こういうことに耐性がないんだよほんと。
脳をコピーするとか、その結果として云々…といった話は俺にとって正直実感が湧かない。(その一つの理由にこの世界の医療技術が俺の元いた世界よりもはるかに進んでいるということもあると思う)
ただ、彼女がそれを怖がっており、そのせいで制度を適用できず、それゆえ彼女は全てを諦めたような表情をしていた…というのが分かった。
哲学的な問題はよく分からないが目の前の彼女をなんとかしてあげられないものだろうか。それこそ俺のワガママというものだろうか。
彼女の問題は彼女自身が一番取り組んできたはず…。それをぽっと出の俺なんかがどうこうしようなど、彼女の負担をより増やすだけなのではないだろうか。
ぐるぐると回っている今までの情報を頭の中で整理しようとするが、いかんせん慣れない情報が多い。(元々あまりこういうことが得意ではないのだ…)意味もなく考える人のポーズをとってみたりするが何も事態は進展しない。
そんな俺の様子を感じとったのか、笑顔を貼り付けていたサーシャさんは すっ、と立ち上がり
「そろそろお花たちの手入れをしなければ。ハルさん、こんな私の話を聞いてくれてありがとうございます。
ふふ。こんな話をしてしまってごめんなさい。…これも私のワガママです。誰かに知ってもらえてる、と思うだけでなんだか少し心うちが明るくなったような気がします。」
と俺に向かって言い、店の外へとかけていこうとする。
別段俺の頭の中に気の利いた言葉や言いたいことが浮かんだわけではないのだけれど、今ここで彼女に何か言わなければなんだかダメな気がして半ば無意識のうちに彼女の細い手首を掴んでしまった。
「ハルさん。」
そんな俺の行動は予想内だと彼女は向こうをむいたまま声色だけで俺に伝えてくる。
そんな彼女の様子に手首を掴む手に思わず力が入る。
「俺は、正直いろいろよく分からない。
ただ、サーシャさんにそんな全てを諦めたような顔をしてほしくない。
…サーシャさんには笑顔で花と向き合っていてほしいんです。」
たかだか数週間の付き合いなのに、何をいっているんだと彼女に思われてしまっただろうか。
何も分からないくせに…無責任なやつめ…と思われてしまったかもしれない。
それでもなんだか言わずにはいられなくて言葉を続ける。
「サーシャさんは一人じゃないです。なんかあったら俺に言ってください。」
まっすぐ彼女の方を見ながら言う。
こちらから彼女の顔を見ることは出来ない。
するり、と俺の手が彼女の手首から離れる。
彼女は小さく「ありがとうございます。」と呟くとそのまま外へと出て行ってしまった。
はっ…この後の展開は…(次話の展開なんかもう予想つきません、、?)




