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すれ違いセラミックス7



すれ違いセラミックス7






(隼人)



俺が怪我させられる事件から、約1ヶ月。


今は4月のおわり。



たまにあの時の夢を見て、気分の良くない目覚め方をすることが時折ある。


パニック発作も1回起きた。


祐人が洗濯を干している時、一人で布団の上に座っていて、

ふと、俺また発作起きたらどうしよう、またあんな苦しくなったらどうしよう、と考えてしまって、

考え出したら本当に苦しくなって、

洗濯干し終えて寝室入ってきた祐人が、

すぐに俺の片手を握って、背中をさすって、

「大丈夫、大丈夫、そばにいる」


とゆっくり繰り返して落ち着かせてくれた。


祐人は俺が最初に発作を起こしたあと、パニック発作についてどんな声かけがいいのかとか、スマホで調べていたらしい。


調べている時に、最初の時、深呼吸してって言ったのNGだった、俺間違えた、と落ち込んでいた。




2回目の発作が起きたあと、祐人はすぐに近くの心療内科を探して、行くかどうか俺に聞いた。


俺は発作のときの不安感がすごく怖くて、薬があるなら欲しいと思ったから、受診した。


毎日飲む薬と、頓服をもらった。

頓服は持ち歩いているけど使わずにいけてる。




あの日の夢を見た時や、発作が起きそうかも、と思った時は、すぐに祐人の手を握ったり、祐人のそばにいくと、落ち着いた。



普通に生活ができている。



ということでもうすぐ祐人の誕生日だ。


祐人の誕生日は5月7日。今年は日曜日か、ちょうど休みだ。



あったかくなってても、毎週日曜日が鍋の日は継続されていたが、

祐人の誕生日はなにか美味しいものを食べに行きたいな。








「ただいまー、隼人無事かー」


「どういう帰ってきかただよ、生きてるよ、おかえり」



仕事から帰って来て、お風呂のお湯のスイッチを押したところで祐人が帰ってきた。


風呂場からでると、祐人が洗面所に入ってきて


ぎゅうっと俺を抱きしめる。


「あついって」


気付けばもう暑いと感じる季節だ。



祐人が手を洗おうと床に置いた買い物袋の中を首を伸ばしてのぞく


今日の夕飯はなんだろう



なんか白い、肉とか魚のトレーは見えるけど、中身が分からない




「ぷっ、何覗いてんの、普通に見ればいいじゃん、可愛いなぁほんとに…今日は鮭買ってきた、2割引シール貼ってあったから。市販のムニエルの素まぶして焼くだけだけどいい?」



「全然好き。」





祐人が先に風呂に入る。


俺は米だけかして、スイッチ押して、待機。


祐人が風呂出たらそ俺が入る。


俺が入ってる間に祐人はご飯の用意をしてくれる。



風呂出て、洗濯を回して、ドライヤーをして

リビングへ。



「さすが俺、ちょうどもうすぐ出来る」



ローテーブルの方へ行かずに、

コンロ前にいる祐人のそばにいく。


ブロッコリーが乗ってる皿に、フライ返しを使って鮭を盛る祐人。


「ほいできた」


「ん、持ってく」


ブロッコリーと鮭の乗った皿2枚をローテーブルへ運ぶ


俺が運んでいる間に、今度は味噌汁をおたまでお椀に盛る祐人。


俺はまたそれを運んで、

もう一度戻って、

最後に白飯を運んだ。



二人でクッションチェアに座り、手を合わせる。


「いただきます」



。。。。


(祐人)



隼人ももうすっかり普通に食事できて、

家事も普通にしてる。


殴られた場所も跡がのこることなく、綺麗な肌の色に戻った。


発作もトータル2回だけでその後は起きてない。



時々やな夢みたっていって気持ち悪そうに起きてる時はあるけど、

今までの生活に戻れてよかった。




「「いただきます」」




鮭にムニエルの素まぶして焼いただけの鮭のムニエル、

冷凍ブロッコリーをレンチンしただけの付け合せ、

いつもの味噌汁。

白ご飯。



簡単すぎる料理だけど、隼人は今日も、うまいうまいと食べてくれる。



「隼人そういえばさ、うちの店に入ってきた新商品、隼人好きそうだよ」


「んー、どんなん?」


「あずきとホイップと抹茶の」


「えー食いたい」


「明日買ってくるわ」


「まじで?やったね」



何気ない平和な会話で過ぎていく時間。



あの事件が起きて以来、こういう普通の日常って、当たり前じゃないし、すごく尊いことだと思うようになった。


より、隼人のことを、隼人と一緒に過ごす時間を、愛おしく思う。








ご飯を食べ終えると、

俺は鍋とか食器とかを洗って、

隼人は洗濯を干した。


やることを終えてクッションチェアを横に並べてふたりでふぅーっと一息つく。




「祐人ー」


「んー?」


「誕生日何欲しい?何食べたい?」


「おー、俺の誕生日もーすぐかー」


「あと1週間ちょい。」



12月の隼人の誕生日、余ったロウソクをどうするか話してて、隼人が言った、来年の祐人の誕生日にでも使えばいい、って

そんな先まで一緒にいるって考えてくれてたことに嬉しく思ったけど

なんだかんだで本当に、当たり前にここまで一緒にいる。



「欲しいものなー……まぁあれだな、好きな人から欲しいプレゼントって言ったら一択だろ」



「は?」



隼人が眉間に皺を寄せた


「キース(ハート)」


「海に沈んでこい」


「ごめんごめん冗談だってー!」


キスしたいのは事実だけどね





。。。。。。。



(隼人)



