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俺実は結構リコーダー得意。だからと言って意味はないしそう言ってみるのもただの現実逃避だったりする。

「音楽?私の目と感覚を通して選ばれた曲からこの部屋を捉えるというの?」

「ええ。その通りです。言葉って言葉にできないものを伝えるのには本当に向いていないんです。それなら、あなたが作ったものでなくても、リマさんが選んでくれた音楽からの方が部屋の雰囲気を捉えられるのです。」


そう言われてしまい途方にくれる。

彼女の力になってあげたいが、このホールを音楽で表すと…なんて難しい。

そもそもあまり詳しい方では無いし、今は触れ合う機会もないし。

「私に言われても…」とぼやきたいが、目の前の花屋さんはニコニコと私の言葉を待っている。


一息ついて、昔のことを思い出し始める。

昔…一度だけ、父に連れられてこのような場に来たことがあった。

大きなシャンデリアに金色の食器、周りの大人からはなんだかいい匂いがして、みんな私の頭を撫でてくれた。

自分もいつもは着ないような服ー紫色の肩が出たワンピースだったなーを着て、いつもだったら寝ているような時間に大人と混じって踊っていた。

なんだかその日の自分は特別な気がして、自分はもう子供じゃないんだ、って思ってたな…なんて。

ええと、その時に流れていた曲は…と、もうはるか遠くに捨て去った記憶を無理矢理に思い起こす。なんて名前だったのだろう…口ずさめば目の前の花屋は分かるだろうか。


私が、鼻歌でメロディを奏でると(きくに耐えないものだったと思う…)彼女も途中から私のメロディにぽつぽつと合わせてきた。

ぽつぽつと…というのはところどころ彼女の知っているものと自分が口ずさんでいるものが違うようで、その度に彼女は自分が歌うのをやめ、私の出方を伺っているようだった。


知っているフレーズを歌い終え、彼女に言う。


「あなたはこの曲を知っていたの?私の口ずさんだのはメロディもリズムもバラバラだっただろうにどうしてそんな私の出方を伺うようなことをしたの。

…私の歌が変で面白かったから…とか、言わないわよね??」


知ってるなら早く私にとって歌ってくれよ!!曲が分かったんなら私はもう用済みじゃないかーーっ…となれないことをさせられた反動で口には出さないものの思ってしまう。

相手の目の見えてないことをいいことに、すこしぶすくれた顔で彼女のことを睨んでしまう。


「私は別にその曲を知りたかったのでは無いのです。原曲と離れたリズムやメロディをあなたは間違いと思うかもしれませんがそれは言い換えればあなたのアレンジ、私はあなたのアレンジを楽しませてもらったのです。」


「まあ、これは曲…と言うよりもあなたのことを知るのに役立つものですが」と付け加える。

結局関係無いんじゃないか……と肩の力が抜ける。

彼女といるのはなんだか疲れる……。


「で、このホールのイメージはつかめたわけ??言っておくけど、私はこのホールに合ってるものを選べるほど曲を知らないわ。

あくまでも私が知ってるのを口ずさんだだけなのだけれど…」

「心配いりません。あなたの音楽は要は最後の確認のようなもの……ふふ。大丈夫ですよ。パーティーの時その音楽を流せば否応無しにこのホールの雰囲気はその音楽に合うものになるはずです。なら私はその音楽に合わせて花を飾るだけです。」


なるほど。ホールの方を音楽と花で雰囲気作ると言うわけか。この花屋、やるじゃない…と思う。

けれどそれなら私の意見を聞く必要はあまり無かったわけで…。口で伝えられる情報ならいくらでも伝えたのに…。

自分があまり歌に自信が無いだけに、苦手なことをやらされてすこし不服だ。




そんな私の心情を読み取ったかのごとく、彼女はなんだか愉快そうに言った。


「別に私が知りたかったのはホールの雰囲気だけではないですよ?あなたのことも知りたかったのです。今ので大分分かりました。

…リマさん、あなた結構変わったお方ですね。なんだか私と似たものを感じます。」

サブタイは一貫して「今回の話を読んだ主人公の感想」というスタンスでつけてます。(言い訳)

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