの環境も分からない。


 事を急いで仕損じることはなく、ユベーラはしっかりと準備することを選択した。


「……流石ですね、ラクさん!」


 ようやくザイハンシに追いついた。

 クリアスは自慢げな顔をして俺の頭を撫でる。


「あっ、ごめんなさい……」


「尻尾振ってるしいいんじゃないの?」


 無意識での撫でだったらしく、クリアスはすぐに手を引っ込める。

 俺としては別に撫でられてもいいんだけど、ぐらいに思っていた。


 しかし俺の尻尾は左右に振られていた。


「‘こいつ……!’」


 俺は自分の尻尾を掴んで止める。


「ふふ、嫌じゃないなら。頑張りました」


「‘くっ……’」


「ふん……いい関係だね」


 きっとこの体は人に撫でられるのが好きなんだ。

 撫でられても悪い気はしない。


「ボルスティ、監視を。俺たちは宿を探してから作戦を練るぞ」


 ユベーラは素早く指示を出す。

 復讐の時も近いのかもしれない。


 もしかしたら復讐をしてやれる喜びからかもしれないと思いながら、俺は尻尾を押さえつけていたのだった。

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