すれ違いセラミックス5
※やや性的表現あり
。。。。。。。
隼人は、俺のことを恋愛の好きではない、と言った。
きっと今もそうだ。変わってない。
でも
俺がいる場所に、ただいま、って帰ってきてくれて、
俺がいない時間を、少しでも寂しいと思ってくれていて、
俺が触れても、嫌がらず受け入れてくれて、
俺の隼人への愛を受け止めてくれて、
俺がいる未来を当たり前だと思ってくれてる。
もうなんか、それでいいじゃん。
十分だよ。
俺は
幸せだ。』
。。。。。
『隼人の帰省』
(隼人)
「祐人、年末年始普通に仕事だよな?」
いつものように祐人の作った飯を食べながら、祐人に話しかける。
トンテキうめぇ。
ニンニク味にしないでくれるのさすが。
「おー。31、1が土、日だから、年越しの瞬間は仕事してんなー」
「だよなー…俺は31から3日まで休みなんだよなー、んでさ、毎年一応岐阜の祖父母ん家に行ってんだよ、両親と祖父母と年越し過ごしてて」
「おー」
「…」
もっと早く、祐人がシフト希望とか出す前に言っとけばよかったな…
「どした?」
「…今年は行くのやめよっかな」
「なんでー?」
「いや、だって祐人ひとりになるじゃん」
「?????そうだな?」
「祐人寂しくね?俺はまあまあ寂しいけど」
あれ?
俺今なんて言った?
あれ?
バカなこと言ったことに気づいて体が熱くなった
祐人はこれでもかとニヤニヤと笑ってる。
「ちがう、まちがえた、今のなし」
「なしになりませーん、まちがえてませーん、正解でーす」
祐人が俺の頭をくしゃくしゃと撫で回してくる
半年近く毎日一緒にいたら、しばらく離れるの寂しくなったって別にいいだろっ!
くそっ
祐人と一緒に祐人が作った蕎麦食べたいとか思ってたわ!
「可愛いなぁもう、俺がいないと寂しいの?なにそれ可愛すぎん?俺も寂しいよ?めっちゃ寂しいよ?」
わしゃわしゃと頭を撫で回される。
半年近く一緒に暮らして、こうやって頭を撫でられたりするのにも慣れたと思っていたけど、
うっかり寂しいとか口走って、それを嬉しがってる祐人をみてると、
やっぱり少し恥ずかしくなった。
「やめろって…」
「へへっ、んでもさ、毎年せっかく両親とじいちゃんばぁちゃんに顔見せてんなら、行ってあげたらいいじゃん?」
「…休みだったらさ、祐人も一緒に俺と岐阜行くのもいいなとか思ってたけど、仕事だもんな」
「えええええ?!ご両親にご挨拶ははやくね?!」
「ちげーだろ!…ったく」
「3日は帰ってくんだろ?」
「ああ、4日から仕事だからな」
「休みにできたら休みにするから、3日なるべく早く帰ってきてよ、一緒に過ごそーぜ」
「わかった」
「てか親と仲良いのいいじゃん。俺なんか今こっちに住んでることも言ってないわ」
「は?!おまっ…もう約半年だぞ??」
「連絡とってねーもんわざわざ言うのもめんどい。親はさ、姉貴家族のが大事だからさ、」
「そんな事ねーと思うけど…俺がなんか言えることじゃないけどさ」
まぁ、そう思ってるからこそ、実家に帰らずにここに住んでるんだよな
自分は大事にされてないと思っている祐人に、
俺は今、祐人を必要としてる、って、伝わっていればいいと思った。
恋愛の好きにはなれなくても、祐人のことが大事だって、そう思ってる。
「30日の金曜日、帰ってきたら忘年会だな!酒飲むかー!」
「あっ…」
しまった
「ん?」
「あー…たぶんだけど、毎年30日は真太が圭とかだれかしら連れて忘年会っていってうち来てる…今年も多分、来るんじゃねーかな」
「まじかよー…」
「真太も毎年31から休みでさ、なんか、わりと恒例になってる」
「あいつ嫁と子供どうしてんだよ」
「麻里は麻里で友達とその子供と集まったりよくしてるらしいからな…」
クリスマスに突撃してきたのは初めてだったからさすがにびっくりしたし、
祐人けっこう不機嫌になってたからな
やっぱ嫌なんかな
「まあ隼人と二人のが嬉しいけど、友達付き合いも大事だよな。」
ああ、そうか
祐人は、真太が嫌なんじゃない。
真太のことは大事な友達だと思ってる。
ただ、
俺と2人で過ごしたい、って思ってくれてるんだな…
って改めて気付いてしまって恥ずい。
祐人は、本当に俺のことをそう思ってくれてるんだ。
特別だって…
「てか、言ってもいい?真太に、俺が隼人のこと好きだって」
「は?」
いやいや、それは話が違くない??
