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【第二章完結】魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜  作者: 犬型大
第二章

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ザイハンシの行方3

「ザイハンシと戦った正確な場所を知りたい。案内をしてほしいんだ」


「……その後、追跡していくんですか?」


「その通りだ」


 またしても都合のいい存在にしてくれそうだなと俺は感じていた。

 ザイハンシと戦った場所まで案内したら、はいそれまでとなりそうな会話の雰囲気がある。


 クリアスもなんとなくそんな雰囲気を感じているようだ。


「……私も連れて行ってもらえませんか?」


「何?」


「‘おっ?’」


 一度悩むようにうつむいたクリアスは、覚悟を決めたような顔をしてユベーラの目を見つめる。

 連れて行ってほしい。


 俺としても同じことを考えていたのだけど、まさかクリアスからそんなことを言い出すのは少し驚きだった。


「ザイハンシさん……あの人には私の大切な仲間がやられました。決して許せません」


 戦いに首を突っ込んだのは俺たちであるが、ヘルンがやられたということに変わりはない。

 復讐に囚われるのは良くないが、ちゃんとヘルンのために何かできることはないかと考えていてくれたのだ。


「……ふむ」


 ユベーラは腕を組んで考え込む。

 別に大切な仲間が何なのか言ってないので、もしかしたら人を殺されたと解釈している可能性もある。


 俺は訂正できないし、できたとしてもするつもりはない。

 勘違いを利用できるならその方がいい。


「そうだな……」


 ユベーラが俺のことを値踏みするようにチラリと見た。


「自分の身は自分で守れるな?」


「……はい!」


 クリアスはしっかりと頷いて返事する。


「まあ、その魔獣なら多少は戦えそうだしな」


 ユベーラの呟きはクリアスには聞こえず、ミミのいい俺だけに聞こえていた。

 クリアスを信用してということではなく、先ほどベアラステに怯まなかった俺が評価されたらしい。


 少なくともクリアス守って逃げてやるぐらいはするつもりだ。


「いざとなったらすぐに逃げてくれ。追跡はいつまでかかるか分からない。旅の準備をして明日、ここにまた来てほしい」


「明日ですね。わかりました」


「ちゃんと手伝ってくれれば謝礼もする。急ぎの話で悪いけれど、頼んだよ」


「無理なお願い聞いていただき、ありがとうございます」


 クリアスが頭を下げる。

 最近ちょっとした強かさも身につけてきたみたい。


 頭は良いけど世間知らず感のあるお嬢様だったのが、成長したものだ。

 元より芯の強さはあるから、世の中の渡り方を覚えれば強い子にはなれると思っていた。


 強くなったからと純真さが失われるでもない。


「‘うんうん、良い感じだ’」


 旅を続けていくなら強くならねばならない。

 良い女というやつになってきたのではないかと俺はニヤリとしてしまう。


「俺がついていくと目立ってしまうからな。このまま帰って準備をするといい」


 デカいクマを連れた強そうな奴がいたら嫌でも目を引く。

 実力もないのに目立っていいことなどない。


 俺たちはユベーラと別れて部屋を出る。

 階段を降りる相変わらずベアラステが降りたところにちょこんと座っている。


 ベアラステを見て一つ学びがあった。


「‘あんまりデカい魔物になると色々大変そうだな’」


 魔物ってやつは強いほどにデカい傾向にある。

 あくまで傾向なので一概には言えないが、あんまりデカいと外はともかく建物の中なんかだと窮屈そう。


 強くなるのはいいけれど、デカくて目を引き、室内で活動しにくいのは困る。

 合成先の魔物を選べるのだとしたら、あまりデカすぎるのは避けた方がいいかもしれない。


「‘ただまあ……デカいと強そうでいいよな’」


 見た目で相手を威圧できるのは大きな強みにもなる。

 バランスが難しい。


「‘……いや、人に戻ればいいんだよな’」


 次も魔物になることを自然と考えている。

 そうならずに人に戻ったっていいはずだ。


 魔物である自分のことを受け入れていることに、ほんの少しの危機感を俺は覚えたのだった。

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