「ごめんごめん冗談だってー!」



好きな人とか、キスとか……


ほんと軽く言ってくれるわ……






「あー、ものっていうかさー、デートしてーかな。クリスマスにばななの里行ったじゃん?あんな感じで、手繋いで歩けたら、最高だな」


祐人らしいかもしれない。



「出かけるのは全然いいけど、どこいく?」


「またばななの里でもいいな、昼はあそこお花畑だろ?あー……それかさ、なんか物作りたい、一緒に」



「もの……とは……??」


「んー陶芸体験とかありだなー、茶碗とか作って毎日使うのとか最高。ろくろとか高校の授業でやってたよなー」


「なつかしーな、茶碗も湯のみも作ったけど、もうやり方忘れたわ」


「なんか、皿の絵付け体験ー、とかもいいし、なんか時計とか作れるとこ前にインスタでみたけどどこだったかな…」


「ほう……陶芸体験なら、やきもの散歩道とかにあるよなたしか、散歩道手繋いで歩くデートにもなるし」


「おーアリアリ!そうしよ!茶碗作ろーぜ、お互いの作り合いっこしよーぜ」



「茶碗か……茶碗作って割れるのこえーよ、縁起悪いじゃん」



「割れないように大事にすればいいじゃん。隼人が作ってくれた茶碗なら絶対めちゃくちゃ大事にするって。それにもしも割れたりしたときはさ、また一緒に作ったらいいじゃん」



な?と言って、ニコッ!と笑う祐人に、

心臓がキュンとなった。



またそんなことを、簡単に言ってくれる……




……俺たちの関係は、焼き物みたいだ。




中学で出会って、友情を形作っていった。


土を捏ねて、成形して、乾燥させて…


素焼き。熱を持った、俺の告白。


乾燥が甘かったのか、分厚かったのか、素焼きしたら器は割れた。


気持ちが通じ合うことなく


俺たちは1度、割れてしまった。



再会したとき 「大人」というベースが作った、素焼きされた器から再び始まった俺たちの関係。


一緒に生活して、笑って、飯食って、出かけて、って、自分たちの色で彩っていった。


素焼きされた器は釉薬で綺麗な俺たちの色がついた。


それから、

祐人が俺に告白してきた。


高温でしっかり焼かれた。



今度は、割れなかった。




せっかくできたこの器を壊すのが怖くて、

大事に棚に飾ったまま、

手を伸ばせずにいる、

そんな俺を急かすこともなく、


祐人は隣で、


「使おうぜ」


と笑っている。


大事に使って、毎日使って、 もし欠けても、 もし割れても、

また一緒に作ればいいと笑う。



俺たちの関係を大事に育てよう、俺たちの関係はもう割れないし、割れたくらいでは壊れないって、そう言ってるように……






そう、


俺が告ったあと、俺たちは1度終わった。


あの日、おわった。




俺はこわい。


もう一度、おわるのが、こわい。


祐人といたい。


俺が祐人を好きだと言ったら、またおわるんじゃないか。




今のまま、大事に器を眺めるだけでもいいのかもしれない、と、まだ俺はそう思ってしまうんだ。




でも、少しづつでも、前に進みたい気持ちはある。


気持ちは、あるんだ。



「……陶芸体験、調べとくわ」



「まじで!やったね!」



「昼は散歩道で店見たりしながら散歩して陶芸体験して、夜ご飯はどっか食べに行こーぜ」




。。。。。。。


(祐人)



「夜ご飯はどっか食べに行こーぜ」



正直、焦げてようと生焼けだろうと、どんなものでもいいから隼人の作ったものがいいなぁなんて思ってしまったが、


昼間散歩道歩いたり陶芸体験したりして疲れるだろうし、食べに行った方が隼人は気持ちも楽かもと思った。


「じゃー、オシャレなフレンチとか?」


「マジで言ってる?」


「冗談だよ、ははっ、俺は隼人と誕生日にご飯食べれるならなんでもいいけど、男らしく肉料理とかかな」


「肉料理……肉料理……幅が広いな」


真剣に考えようとしてくれる隼人がたまらなく愛しい。


「なんかよさそうなとこみつけたらいくつか教えて、その中から選ぶとかにするわ」


「わかった。てかあれだよな、ゴールデンウィークの最終日?になるのか?今からでも陶芸とか予約空いてるといいけどな…」


「別に慌てなくても空いてなきゃその次の週でもいいじゃん?のんびりいこーぜ」



な?と笑ったら、


何故か少し照れた顔をした


なんでなんで??


今照れる要素あった?


可愛いからいいけどな?




てかさ、隼人って俺の事だいぶ意識してくれてるよね?


てか好きだよね?


俺がいることに安心してくれるし、

俺の事大事だって言ってくれるし

俺にそばにいろっていうし、

俺との未来考えてるし、

俺がいないの寂しいって言うし、



自惚れ?


いやいや、でも好きだよね?



茶碗割れるのこわいっていうのだってさ、

ずっと使ってたい、ってことだろ?