「俺はさ、隠しておきたくないんだよね、てか、隠す必要ないかなって。」
「いや、なんか…気まづくね?」
「なにが?真太も大人だし、変にからかってくるとか、そんなことはないだろ?」
「それはたぶん…そう」
「なんとなく勘づかれて白状するとか、誤魔化すとかより、堂々としてた方がよくね?」
んんんんん
言ってることは、わかる。
わかるっちゃわかるけど…
目の前でさ、
俺は隼人が好きです。告りました。
って言われて、俺はどういう顔すればいいわけ??
「でも、まあ、隼人が嫌なら隠すよ」
「嫌な訳では無い、どういう顔すればいいかわからないだけで……だから、その、流れがあれば?わざわざ言わなくても、なんか、そういうタイミングがあった場合、言っても…いいよ」
「わかった、さんきゅ」
「あ、でもさ、俺が高校の時祐人に告ったことは、やっぱり言わないで欲しい。…前は、過去の話だって思ってたけど、今祐人が俺のことを好きって言ってくれてるから、なんか、やっぱ、過去の笑い話って言うふうには、出来ない」
「わかった。言わない。」
祐人は真剣な顔して頷いた。
。。。。。。
(祐人)
「「カンパーイ」」
都合がつかなかったといって、30日夜、集まったのは真太だけだった。
隼人も俺も真太も仕事を終えて真っ直ぐ家に来た感じだ。
「いやー年末だわー。祐人はまた岐阜行くんだろ?」
「ああ、3日の朝か、2日の夜に帰ってこようと思ってる」
「じゃあ祐人はのびのびと一人暮らしじゃねーか」
「のびのびなんかしねーよ隼人いなきゃ寂しくて死にそうだっつーの」
「てかそもそも隼人ん家だよなーはははっ」
持ち寄ったツマミと酒
明日俺は夜勤だから、朝起きなくてもいい。
隼人も真太も明日から休み。
安心して酒が進む。
「てかこの状態でどっちかに彼女できたりしたらどーすんの?やっぱ祐人がでてくの?」
「俺は彼女いらねーよ。隼人がいればいい」
「ちょ、おま、…いや、俺も彼女は今欲しいとか思ってねーけど」
「お前らもう結婚したらいーじゃん、二人でずっと一緒にいろよ」
「あーまじでそうしたいよ俺は。一生一緒にいたいね。」
「隼人、祐人に告られてんぞ」
「っ…」
適当にごまかしてもよかったのに、
隼人は目を泳がせた
「あれ?隼人…?お?祐人、隼人わりとまじにしてるぞ?どうする?」
「俺だってマジだよ。大マジだって」
「え?マジで言ってる?」
「マジのマジ。」
「え?待って、この反応、まさか隼人知ってた?まじで祐人が隼人…え?まって?付き合ってる??俺に内緒で二人もう付き合ってたの??」
真太がパニックになってる。
「付き合ってねーよ。まだな。俺が隼人に告って、軽くフラれたけど、俺は諦めず口説いてるってとこ」
「は??え、まじで?マジのマジで?え、隼人…?」
隼人は真太にみられて、すっっと視線を反らせた。
「嘘だァァァ!!マジでー?!なにそれ!」
「あ、麻里には言うなよ」
「言わねーよさすがに」
「え?てかまじで祐人、隼人のことそういう好きなわけ?なのに一緒に住んでんの?隼人も知ってて一緒に住んでんの?どういう関係なのそれ。祐人生殺しじゃね?」
