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この世界にも猫はいた。俺はそのことが地味にかなり嬉しい。

妹と病院で会ってから数日、俺はただメイドたちが身の回りの世話をしてくれるのに任せて流されるように過ごしていた。

いろいろなことを考えるも途中で自分が自分でなくなってしまうような恐怖に行き当たり、どうしても結論が出せずにいた。

リマと何か話をしよう、と思って部屋に呼び寄せてもいざ彼女を目の前にすると何を言ってよいものか分からず、何もしないまま部屋を後にしてもらう…なんてことと何回かあった。

アニカはとても鋭くて気が回るメイドで、俺が何を気にしているのか、(異世界からやってきただなんて露にも思わないだろうが)なんとなく察してくれているようだった。

「家の中にいるのも良いですが外で気分転換をなさるのも良いと思いますよ」なんて言って近くの公園や庭園への行き方を教えてくれたが、綺麗な花をみても俺は特に何も思わなかった。


そんなある日、ふと、また街へ行ってみようと思った。

今度は一人で。何かまた新しい出会いがあるかもしれないと胸に期待を込めて。


ーーーーーー

ーーーー

ーー

この間俺とリマが行った街は“ミレッタ”という名前だそうだ。

そして今日俺が行くのは“シリリア”という街。

俺の邸はちょうど2つの街の間くらいに位置しており(若干ミレッタ寄りかな?)、シリリアへは一人で歩くのもなんだか悲しかったので車を出してもらった。

ミレッタが大きな街で街の中心部では車や馬車が絶えることなく行き交っていたのに対して、シリリアは落ち着いた感じの港町だった。

どこからとなく聞こえてくる音楽は爽やかな笛の音色と軽い弦楽器の音で構成されており、なんだか俺の足取りを軽くさせる。

建物はカラフルに彩られ、波止場には沢山の船が止まっていた。

子供達と猫が電灯の元でじゃれあってるなど微笑ましい光景がそこらかしこに広がっており、ミレッタも素晴らしいところだと思ったがここも同じくらい綺麗で素晴らしい街だと思った。

いいところだなぁぁ〜〜と思い道のど真ん中で身体を思わず伸ばすと誰かに後ろから軽くぶつかられた気がした。



ーーーーーー

ーーーー

ーー

振り返るとそこには、「あれぇ。。。?」と言いながら困ったようにしている、白い帽子をかなり深くかぶって白と黄色のワンピースを着た、大きな木箱を抱えた白髪の少女がそこにいた。


「あーっと…悪い…ここ道の真ん中だったな…」


と俺がそう言うと、ぶつかったのが何か壁だとでも思っていたのだろうか。

すごく慌てた様子で


「わわっ…ごめんなさいこちらこそっ…」


っと言った。

別に俺後ろ姿壁じゃないし…一体なんだっていうんだよ…と思ったが、よく見ると彼女は木箱を持っている手に白い杖をかけている。

もしかして目が見えないのだろうか。


この場をそそくさと荷物を持って歩き出そうとする少女の腕を思わず掴んでしまう。


「ひゃっ……」

「あ、悪い…。驚かせるつもりは無かったんだ。その、君みたいな女の子がそんな重い箱運んでいるのを見ちゃったらさ、俺、そのままに放って置けないからさ、」


慣れてないことなのでどうしても言葉がしどろもどろになってしまう…。

相手の子も困惑してしまっている…。

どうしていいかわからなくなって


「あの、俺その箱持ちます。」


そう言うと俺は彼女から木箱を持ち上げ、「行き先はどこですか」と聞いた。

いきなりのことで彼女もかなりあたふたしていたが、俺が別に危害を加えようとかそんなことは思っていないことは伝わったらしく、「…!ありがとう…ございます…」というと俺の前に立って路を歩き始めた。

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