いや、急かす気は無い。


ていうか今こうして一緒にいるだけで本当に幸せだし、不満はないし。




「隼人ごめん、確認していい?」


「ん?」


「急かしたいとかじゃなくて、ただ単にその、気持ちの確認ていうかなんかあれでさ、ほんと確認したいだけな、」


「なにが?」



「そのー…俺らってまだ付き合ってない、であってるよな?」



隼人がピクっと反応して、

シュンッとした。



「ごめん。まだ…そこ宙ぶらりんで、ごめん」


「いやいい!全然大丈夫!確認したかっただけ。

いや不安にならなくていいからな!

俺は隼人諦めないし、だからこれからも隼人が、

祐人いないと生きてけない好き付き合ってー

ってなるように、甘やかしてくし、世話焼いてくし、気持ちいいことするし、胃袋掴んでいくから、

そんでもってお前と付き合ったとしてもそれは継続してくから、安心して欲しい」



隼人が真面目な顔して、シュンとして焦って早口でまくし立てるようになってしまった。


「ははっ、安心するってなんだよ。何も心配してねーよ」



ああ、よかった……














次の日仕事の合間の休憩中、スマホを見ると、隼人からメッセージか来てた。



『どれも行ったことない店だけど、口コミとか雰囲気とかよさそうなとこ選んでみた』


誕生日の夜ご飯の店の候補か。


店の情報のURLが3件きてる。


どれも知らない店だ。


どれも美味しそうな肉料理の写真がのってる。



これは俺たちが通ってた高校の近くだな、昔はこんな店なかったよな?新しめなんかな。

シャレた店だ


これはどこだ、ホームセンターの裏あたりか、公園のそば

そっちの道なんか行かないから知らないわなー

オシャレそうな店だな

こんなとこあるんだな


ここはー、ショッピングモールの近くか、

ここの肉はなんかアメリカンな感じだな



どこも美味しそうだ。




『どれも美味しそう。一番最初のが一番気になるかも。その次が2番目のかな』



送信して仕事に戻る。



隼人が俺のことを考えてくれてるのが嬉しい。




。。。。。。



(隼人)



仕事の昼休憩中、片手でおにぎりをたべながら、祐人の誕生日の夕飯の店をスマホで物色する。



今まで知らなかった店が色々あるな



口コミや写真、色んな情報をみて、

良さそうなところを3軒、祐人に情報を送った。


それから陶芸体験ができるとろこも探す。


結局祐人は何作りたいんだっけ、茶碗が作れるところでいいんかな



陶芸体験のページの写真に、ろくろをまわしている人の写真がのっている。


懐かしいな…


高校の授業は名前順で並んで座っていた。


たぐち、と、たけのうち、で、俺たちいつも一緒だった。



隣に座って、一緒にろくろをまわしてたな。



最初にコツを掴んだのは俺で、隣で祐人は、

前全然できねー、なんでそうなんのー、って笑ってた。

水つけすぎな上にろくろを早く回しすぎたときは、

びちゃびちゃに泥がはねて、

先生に怒られながら笑ってた。


でも、高2の秋を過ぎてからは、お互い、反対隣の友達としか話さなくなった。



また、

隣にならんでろくろをまわすなんてな……














「たでーま、たでーま祐人様のお帰りでい」


「おけーり」


風呂のお湯のスイッチ押して洗面所からでたことに祐人帰宅。


「今夜は豚の生姜焼きよ〜うふ」


「おーやったね。キャラ統一しろよ」


「ははっ、俺もうそのまま風呂するから、米だけ炊いといてくれる?」


「ん了解」




祐人の持ってたか買い物袋を受け取って、

リビングへ。


肉と千切りキャベツを冷蔵庫にいれる。

あ、プリンある。

買い物袋の中に、半額シールの貼ってあるプリンが2個はいってた。


やったねプリンだ。


それも冷蔵庫へ。


それから米を2合かして、早炊きのボタンをおす。


生姜焼きだといっぱい米たべたくなるかもしれないから2合炊いた。


余ればラップにくるんで冷凍すればいい。



祐人が風呂に入ってる間、またスマホで食べ物屋や陶芸体験について調べておく。

1週間ちょいしかないからな、早く決めて予約できるものはしとかないと。


ケーキはどうするかなー


日曜日だから、祐人は朝6時に帰ってくる、それから仮眠するだろ、いつも九時頃に起きてるから……


昼前にでかけて、やきもの散歩道のどこかで昼飯食べて、昼過ぎ、13時とか14時くらいに陶芸体験して…

ケーキを買って帰って、おやつにケーキを食べちゃうか?