生殺しじゃね?という言葉に、隼人が少しピクっと反応した。
俺に我慢させてるとか気にしてるんだろうか
「いいんだよ。それでいいの。手は出さない約束してるし。守ってる。隼人が一緒に居てくれるだけで俺は幸せだからな」
「やばぁぁぁ」
隼人は酒のせいなのか照れてるのかポポポっと赤くなっていった。
「ちょ、俺…酒、コンビニ行って酒買ってくるっ」
「酒ならまだあ…る…ぞ?」
言い切る前に、ドタバタと逃げるように隼人が外に出ていってしまった。
「はー…隼人まじ可愛い」
「まじかー祐人…いやーまぁ隼人は昔から可愛いかったよな」
「は??」
「こわいかおすんなって、俺嫁と子供いるしだいじょーぶだよ、てか俺男そーゆーふーにはみれんから
つかお前普通に女が好きだったじゃん?東京いってなんかあったとか?」
「男が好きなわけじゃねーよ、男が好きだから男の中で隼人選んだ訳じゃなくて、隼人だから隼人を好きになったの」
「うわー甘ぇえ」
「まだ片想いだけどなー」
「よくわかんねーけどさー、受け入れる気がゼロなら、一緒に住み続けないんじゃね?」
「そーかなー」
「まあ別に俺は二人が付き合っててもそうじゃなくても、こうやって一緒にのめたらなんでもいーけどな」
「ははっ、やっぱ大人ってすげーよなぁ」
「あーっ!クリスマスになんか祐人機嫌悪いと思ったら、俺のせいかー?!」
「ああよく気づいたな。だからもう隼人にベタベタすんなよ」
「えーそれは約束できないわー、俺も隼人大好きだしー。てかそもそもなんで一緒に住み始めたんだっけ?」
「あーそれはなー」
隼人は財布わすれた、と言って割と直ぐに戻ってきて
なんやかんやとわいわい過ごして、
20時半頃に真太は帰って行った。
。。。。。
(隼人)
真太が帰って、お風呂を沸かしてる間に片付けて、
交代で風呂を済ませた。
洗濯をちゃちゃっと終わらせて、祐人が先に横になってる寝室へ入る。
祐人は横になってスマホを眺めていた。
俺は枕元にのびているコードにスマホをさして充電させて、
ゴロンと仰向けで横になった。
目を閉じて、ふぅーっと息を吐いて、体の力を抜いた。
目をゆっくり開けて、横を見てみると、祐人もスマホを横に置いているところだった。
俺は右を下にして横を向いて眠るのが癖だ。
だからいつも、左側に寝てる祐人に背を向ける形になる。
今日も、いつもの癖でコロンと祐人に背を向けて、
また目を閉じた。
直後、
ゴロンゴロンと音がして、祐人が自分の布団から俺の真後ろまで転がってきて、ピタッとくっついた。
祐人が後ろから抱きしめるように自分の左腕を俺の脇腹に乗せて、俺の腹あたりをきゅっとつかまえた。
「祐人?なにしてんの?」
祐人は俺の肩あたりに自分の顔を隠して、
ふう、と深呼吸した。
「明日から寂しい」
「2泊か3泊だけだろ」
祐人はしばらく黙った。
それから、また、はぁっと少し息を吐いたあと、
「…触っていい?」
??
「いや、聞く前にもう触ってるじゃん」
何言ってんだ?
