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話しかけにくい感じだったらどうしようかと思ったけれどそんなことはない、むしろ好感度が高すぎて困惑するくらいだった

「おーにーいーちゃーーーんっ」


ぼーっとしていた俺のところに車椅子ごと少女が勢いよく突っ込んでくる。


「うぉっ……。」

「えへへへ」

「俺は生身なんだから車椅子で突進されてこられちゃたまらないな……」


「ごめんごめん。ついテンション上がっちゃった。」と彼女は笑いながら俺の右横に移動し、腰に手を回して抱きつく。

長く艶やかな黒髪を肩のところで2つに結え、白い肌と淡く紅色に染まった唇を持つ彼女はいかにも〈お嬢様〉といった感じであった。

しかし「えへへ〜」と嬉しそうに歯を見せながら頬を緩ませる彼女は、〈深窓のお嬢様〉というよりは〈おてんばお姫様〉と言った方が良さそうだ。

「マジ久しぶりすぎて〜やばい〜」「やばい無理つらい〜」なんて聞こえてきたのは気のせいだろう。

俺がどうしたものか戸惑っていると不意に、頬を俺の腰にそっと近づけ、


「お兄ちゃんも大変だったんでしょ。」


とワントーン声を低くして小声で呟いた。


「あぁ……。その、いろいろ…。」

「いいの。大丈夫だよお兄ちゃん。私は何があってもお兄ちゃんの妹だよ。」


尻すぼみになる俺の言葉に対して彼女は小声で、しかし力強く答える。

それと同時に彼女の俺の腰に回された手に力が入る。彼女の指は行き場無しに絶えず動かされている。

彼女も不安なのだ。

3人しかいない家族、自分の病気と大手術、それに事故に遭ってしまった兄。

ただでさえ自分のことで精一杯で怖かっただろうに、さらに3人しかいない家族のうちの1人が事故に遭ってしまったと聞いてどう思ったのだろうか。

俺は彼女じゃないから分からないが、俺だったらきっと相当不安になる。

彼女の指を左手で絡めとり、右手で彼女を抱きしめる。


「ありがとう。お兄ちゃん。」


彼女が俺の体に顔を触れさせ、周りの人達には見えないように顔を隠しているのを見て俺の中に言いようのない感情が生まれるのを感じた。


この感情がどういうものだか分からない。

兄としての彼女に対する思慕の念なのか、それとも妹の想いに当てられて改めて彼女の兄の‘トオル・マーケタリー’という人物について考えて思考の沼にはまって抜け出せなくなりそうな危機感なのか。

今の俺には分からない。

ただ、ただ、‘気がひける’。

申し訳なさ、やるせなさ、無力さ、…。


「…ごめん。」


今の俺にはそう言って彼女を抱きしめることしかできない。

どこまで伝わるのかは分からないが…。


ーーーーーー

ーーーー

ーー

数秒間そうしているとふいに彼女が俺の腰から手を引き、「立ち話もなんだし、お茶でも飲みながら…」こっちだよお兄ちゃん、と前にたって俺を案内する。

移動した先には大きなテーブルとふかふかの椅子、そしてテーブルの上に並べられた色とりどりのお菓子があった。(そもそも病院の個室内で 移動 ということがあまりピンとこない…)

妹は手術を終えたばかりなのでお菓子は食べられないがお茶を飲むことは可能だという。

「これが季節の、こっちがあのお店の期間限定の…」と嬉しそうに俺に説明してくれる彼女は自分が食べられないのが少し残念みたいで、一口俺が食べて「美味しい!!」と言うとなんだか物欲しそうな目でティーカップの中の紅茶を飲みながら俺のことを見てきた。


「身体の方はどうだ?」

「元気!全然元気!新しい心臓も問題ないよ!後1ヶ月もしたら退院できるって!」

「そうか…。それは良かった…。」


えへへ…と笑顔を浮かべる彼女に安心する。

とりあえず兄として、妹の体調くらいは気にしておきたいのだ。

大手術をしたというのに後1ヶ月で退院できるだなんて、ここの医療技術はすごいなぁ…と感心してしまう。

そして〈新しい心臓〉という言葉に少しひっかかる。


「心臓…はどうやって動かしているんだ?電池は何使っているの?」


永久機関でも完成させたというのだろうか?

妹の体を見る限りコードのようなものや補助具のようなものは見当たらない。


「電池?えっ…お兄ちゃん…」


俺のことを心底分からないという目で見てくる。

そんな変なこと俺は言っただろうか…、。

ここの医療技術からみるに脳死の人から臓器を提供…なんてことは少し考え辛い。妹の様子からみてもその線は薄いだろう。

そしていくらお金があるとはいえ、こんな大病院で大々的に違法に持ち込んだ臓器を移植できるわけが…とここまで考えて少し あれ、 と思う。


そういえば、そういえばだ。


心臓を取られたら人は生きていないよな…?

背筋に冷たいものが走る。

まさか…いや…ここなら、…。




妹は胸に手を当て、目を細めて優しい声で言った。



「私はあの子の分も人間として生きていく。

命を無駄にはしない。あの子は私のもとで幸せになれるの……」

ボタン1つミスったら全部消えちゃうデジタル怖いですね……

1回目に書いたやつ消えちゃってこれ書き直した回なんです…いつかまた手直しするかもです

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