で、また夜ご飯にでかける。

それかー、ケーキ買って冷蔵庫入れといて、夜ご飯の後帰ってきてケーキでもどっちでもいいな。







「隼人風呂お先ー」


「んー俺も入るわ」


スマホをテーブルに置いて俺も風呂に向かった。






。。。。。。


(祐人)


鍋はいつも通り顆粒のだしをいれて、お湯を沸かす



鍋が沸いたら、刻んで冷凍しておいた味噌汁用の野菜を鍋に。


再沸騰してから五分くらい煮て、乾燥わかめと冷凍の刻みオクラを入れて、味噌といて、味噌汁完成。


千切りキャベツの袋をあけて、

2枚の皿に半分ずつ盛る。


レシピサイトのレシピ通りに、大さじと小さじを使って

砂糖、酒、醤油、みりん、をはかって器に入れる。

そこに生姜チューブをにゅーっといれて


豚肉をフライパンで焼いていく。


片面焼けたらひっくり返して


タレをいれてタレを絡めながら焼いて




そしてー……



「いい匂いする」



隼人が風呂から出てくるーっと、



今日もナイスタイミングでいけたぜ。



「今できるからなー」












「生姜焼きって美味いよなあ、ごちそーさま」



「うまいよなー」



食器をまとめて流しに持っていく。



「あ、プリンあるわ、くう?」


「くうー!」



クッションチェアにゴローンと背中をそるように体を伸ばしながらこっちをみてる隼人。


可愛いの。



プリンふたつとスプーン2本をテーブルに持っていく。



「いぇいプリン」

「うぇいプリン」



食の好みが合うって結構大事な事だよな。


俺たちはどっちも甘いものが結構好きだし、

辛いものも好きだ。


甘いものを一緒に食べて、一緒に幸せを感じられるし、

一緒にキムチ鍋も食べれる。


辛いもの苦手だったら一緒に食えないもんな。






俺は食器や調理器具の片付けを終えて

隼人は洗濯を干して


寝る前の休憩時間だ。


食事の時はテーブルを挟んで向かい合わせに置いてあるチェアクッションを横に並べて座る。


「祐人、陶芸体験なんだけど、こことここどっちがいいと思う?」


隼人からスマホを渡される。


隼人が顔を俺に寄せて、スマホを操作して、


ここは、こうで、こっちが……と説明してくれる。




「こっちでいいんじゃね?」


「ん、じゃあ予約しとく。夜ご飯も予約しちゃっていい?」


「ああ、よろしく」



スマホを俺の手からぬきとると、真剣な表情でスマホを操作し始めた隼人。


横からそれを眺めてると、たまらなく幸せになる。


ずっと眺めていたいし、だけど思い切り抱きしめたくもなる。



「……ふっ、隼人プロデュースの誕生日、楽しみだな」



。。。。。。




「隼人プロデュースの誕生日、楽しみだな」



そう言われて、スマホから顔を上げて祐人の方をみると、

ものすごく優しそうに、幸せそうに微笑んでいて、

思わずドキッとした。



祐人は、嘘をつかなくて、正直で……

だから、この顔から溢れ出てる、幸せとか、俺への気持ちは、嘘じゃない。


本気で、おもってくれてるんだ。







ああ………嬉しいな。







だれにも、同じような目を向けて欲しくないな。






……だけど、所詮俺たちは……割れ物だ。



なにがトリガーでヒビが入って、割れるか、


だったら今のまま、触らずに置いておいた方が、きれいなままで…


だって、友達であれば、壊れるはず無かったんだから…



いや、いつか、臆病な俺に愛想をつかせて、祐人が、もういい、と、割ってしまわないだろうか…



……俺は隼人を諦めない……

……不安にならなくていい……



俺は、いつまで祐人に……




「隼人?どした?」



「え?」



「なんか顔が険しくなってったぞ」



「え、あ、いや、ごめん…」


「疲れてるか?そろそろ寝るか。な」



優しい笑顔の祐人。



もう少し、もう少しだけ…


このままで…




。。。。。。。。


(祐人)



隼人は1週間、スマホをよく見てた。


そんな必死にならなくても、とも思うけど、


素直に嬉しかった。




誕生日に日付が変わる瞬間は、夜勤で店にいた。


特に何も起きない。



けど俺は知っている、今日は最高の誕生日になることを。



ルンルンで朝6時まで仕事をして、帰宅する。



隼人を起こさないよう、家の鍵を静かに開けて

できる限り音を立てないようにドアを開け、閉める。


それから手洗いうがいして、着替えて…



リビングで横になる前に、寝室のドアをそーっと開けて隼人を確認する日課……



「え?」



隼人は布団の上に座って壁にもたれて、うと、うと、としていた。



「どした?なんで座ってんの?寝れなかった?」



慌てて近寄って、しゃがんで、肩を撫でる。



嫌な夢でも見て起きちゃったんか?



隼人はぽやんと寝ぼけた目でこっちをみあげた。



「あ、また寝ちゃったわ…おはよ、」


「お、おう、おはよ。大丈夫か?」


「誕生日おめでとう、」



はい心臓ズキュン

寝起き笑顔でいただきました



「って言おうと思って、6時に起きたんだけど…また座って寝てたわ…はは」



はい可愛い〜!


はい天使〜!


誕生日俺だけど、生まれてきてくれてありがとうあなたがね!!!





「ありがとな、隼人。もう少し寝てたらいいよ、俺も仮眠するからさ」



うん、そうする、と言って隼人は立ち上がった。


何故?Why?

そうするって聞こえたのは空耳かしら?



隼人は寝室を出てリビングにいくと、

昼寝や仮眠に枕にしてるぬいぐるみクッションをふたつ並べて置いて、

ポールハンガーからブランケットをとると、

バサッと広げて、そこに寝転んだ。


「あれ?祐人、寝ないの?」



いや寝ます。寝ますけど……


なんで今日こんな可愛いの……


なんで当たり前みたいに一緒に寝る感じなの……


嬉しいけど布団のがちゃんと寝れるよー???