祐人はまた数秒だまった。
それから、腹に当たっていた祐人の右の手のひらが、すーっとゆっくり動いて…
「っ、ちょっ」
俺の大事なものの場所の上に止まった。
なにしてんだっ…
祐人の手に自分の手を重ねて少し抵抗するけど
祐人は手をそこでじっととめている。
体がどんどん熱くなってくる。
「…嫌だったら、嫌って言って。」
流されるな
だめだ
だけど…
…いやじゃ、ない…
「真太が言ってた生殺しとか、そういう言葉に気を使って我慢するのはやめて、ほんとに。嫌なら、絶対しない。」
祐人の手の体温が、ソコに伝わってくる
祐人の息が、耳にかかる
下半身がゾクッとした
「触るだけ…ほんとに、触るだけ……嫌?」
「〜っ…」
心臓がバクバクする
きっと酒のせい…
「隼人」
くっ…
「嫌じゃ………ない、………さ、触るだけなら…」
「ありがと」
祐人はそういうと、服ごしにソコの上にただとまっていたてを、ふんわりゆっくり動かした。
さわ、さわ、とやさしく触って
徐々に揉むような動きになっていく
「っ、はっ…」
恥ずい…
けど…
ゾクゾクする
もっと触って欲しい…
祐人はしつこく服の上からやんわり刺激をし続ける。
あたまがぼーっとしてくる。
もっとちゃんと、触って欲しい…
腰がゆるゆると動いてしまう。
祐人は変わらず服の上から手を優しく動かし続ける。
スっと首と布団の隙間から祐人の右手が入ってきて
俺の前に手があらわれたかとおもうと、
俺の服をたくしあげてきた。
祐人の右手の指が触れるか触れないかくらいの力で、乳首に触れた。
体がピクっとはねた。
「っん」
声が漏れて恥ずすぎる。
自分の手で口を抑えた。
男なのに…乳首ってこんな感じんのっ…
恥ずい…
体が勝手にビクビク動く…
下は変わらず服の上からだが、だんだんと強く刺激される。
乳首も触れるだけだったのが、くるくるとつねられるように指が動き出した。
「っ…っ…」
必死に声を我慢しても、
体は勝手にビクッ、ビクッと動く…
祐人の左手が、ついに俺のズボンとパンツの中に入ってきた。
「っあっ」
待ち望んだ刺激に、思わず抑えていた手が離れ、声が出てしまった
完全にたちあがってかたくなってる俺のソレを、
祐人の手のひらが包んで、ゆるゆるとやさしく上下していく。
やばい…
気持ちいい…
たぶん、おしりのあたりにあたってるかたくてあついものは、祐人のソレなのだろう。
祐人も、興奮してるんだ
祐人は、じょじょに、息づかいか荒くなっている。
その息遣いに、俺もどんどん高まっていく。
時々先端やカリ部分を刺激されながら
徐々に手の動きが早まる。
「っ、は、…んん」
だめだ、声が出てくる…
「はっ…は…隼人」
ビクッ…
耳元で急に荒い息の間に名前をよばれて
一気にゾクゾクっとなにかがこみあげてきて
それをみかねたように、祐人の手が早く動いていく
「っ、あ、…も、…で、でる、でるっ、いくっ…………んああっ」
出してしまった…
余韻で何も考えられない
気持ちよかった
とりあえず呼吸を整える
祐人のモノが、ゴリゴリとおしりにあたってる。
祐人の、はぁー、はぁー、と興奮を必死に抑えている息が、聞こえる…
けど、俺は…これ以上なにも、してやれない。
「隼人、ごめん、トイレ、行ってくる」
低く小さな声でそういうと祐人は寝室を出ていった。
俺は枕元に置いてあるティッシュでベタベタになってしまったパンツの内側と、自分のモノを拭いた。
少し離れた場所にあるゴミ箱にティッシュを投げ入れて、
仰向けになり、自分の腕を目元を隠すように顔の上に置いて、目を閉じた。
やっっっ………てしまった…
なんてことを…
欲に流されてしまった
いわゆる賢者モードというやつか、
急に焦る気持ちがわいてくる。
どうしよう
やってしまった
一線を超えてしまった。
あーーーーー…
頭の中でどうしようどうしようとぐるぐる考えていると、トイレを流す音が聞こえた、そのあと手を洗う音がして、そして足音、
祐人が寝室に戻ってきた。
祐人の足音は躊躇なく俺の方へ向かってきて、
え???
またぴったりくっついて、俺の首の下からまた手を入れて、俺を腕枕するような形で、横になった。
たぶん祐人も仰向けだ。
出した直後は仰向けがいちばん楽だからな…
祐人はトイレできっと…
我慢させてる。
こんなことまで許しておいて、俺は、
祐人と恋人になることは、…今は、できない。
この先だって、できるのか分からない…
「隼人、余計なこと考えてない?」
余計な…こと…かはわからないが
「………俺、拒むべきだった?ごめん」
「なんであやまんの?俺がしていい?ってきいたんだろ……いやじゃ、なかったんだよな?」
「それはそう。絶対。嫌だったらさせない」
それは言い切れる。
触られたいと思った。
「気持ちよかった?」
「っ…………それも…………そう」
「ははっ…じゃあ、それでいいじゃん。今日はさ、それでいいよ。な?隼人が嫌じゃなくて、無理してなかったら、俺はそれでいいんだよ」
「嫌じゃないし無理もしてない。」
「うん。…さんきゅ。…はー!寝よ寝よ!明日から寂しいから今日はくっついて寝よ」
祐人は腕枕しているほうの腕の肘を少しまげて、器用にその手で俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「おやすみ隼人」
「…おやすみ」
。。。。。。。
(祐人)
おやすみ、と言葉を交わしたあとは、
2人とも無言で、
わりとすぐに隼人は寝息を立て始めた。
………それでいいじゃんとか、だいじょうぶー、みたいなこと言った気がするけど
ほんとに大丈夫か?
