ヘイそこのお前!人間一人に含まれる記憶データは脳一個分なんだぜ!!(多分)
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「そもそもなぜこの話をハルさんにしたかと言いますと、私の置かれている状況となんだか似てるな、って思ったからなんです。」
「さ、サーシャさんってサイボーグだったんですか…?」
「いえ…何故…」
驚き呆れた様子を見せつつも少し笑ってくれたので俺のボケ(わざとだ!!わざとだぞ!!)はナイスだったと言っていいだろう。
「少し似てる…というだけで違う点もかなり多いのですが…」
「サーシャさんさえよければ話してはくれないか。」
俺は彼女の閉じられた目をじっとみて言った。「もちろん、そのつもりです。」と呟くと、一回深呼吸をしてからサーシャさんは語り始めた。
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「私の出自がどうであれ、国はきちんと私のことを一国民として扱ってくれます。
その中にはもちろん障害者支援制度も入っていて、先天的に目が見えない人はその制度の対象に入っています。」
「でもサーシャさんは支援を受けていない。」
「はい。この制度、少し条件がありまして。」
やはりなんだかんだで差別があるんじゃないか…と顔をしかめる俺の雰囲気を感じ取ったのか彼女は
「いえ、理路整然としており誰もが納得できるとものだとは思います…」
と言った。
「でもサーシャさんは実際問題納得していないから今この状態になっているんじゃないの?」
「納得……はしてるんです。前にも言ったじゃないですか。私、ワガママなんです。」
彼女の一体何がワガママだというのか…。
俺はじっと彼女の次の言葉を待つ。
「ここで先ほどお話ししたことが少し関連してきます。
私の場合は移すのは新しい体ではなく、元あった体に…なんですが…。」
「いよいよ同じ人間じゃないか…そこに何の問題が…。」
そんな俺の言葉に首を少し下に傾け、彼女は言葉を続ける。
「目の手術をするために、脳を一度データ化し別の媒体でバックアップをとり、終わったらそのデータを脳に再インストールさせる……とお医者さまには言われました。」
「…データとして情報を取り出された後の脳には何が残っているんでしょうか?
別の媒体でバックアップ…って私ってそんなたくさん作りだされる存在なんでしょうか?
再インストール…ってなんなんでしょう。私の体に新しく入ってくるデータは本当に私なんでしょうか?」
「ハルさんのように、“別に同じ人間でありそれで病気が良くなるなら万々歳だ。”と考える人が実際多いのだと思います。別に私もあまり人に話す機会がないので正確なところは分かりませんが、少なくとも国はそう考えたようです。
“治せるものなのに個人の理由で治療を拒否している。そんなやつには障害者支援制度を適用することができない。”というのが国の意向です。」
「ね、。私って…ワガママでしょう?」
今までどこか俺に対して、俺の考えを見通していたり質問したり余裕があるような感じで話を進めていたがそれは彼女なりの 準備 だったのだろう。
先ほどまでの威勢はどこへやら、全てを話し終わった彼女は今まで何度か俺に見せた、あの笑顔を顔に浮かべていた。
ただいつもと違って、いつのまにか膝の上に移動させられていた彼女の手が、強く握られかすかに震えているような気がする。
俺が先ほど「同じ人間だと思う。」と言ったのはあくまでも脳をコピーされたのは俺ではなく、誰か別の人だ…と勝手に考えたからであって、いざ自分がされるとなると正直少し考えてしまう。
俺と同じように自分がそうなることなんて微塵も考えていないような人は画一的に「同じ人間だ」と思うかもしれないが、サーシャさんにとっては決して他人事ではなく自分に対して大きくのしかかった問題だったのだろう。
今でも俺はどこか自分がそうなるなんて思えなくて他人事だ。
キリが悪い気もしますが(自分がなんとなく切りたいので)ここで失礼します。
サブタイ?あれだよあれ、レモンの…