と思いつつ、横に失礼して……



「祐人、九時には起こしていいか?」


「ああ、出かけるの楽しみだな」


隼人は、にこっと笑って頷いて、目を閉じた。



はー……幸せ。


寝よ。


出かけて歩いたりするしちゃんと寝とこ。














「祐人、祐人9時、」



「ん……おー………はよ」



ガッツリ寝てたわ……



トーストとコーヒーの香りがする。



体を起こして、うーんと両腕を伸ばして体をほぐす。



ローテーブルをみると、トーストとコーヒーが2つずつ並んでる。


あれ?


まって……



ローテーブルに這って近ずく……




「隼人おぉ〜〜〜はぁぁぁぁ」



……トーストにイチゴジャムがハート型に塗られていて

嬉しくて床に崩れ落ちた俺。




「なにしてんだよ、早く食えよ」



真顔で言われたので、とりあえず手を洗いに行った。


トーストの写真を撮って、幸せと甘いジャムを噛み締めた。




食べながら隼人は今日のスケジュールを教えてくれた。



11時頃に家を出る、散歩道を歩きつつ、まず目的地は、たまごサンドの店。

インスタ見てて見つけたお店らしい。

散歩道の中にあるたまごサンドの店。

俺が卵料理好きだからってここをお昼ご飯にチョイスしてくれたらしい、好き。

お昼食べたら、また散歩道の中散歩して、焼き物の店とかブラブラ見て、

14時に陶芸体験。時間は60分で、作品が2つ作れるコースで予約をしているらしい。

15時に陶芸体験が終わって、その後はケーキを買いに行く。

ケーキは前に俺がクリスマスケーキを予約していた店だ。

ケーキを買ったら家に帰って、休憩しながらケーキを食べる、もしくはケーキは夜、食事の後、その時のお腹のすき具合とかで決めよう、とのこと。

で、家でのんびり休憩したら、

18:30に予約しているディナー。

俺たちが通ってた高校の割と近くにある新しめの店だ。




改めてこんなにちゃんと考えてくれたの

ほんとに幸せ者すぎて俺心配になっちゃうわ。



「ってことだから、とりあえず出かける時間までもう少し、祐人はゆっくりしてて、もう少し寝ててもいいし。俺はちゃちゃっと掃除とかしとく」



今日くらいは甘えてみようか。


どちらかというと俺は甘やかしたい派なんだが



「いぇすさんきゅーマム」


「だれがママやねん」










今日は甘えに甘えて、運転も隼人。


目的地まで大した時間じゃないけど寝ててもいいぞ、と言われた。


隼人のおかげでぐっすり仮眠できたし、出かける前もゆっくりさせてもらったから、

普通に起きていた。


たまごサンドたのしみだなーとか、だんごもたべよー、とか話してた。




目的の駐車場に着いて、車をおりる。


今日の手荷物は小さめのボディバック、中身は財布、ハンカチ、ペットボトルのお茶1本、首からハンディファンをぶら下げている、って感じ。

隼人も同じく。


隼人が、こっち、と言うのでそっちについていく。


やきもの散歩道ってじつはかなり広いし、道も細かったり行き止まりあったりで、迷うんだよな。


着いて歩いていると、途中で隼人が立ち止まって、俺と目を合わせずに俺の方に手を伸ばしてきた。



「……繋ぐって言ってたけど、どうすんの」



だぁもうかわいい。


思わず天を仰ぎそうになった。


「つーなーぐ(ハート)へへっ」



その手をパシッとしっかり掴んで、手を繋いだ。





。。。。。。。。


(隼人)



