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【第二章完結】魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜  作者: 犬型大
第二章

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ザイハンシの行方2

「俺も聞いた話だからよくは知らないけど、鳥みたいな魔物だとさ」


「まあ、新しい魔物が出ることなんて時々あるだろ。誰かそこらでのたれ死んだんだろ」


 不穏な新しい鳥みたいな魔物の話。

 コカピヨスのことかもしれない、と俺は思った。


 ただこの世界は合成というものがあって、時に見知らぬ魔物も生まれうる。

 知らない魔物が出たという話も、合成した魔獣が自由になって暴れているからだと焦るような話でもないのだ。


「‘しかし動くにゃ情報も少ないな……’」


 それっぽいが、それだけでコカピヨスだと判断するにも弱い。


「‘それにコカピヨスが暴れてるってことは……ザイハンシは死んだのか?’」


 もう男たちは別の話に移っている。

 他には西の方の魔物について話しているような人もいない。


「もういいんですか?」


 話が聞けないなら、酒臭い冒険者ギルドにいる理由はない。

 俺たちは冒険者ギルドを出る。


「‘どうすっかな……’」


 西の方にいるかもしれない。

 ただクリアスはその話を聞いていなかった。


 ぼやっと西の方とやらに誘導するのも難しい。


「‘死んでんならいいんだけどなぁ……’」


 ーーーーー


「君がクリアスさんだね?」


 なかなか有力な情報もなくて数日が経ってしまった。

 冒険者ギルドに行って、何か情報はないかと魔物の討伐依頼や賞金首の掲示板を見るもザイハンシに関わって特に更新された情報もない。


 冒険者ギルドを出ようとしたクリアスに話しかけてくる男がいた。


「はい、そうですけど……」


 クリアスも知らない相手のようで、少し警戒したような顔をしている。


「そう警戒しなくていい。俺はユベーラ。冒険者ギルドの職員だ」


「‘こいつ……強いな’」


 金髪にグリーンの目をした長身の男はユベーラと名乗り、クマのような魔物を連れている。

 せっかく人と同じぐらいになったのに、クマには流石に勝てない。


 ジッと見下ろされて俺は思わず恐怖に近いものを感じてしまう。

 それにユベーラ本人もただならぬ気配を放っている。


 魔物としての本能がユベーラは強いと告げていた。


「なかなか勇敢な魔獣だな? ベアラステを見て逃げ出さないなんてな」


 ユベーラは俺のことを見た。

 ギルドにいる冒険者が連れている魔獣はクマからできるだけ離れようとしている。

 

 俺も離れたくはあるが、そこらの魔獣と一緒にされては困る。

 クリアスの後ろに隠れような真似もしない。


「……なんのご用でしょうか?」


「ああ、すまない。君に一つお願いしたいことがあるんだ」


「お願い……ですか?」


 クリアスはやや怪訝そうな顔をする。

 ベアラステのせいで明らかに冒険者ギルドの中で目立ってしまっている。


 クリアスもあまり注目されるのは好きじゃない。

 いきなり現れた男にお願いしたいことがあると言われても、警戒するのは普通のことだ。


「ザイハンシ……彼を探すのを手伝ってほしいのだ」


「ザイハンシ……!」


 俺とクリアスは顔を見合わせる。

 流石にその名前を出されたら話を聞かないわけにはいかない。


「どうだ? 話を聞く気になったか?」


「……はい」


「では、場所を変えよう」


 ユベーラについていく。

 冒険者ギルドのカウンターの奥に入り、そのまま二階に上がっていく。


 冒険者ギルドの職員と言っていたが本当のようである。

 ただベアラステはデカくて階段ギリギリなので、一緒に二階に上がらず階段横に座り込んでいた


 座るとちょっとマスコットみたいで可愛い。


「座ってくれ」


 案内されたのは冒険者ギルドの会議室のような部屋だった。

 クリアスとユベーラが対面するように座り、俺はクリアスの隣に座る。


 座るのか、というような視線を向けられた気はするが、床に座るつもりはない。


「俺は冒険者ギルドで犯罪者を行う部署にいる。先日、ケットとエルパーという職員に会っただろう? 彼らも同じ部署だった」


 隠密活動で香水つけるマヌケとはかなり質的に違いそうだが、やっている仕事は同じなのだろう。

 つまりザイハンシやキツソウのような犯罪者を追いかけている。


 俺がユベーラから感じる強さから見るに、冒険者ギルドの方も本気になったようだ。


「ザイハンシとの戦いの状況は聞いている。突如巨大化した異常な魔物……非常に危険性が高いと考えている」


 この世界であっても、ヒヨコがデカいコカトリスになるのは普通のことではないらしい。


「ザイハンシ、およびその魔獣の討伐を考えているが、今どこにいるか分からない」


「……私たちも分かりませんよ?」


 分かっていたら今頃追いかけている。

 何も分からないから手をこまねいているのだ。


「それは承知している。だが少し協力があれば追跡することは可能だ」


「……何をすればいいんですか?」


「ザイハンシと戦った正確な場所を教えてほしい」


「……それだけで、いいんですか? 他にも生きてらっしゃる方がいたような……」


 クリアスは驚いた顔をする。

 あの時の戦いで俺たちの他に二人ぐらい生きていた奴がいる。


 なぜそちらではなく、クリアスに協力を要請するのか不思議だ。


「……一人は石化のブレスを食らっていて今治療中だ。もう一人は……精神的に参ってしまってな」


 ユベーラは深いため息をつく。

 どうやら残っていた二人も全く無事というわけではなさそうだ。


 仲間が目の前で死んでいく凄惨な現場は心に大きな負担をかける。

 病んでしまってもおかしくない。

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