おれ、やってしまったよな?
いや、でも、隼人、
嫌じゃなかった、っていうのはめっちゃ力強く言い切ってくれてた。
…嫌じゃなかったんだ。
んんんんんー!!!
嬉しくてゴロゴロと転がりまわりたい気持ちになる。
腕枕してるから動けないけど。
隼人…
嫌じゃなかったんだ…
俺が居ないと寂しいとか言うし
さっきしたことも嫌じゃなかったって言うし
てか、声やばかった…
漏れ出る隼人の声エロかった…
声でないようにしてるのなに!可愛すぎ!
むりーもうすき!!
これで隼人は自分の全てを受け入れてくれた、なんて思わない。
まだまだきっと隼人との時間を守るために、隼人に本当に俺との全てを受け入れてゆるしてくれるために、
まだ俺は時間をかけるつもりだ。
嫌がることはしたくない。
無理もさせたくない。
俺を好きになるように強制もしたくない。
でも、もちろん、好きになって欲しいとは思ってる。
だからこそ、隼人のペースでいい。
俺のペースじゃなくて。
て、欲に負けてこんなことしてしまったやつがいうのもあれだけどーぴえん。
ただ、今日は、今だけは、
少しだけ余韻に浸らせて欲しい。
隼人が自分に少しだけ体を預けて、気持ちよくなってくれたことに。
俺がいないと寂しいなんて、 そんな可愛いことを言ってくれたことに。
少しだけ、自惚れさせて。
今だけ。
今日だけ。
幸せだなぁって、
ニヤニヤしながら眠りにつくくらい、
許してくれ。
。。。。。。
(隼人)
祐人の作った焼きそばを食べてから、昼過ぎに俺は家を出た。
年末年始の渋滞が嫌だから、電車で岐阜に向かう。
一時間半くらいで、両親が住んでいる岐阜の祖父母宅についた。
まずは祐人に連絡する。
『無事に着いた』
祐人はでてくるとき、駅まで着いてきた。
最寄り駅の前で人目もあるのにギュウギュウと俺を抱きしめて、
気をつけてな、と見送ってくれた。
「隼人、あーんた変な時間に来ただなぁ、お昼ご飯食べてきただかね?」
「食べてから来たよ」
庭が見える廊下に
畳の部屋。
ザ、和風!昔の家!って感じの祖父母宅。
絨毯が敷いてあってコタツのある部屋で、ごろーんと横になった。
両親は買い物に出てるらしく、今は祖父母しかいない。
「はーやと、アンタちょっと痩せただないのー?ちゃんと食べとる?」
ばあちゃんがみかんを持ってきてコタツに置いた
「食べとる食べとる。」
たぶん毎日祐人が作ってくれる健康的な食事を食べてるから、いい具合に締まったんじやないかな。
「食べとるならええけどさー」
しばらくすると両親も帰ってきて、
母親は台所で作業を始めた。
明日のおせちの材料とかを切ったり盛ったりしてるんだろう。
毎年そうだ。
「隼人あんた好きなテレビみりゃええでな。せんべくらいしかないけど食べるかね?」
さっきみかん持ってきたばっかなのに、お煎餅やらあられやら入ってる缶を持ってきて開けるばあちゃん。
まぁ、いつも通りだ。
「食べんのだったら持って帰りゃええでね」
「うんありがと、帰りにちょっと貰ってくわ」
祐人とたべよう。
いつも帰りに持たせてくれる餅(従兄弟が毎年祖父母宅で30日に餅つきをしてる)
あれもいつもより少し多めに貰っていこうかな。
多分みかんもひと袋持たされるんだろうなー
祐人みかん好きだったっけ?