わりと暑い。


けど、俺も、祐人も、手を離そうとしない。



首からかけて、自分の顔に風か当たるタイプのハンディファン優秀。


おかげでかなり楽。




インスタで見かけて、めちゃくちゃ美味しそうと思ったたまごサンドの店。


注文してからだし巻き玉子を焼いて、それがサンドしてあるらしい。


祐人は卵料理がすきだし、見た瞬間、これだってなった。



並んでたのは数人だったけど、注文受けてから焼くからか、予約とかもあったのか、30分ほど待った。


けど近くをうろうろして見て回ってたらあっという間だった。



商品を受け取って、

近くの座れる場所で座って箱を開ける。



「おー、うまそ!」

「な、うまそう」


ふたりで写真を撮ってから、食べる。


明太子が入っているのと、肉が入っているの、サーモンが入っているのの3種類を買った。

2切れ1セットなので、全部1切れずつシェア。




「んー、んま!」


「めっちゃうま!でもちょっとサイズちっちゃいよな」


「ははっ、たしかに。でもあとでだんご茶屋で団子食べるだろ?ちょうど良くね?」


「んー、だなー」


「まじうまいな。俺明太子いちばんかなー」


「どれも美味いなー」




食べ終えて、ゴミを捨てて、お茶をひとくち飲んだあと、また、

何も言わずお互いに手を伸ばしあった。





「あ、みて祐人、あの猫店長見習いだって」


「ガチの猫じゃん、可愛いな」


「なー」






ただ手を繋いでブラブラと歩いている

こんなのが誕生日プレゼントで本当に良いのだろうか


そう思うのに



やっぱり横にいる祐人はとびきり幸せそうで


これでいいんだなーって気になる。









少し離れたところだが、何かを建てているのか直しているのか、建物が囲われている足場が見えた。

そこから、カンカンカンとなにかの作業している割と大きな音がして

思わず体がビクついた。


足場…

大きな音…



心臓が嫌なザワつきかたをする。



こんなときに……


大丈夫、大丈夫、大丈夫大丈夫、大丈夫……



必死に唱える度に、逆に息が苦しくなってくる



繋いでいる祐人の手を、思い切りぎゅっと握った。


けどたぶん、ほとんど力ははいっていなかった。



それでも、祐人は気付いた。



すぐに近くの建物の影、日陰に移動して、俺を座らせて、

片手は俺の手を握ったまま、反対の手で俺の背中を撫でた。



こんな日に

こんなときに


申し訳ない……



「大丈夫だからな、隼人、大丈夫、俺はここにいる。……お茶飲めそうか?飲むと楽になるかもしれないけど。薬は持ってるか?」



申し訳ない……



やばい、泣きそう……




「おっ?」



祐人の服の胸あたりにしがみついて、ひっぱって、祐人の胸に顔を埋めた。



「……ごめん」



「なーにあやまってんの、大丈夫だって、」


祐人は明るくそう言って、俺を抱きしめ、頭をポンポンと撫でた。



祐人がすぐに気付いてくれたおかげで、ひどい発作ほどではなく、少し座ってたらすぐに落ち着いた。



「はぁ、ほんとごめん祐人」


「次謝ったら罰金な。なんもわるくないからな、申し訳ないとか思ったら罰金な、思ったら自己申告しろよ」


「なんだよそれ」


「ははっ分かったら続き」


ん、といって、伸ばされた手を掴んで、


また手を繋いで歩いた。







。。。。。。。。。



(祐人)



隼人は、こんなときに発作起こして申し訳ないとか、思ってるかもしれない。

だけど俺は、こんな時だろうとどんな時だろうと、

隼人がしんどいとき、そばにいて支えてやれるのは俺がいい。

なにかにしがみつきたいとき、安心してつかまることができるのが、俺であって欲しい。







「お兄さん達すごい上手だねぇ、経験者?」


「あはは、高校で少しやってました」


「あー、そっかそっか、あそこの高校か、それでねぇ」


「へへ、意外と覚えてるもんだな、隼人」


「だなー」



意外と基本の動きは覚えてたものの、やっぱり茶碗を作るとなると、微妙な力加減や指の動きで一気に形が崩れてしまう。



「あっ、あっ、あああ、崩れたぁぁ」


「ははっ、隼人どんまい、次々!ははっ」



やべーこれめちゃくちゃ楽しい。


ろくろってこんな楽しかったっけ。



いや、わかってる、それは横に隼人がいて、

隼人が俺を見て

一緒に笑ってるからだって。




「ちょ、集中する!集中するから祐人話しかけんなよ!」


「はーい………あ、そういえば隼人」


「おーーいーーー!」


「ははは、仲良いねぇ」





俺たちはたくさん笑いながら、時々お互い真剣に作業しながら、

指導してくれる方の笑いも掻っ攫いながら、

無事に茶碗の形を作った。




「釉薬はどれにしようか?」


「俺昔は織部すきだったんだよなー」


「ほう、お兄さんなかなか渋いねぇ、」


「でもなんか茶碗っぽくない気がする…隼人どうする?」



隼人は釉薬の色を真剣に眺めている。


「んー………この色と、この色だと、なんか雰囲気似てない?お揃いで色違いみたいな雰囲気。この色とか、祐人っぽい気がする…祐人こういう系好きそう」



ああ、隼人

俺気付いちゃったんだけど。


隼人、自分の好きな色じゃなくて、

俺の好きな色とか、俺らしいとか、お揃いっぽいとか、

そういうこと考えてるんだな。




……はぁ、諦めず口説こ。



まじ好き。






。。。。。。。


(隼人)



陶芸体験も無事に終えて、俺たちはケーキ屋に向かった。


楽しかったなー、懐かしかったなー、あの店の焼き物面白かったなー、なんて話をしていたらあっという間にケーキ屋。


可愛い緑のドアを開けて店内に入ると、独特の甘い香りに満ちていた。



美味しそうだな、綺麗だなと思いながら

ショーケースを眺め、ケーキをみながら祐人に問う。



「ホールもあるけど、祐人、なにがいい?ホールにする?」



「隼人の好きなやつにしよ」



「またそういうこと言う…」


そう言いながら顔を上げて、祐人をみると、またこの顔だ。



ほんの少し暗めの店内に、明るいショーケースの光。

なんだかムーディな雰囲気の中で優しく幸せそうに笑う祐人



「…祐人の誕生日だろっ」



やけに大人に見える

かっこよくみえる

すげぇでっかい愛感じる


恥ず俺……


何考えてんだよ……





「(やだ尊いわこのお客様達)」

「(ほっこりするわこのお客様達)」




店員までも営業スマイルとは思えぬ穏やか〜な笑顔を浮かべている。


恥ずかしくなりながら、

小ぶりのホールケーキを注文した。





「無料でチョコプレートお付けできますがいかがですか?」


「あ、じゃあ、誕生日おめでとうって書いて貰えますか?」


「かしこまりました、平仮名でよろしいですか?お名前はお入れしなくてもよろしいですか?」


「祐人どうする?」


「任せるよ」


っ……

任せるとかなんでもいいとかって使えない男が言うやつだからな!

