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【第二章完結】魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜  作者: 犬型大
第二章

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ザイハンシの行方1

「‘こりゃひどいな’」


 俺たちはメルドランギルドを見にきた。

 エルパーは死んだ。


 そして話に聞いたところによるとケットも死んでしまったらしい。

 ザイハンシ、またはキツソウに関して繋がっていた二人が死んでしまって状況もいまいち分からない状態であった。


 ケットはメルドランギルドにいたキツソウを逮捕しに行った。

 死んだということはキツソウを取り逃したのだろうと推測することができる。


「建物が跡形もなくなってますね……」


 何かないかなととりあえずメルドランギルドの建物があったところまで来たのだけど、ひどいと言わざるを得ないような状態だった。

 メルドランギルドの周辺はロープが張られて、立ち入り禁止にされている。


 冒険者ギルドの人が立ってしっかりと監視までしている。

 そしてそんな規制の奥には崩壊した建物が見えている。


 メルドランギルドの立派な建物があったはずなのだけど、今はただの瓦礫の山となってしまっていた。


「‘血の臭いがするな……’」


 メルドランギルドの方から風が吹くとうっすら血の臭いが漂ってくる。

 この体、嗅覚的にはウルフとそう変わらなくて優れている。


 見た目には分からずとも臭いで分かる激しい戦いの痕跡。

 この感じだと多くの人が死んだようだ。


「‘入ることできないんじゃどうしようもないな’」


 入ったところで瓦礫の山になった状態じゃ何もなさそうだけど、今は入ることもできない。

 しかしどう戦ったら建物が全壊するのか。


 キツソウが関わっていると知っている俺たちでも疑問なのに、何も知らずにいる近所の人たちは余計に不安そう。


「‘だが俺たちはキツソウのことを侮っていたのかもしれないな’」


 もしかしたらコカピヨスみたいな化け物がいたのかもしれない。

 あるいはキツソウが建物を吹き飛ばすほどの力を秘めていたか。


 細身で不健康そうな科学者なんて簡単に倒せるだろう。

 そんな風に思っていた。


 だがキツソウという存在を軽く見過ぎていたかもしれない。

 被害に遭った冒険者たちには悪いが、キツソウの方に行かなくて正解だったのかもしれない。


「‘チッ……’」


 俺たちはキツソウについてあまりに何も知らない。

 人を魔物にするマッドサイエンティストは思っていたよりもはるかに危険な存在だと考え直す必要がありそうだった。


「行きましょうか……」


 規制の向こうの廃墟を眺めていても何にもならない。

 俺たちはメルドランギルドの廃墟に背を向けて歩き出す。


「‘キツソウについてもそうだが……あいつはどうなってんだろうな……’」


 カリンのためにキツソウを追いかけることも俺たちの目標ではあるが、今はヘルンのためにザイハンシのことを追いかけるという目標もできてしまった。

 メルドランギルドの方は全滅したので、キツソウは逃げてしまったのだろう。


 そしてザイハンシの方もコカピヨスに抱えられて逃げていった。

 キツソウの状況は分からないが、ザイハンシの方は虫の息も同然だった。


 軽く小突いただけでも死にそうだったのだけど、小物の悪人ってやつは虫レベルにしぶとい。

 死んだと確認できるまでは安心できない。


「‘できれば俺の手でぶっ殺してやりたいもんだがな’」


 そこらへんでのたれ死んでいるというのならそれはそれでいい。

 そうなったらあのふざけた名前の鳥野郎も息の根を止めておきたいものである。


「‘相変わらず……だけど’」


 何か情報はないかと冒険者ギルドにやってきた。

 いつものように昼間から酒臭い。


 しかし酒を飲んでいる男たちの視線が一瞬俺に集まる。

 流石に人と同じぐらいの高さがあると少しは目立つらしい。


 ローブでも着て、顔を隠せば人っぽく振る舞うこともできるかもしれないな。

 ただ俺は別に危ない存在でもない。


 ピンクの布を巻いた可愛い魔物なので、すぐに冒険者たちは思い思いの行動に戻っていく。


「……あっ、これって」


 冒険者ギルドの掲示板の一部には賞金首となっている犯罪者の貼り紙がしてある。

 その中に真新しい賞金首が一人貼り出されていた。


「‘賞金首デビューか’」


 その貼り紙はザイハンシのものであった。

 少しばかり悪そうな顔の似顔絵付きで、賞金額もそこそこ高い。


 少なくとも冒険者ギルドはザイハンシの死を確認してはいないということだ。


「‘……キツソウもか’」


 前に貼り出されていたかどうか記憶にはないが、キツソウの懸賞金も貼り出されている。

 ただ他の国でも指名手配されているからなのか、それとも冒険者ギルドから差し向けられた相手を全滅させたからなのかザイハンシよりもゼロが一つ多い。


「ザイハンシのやつが……」


「ギルドがあんなになるなんて、なにがあったんだ……」


 俺は冒険者ギルドの雑踏に聞き耳を立てる。

 いくつかの話の中にザイハンシやメルドランギルドのものがある。


 ただどの話も噂話の域を出ない。

 何があったのかを知っているような人もいなさそうだ。


「なあ、聞いたか?」


「何をだ?」


「西の方……森を抜けたところにある草原で見たこともない魔物が出たらしい」


「‘ほう?’」


「ラクさん?」


 何もないから行こう。

 冒険者ギルドの出口に向かっていた俺はふと聞こえた話に足を止める。

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