ちきしょう



「じゃあ、漢字で、祐人…あ、書きます、祐、に、人で…」







帰りの車の中、助手席に座った祐人はすごく嬉しそうにケーキの箱を抱えていた。



「いやー店員の質問攻めに戸惑う隼人かわいかったわー」


「やっぱりお前楽しんでやがった…」


「ははっ、もう今日幸せすぎるわ」


「まだ夜ご飯ある」


「最高」


「ケーキどうする?帰って食う?夜ご飯の後にする?」


「どーするかー…ケーキ食べたとこで腹いっぱいで夜飯食えないってことはないと思うけどなー」


「でも夜じゃないとロウソク立てるのに暗くないか…」


「ははっ、ロウソクとか別にどっちでもいいけどなー」


「だめだろ、俺の誕生日もたてたんだし」


「んじゃ夜飯から帰ってからにしよ」


「ん」





帰宅して、ケーキを冷蔵庫にしまった。



「飯の時間までなにするー?」


「祐人なんかしたいことあるか?」


「いやー特には」


「じゃあ祐人夜勤だったし昼寝しよ」


「朝の仮眠で結構ぐっすり寝させてもらったけどな」


「暑い中けっこう歩いたし休憩だ、休憩」



あっという間にお昼寝セットが用意された。


クッションに頭を乗せて横になった隼人は、


ほら、と言って、隣に置いたクッションをポンポンと叩いている。




したいこと特にないって言ったけどな隼人……


俺じゃなきゃ今お前……


襲われてんぞ??


俺が5歳若ければ襲ってんぞ?




とりあえず横に寝転んで、両手で顔面を隠してはぁぁあと息を吐く。



「どした?」


「隼人可愛すぎてしんどい」


「何言ってんだ急に…頭大丈夫か?寝ろ」





1時間ほど昼寝をして、

ダラダラとしていたらあっという間に18:00

夜飯の予約は18:30なのでそろそろ出発。



15分ほどで店に到着。



店内はカフェのようなオシャレな内装で、料理が映えそうなほどよい明るさと色味の照明で、いい雰囲気だった。



「18時半に予約してる田口です、はい、二人で」



店員に案内されて、窓際の席に座ると、高台にあるこの場所からは海が見えた。


「本日の日の入りは18:38分頃なので、まもなくきれいな夕日が見えると思いますよ」


席に案内してくれた店員が笑顔でそういうと、隼人も窓際を見て、おー、と声を出した。



渡されたメニュー表をひらくと、どれも美味しそうで、野菜も添えられた彩りが綺麗なメニューばかりだった。



「美味そーだな」


「迷うなー」


「ポークも美味しそう、ハンバーグも気になるな」


「せっかくだし牛肉食べろよ」


「高くね…?」


「誕生日だろ、普段の食費祐人が出してんだし、たまには贅沢しろって。」


「マジで?」


「気にせず好きなの食えって」




結局俺は隼人に押しに押されて、5000円以上する地元の牛肉を使ったステーキを注文した。


隼人は一つ下の3000円台の同じく地元の牛肉を使ったステーキ。


どちらも、スープと、サラダ、パンかライスのセットだった。



料理を待ってる間に、海と空が赤くなり、料理が出てくる頃には暗くなっていた。












帰り道



「肉うまかったなぁあ。めっっっっちゃくちゃ美味かった」


「めっちゃ美味かったな。大当たりだったわ」


「ほんっとありがとな隼人」


「……おう」



なんか返事に微妙な間があった気がしたけど、気のせいか?







。。。。。。。


(隼人)



帰宅して、腹ごなしに先に風呂にしようと話して、

ケーキの前に風呂を済ませることにした。


祐人が先に入って、交代で俺が。


いつも通り風呂出たら洗濯を回して


ドライヤーも済ませて、リビングへ。



「祐人、腹どう?ケーキ食えそ?」


「ぜんっっぜんくえる」


「ははっ、じゃあ用意するわ」




ローテーブルに皿を2枚とフォークを置いて、


冷蔵庫に入っている箱をもっていく。



ロウソクは流しの上の収納にしまったはず。





「祐人、ロウソク何本立てる?」


「28?」


「ねぇよ、火事じゃん」


「ははっ、一本か二本だな」


「んじゃ2本な」




ろうそく2本持ってテーブルに。



「開けていー?」


「おう」



祐人が箱からケーキをとりだす。


「うえぇええぇい。うまそー」


『祐人 おたんじょうび おめでとう』


とかかれたチョコプレートが、

祐人の方を向くように置いて



ロウソクをわたした。


「好きなとこにたてて」


「うぇーい」



あ、ライター忘れてた。


下駄箱の方にしまっておいたライターをとりにいって、

もどる。


祐人はケーキの写真を撮っていた。



「火つけるぞ?」


「待って待って、写真撮ろ、俺とケーキと隼人一緒にうつるように」


「女子か」


ケーキと俺らの自撮りを終えて、やっと火をつける。


2本のロウソクに順番に火をつけて、リビングの電気を消す。



ハッピーバースデーの歌を何故か祐人も一緒に歌う。


「「ハッピーバースデー ディア」」

「おれ〜」「ゆうとー」



そして、祐人がふぅぅぅっと一息で2本のロウソクを消した。




ケーキを切ろうと包丁を持ってきたが、綺麗にフルーツがたくさんデコレーションされていて、

どこでどう切ろうか迷って

結局、

祐人に包丁を渡した。







。。。。。。。。


(祐人)


ケーキを食べ終えて、休憩して、歯磨きや洗濯、もろもろを済ませて、

二人で布団にあぐらをかいてすわった。



「まじで今日一日ありがとな」


「……おう」



やっぱりなんか微妙な間がある。


「どした?」



隼人の顔をのぞきこむと、隼人が少し眉間に皺を寄せて、こめかみをぽりぽりとかいた。




「……俺、祐人に貰ってばっかりで、今日少しでも返せたらって思ってたんだけどさ……なんか、結局あんまりだった気がして」


「はぁ???」



なーーーに言ってんだこいつは。



「散歩道でも発作起こしかけて、祐人に迷惑かけて、散歩道で1回迷子にもなったじゃん、祐人のが方向感覚いいから、結局祐人が道案内してくれた感じになってたし…」



隼人のデコをペチンとでこぴんした


「いって…」



「はぁぁぁ……馬鹿なの?え?あなたはバカなの?」



可愛いどころじゃないバカじゃないかこれじゃあ



「よく聞けよ、お前はめちゃくちゃ与えてくれる。

今日1日めちゃくちゃ幸せだったよ。


誕生日おめでとう言うために起きたてくれた、

まじでうれしかった。


そのあと俺がリビングで仮眠するのにあわせて

リビングで一緒に寝てくれた。

すげー幸せでちょーぐっすりねれた。


ハートのトースト、まじで幸せで、さっそくロック画面にした、ほら」



スマホの画面を明るくして、隼人にみせつける。



「俺が卵好きだからって、たまごサンドの店選んでくれたりとかさ、

すげー嬉しかった。

茶碗の釉薬選ぶのも、めっちゃ俺の事考えてくれてたじゃん。


手もまた繋いでくれたじゃん。

まーじで、俺あれほんと幸せだからね。


隼人、

隼人はさ、自分で思ってるよりずっと、

俺にいろんなもんくれてるから。


俺はもちろん愛伝えてるつもりだよ?あげてるつもりだよ?そりゃあげたいからね、自分がそうしたいからね。

もっともっとあげたいと思ってるけどね。

でも

隼人もめちゃくちゃくれてるんだって。


隼人はさ、もう少し自覚してくれたらありがたい。

俺がどんなに隼人のこと好きなのかって。


俺が飯作ったり、隼人のためにしてることって、全部俺がそうしたくてしてることなの、隼人にさせてもらってることなの。

迷惑でも隼人の甘えでもなんでもないの、

返して欲しいなんて思ってない。

させてもらえてるのが俺もう幸せだから

隼人がいてくれるだけでほんと、俺、」



「もう、いいよ。もう、分かったって、恥ずい……」


隼人は顔を赤くして照れ隠しなのかゆらゆらとあぐらのまま前後に少し揺れていた。



「そうやって照れんのも可愛くてたまんねーよ」



「わかったから……ごめん、ありがと……ほんと、ありがと」


隼人の頭をポンポンと撫でてやると、隼人は、やめろよ、といって優しく払いのけた


「…………祐人が、ほんとに俺の事好きだってちょっと自惚れたことしていい?」



「ん?どゆこと?」


なんて?


急に難しいこと言ってくるやん。


「誕生日プレゼント………やる」


「え?もうめちゃくちゃもらってるんだけど俺大丈夫?」


貰いすぎてそれこそなんか返せって回収されない?


次すごい不幸起きるとかねぇよな?



「後ろ向いてて」


普通に心の隅でキスを期待しましたごめんなさい。


後ろ向きを希望されました。


キスではありません。


「後ろ?なになに、何が起きるの」


肩たたき?肩もみ?



ぎゅっ




ほぇ?!




隼人が後ろから俺を抱きしめた。

あぐらをかいてる俺を、膝立ちで少し上から抱きしめるような形で、隼人の口元が俺の耳の少し上にある。



「……ありがと、祐人」



!?!?!



隼人が俺の頬にキスをした。



驚きすぎて一瞬固まった。



我に返って、隼人を抱きしめようと思ったら


隼人はもう、自分の布団の中に頭まですっぽりと被って隠れていた。



「隼人ー!」



布団に潜っている隼人のうえに覆い被さる。


「はーやーとー!隼人〜!」


「無理キモイ俺きもい!なにしてんだよ!きもい!むり!痛い!俺、痛すぎる!」


布団の中から、布団にこもった声が聞こえる。



「なにいってんだよ!最高に幸せなんだけど!」



「おやすみ!!!!!」


投げやりな大きな声のおやすみだな


ああ、愛しい。


「おやすみ…ありがとな、大好きだよ。」



布団の上から隼人の頭がありそうな場所にキスをして、自分の布団に横になった。




「あ」


起き上がって、隼人のいる方を見る。


まだ潜ってる


「さっきごめんていったから罰金な!」



「うるせー!はやくねろ!」


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