「ばぁちゃん、餅って今年もあるんだよね」
「おー、あるある。あるでまた持ってきゃーね、冷凍しときゃええだもんで」
「うん、いつもより少し多めに貰ってもいい?今友達と一緒に住んでんだよね」
「なぁにーぃ、あんた、彼女できただかね?」
「ちがうちがう、男だよ。中学高校の同級生」
「あー、あそう、知らんかったがん。ほしたらおせちの煮物もよーけ作るもんだい、それも持ってたらえーがね。みかんもひと袋持ってたらええもんで」
「ありがと。ほいだで2日の夕方には帰るでな」
ばあちゃんと話してると、自然とばあちゃん言葉になっちゃうの謎。
父親とじいちゃんがコタツに入ってテレビをつけた。
そのテレビを俺はみず、スマホをだした。
俺が、無事に着いたと送ったあと、祐人から、『おつかれ』と来ていた。
『祐人、たぶん、みかんと煮物と餅と菓子持って帰る』
『豪勢だなw楽しみ』
返信秒かよ。
『祐人は何してる?』
『掃除してた』
『まじか、さんきゅ』
『家族みんな元気だった?』
『うん』
『よかったな。夜は蕎麦食うの?』
『たぶん』
『俺も買ってきたよ、グリーンのたぬき』
『カップ麺かよ笑』
『自分だけだしな。隼人がいなくて寂しい』
んんんんん
にやけないように深呼吸して
一応まわりを確認する
だれも俺の方はみてなかった
『昼まで一緒にいただろ。2日の夕方には帰る』
『待ってる』
「祐人〜、ちょっとお勝手おいでの〜」
「はーい」
ばあちゃんの声に呼ばれて、スマホをこたつの上に置いた。
夜ご飯に蕎麦を食べた。
今は19:30を過ぎたところ、祐人は夜勤だから、早めにご飯を済ませてるはず
早めに食べて、今はおふろでも。はいってるかな
洗濯とか済ませたらきっと
隼人いないからさっさと仮眠しよ、とか思いながら、早く寝てそう
『祐人まだ起きてる?』
『おー』
また返信秒かよ
『隼人なにしてんの?』
『テレビ見てる。たぶんもうすぐ風呂』
『俺は飯も風呂も洗濯も終わって、隼人いないしもう寝るかーと思いつつまだテレビ見てた』
『予想通りで笑った』
『まじで?俺の事考えてくれてたんだな』
っ…
いわれてみれば、
俺は祐人のことばかり考えてる気がする。
「隼人ー、まぁお風呂入りゃーよー」
「はーい」
少し恥ずかしくなったところで
タイミングよく風呂に呼ばれた
『風呂入ってくる。夜勤気をつけて、おやすみ』
『おやすみ、良いお年を』
。。。。。。。。
(祐人)
せっかく久しぶりに両親とじいちゃんばぁちゃんに会ってるんだし
なるべくじゃましないようにしよう
連絡はなるべく控えめに
と思っても、
すぐに連絡ようにできるスマホを手元に置いておいて、
常に気にしてしまう。
隼人を駅で見送ったあと、スーパーに買い物行って、夜ご飯用にカップの蕎麦を買った。
隼人が一緒ならたぶんちゃんとそば茹でて天ぷらでも買ってきてって作ってただろうけど、
夜勤あるし、ひとりだし、これでいい。
明日の昼は袋ラーメンかなんかでいいや。
夜もなんかてきとーに…納豆買ってくか、納豆と白ご飯でいいや。多めに炊いて冷凍してある白ご飯あるから
レンチンして。
改めて、隼人がいることで俺の健康的な食事が守られてるな。
スーパーの店内に貼られている紙で、年始の営業時間を確認しておく。
1日は休業
2日は10時より営業開始
3日より通常営業
ふむふむ。じゃあ隼人が帰ってきた日は買い物できるな。
帰宅して納豆は冷蔵庫に、カップ麺はポイッと作業台の上に置いておいた。
それから、家の中の掃除を始めた。
掃除の途中で一度スマホが震えた。
すぐに確認する。
『無事に着いた』
ほっと息を吐いて
『おつかれ』
と送った。
またスマホをポケットにしまって掃除を続ける。
トイレ、洗面台、流しの掃除に、全部の部屋の掃除機をかけて、
終わろうかなと掃除機を片付けたとこで、またスマホがなった。
『祐人、たぶん、みかんと煮物と餅と菓子持って帰る』
ふはっと思わず吹き出した。
『豪勢だなw楽しみ』
いるよなぁ実家に帰ってきた子供にやたら食べ物持たせる親とかじいちゃんばぁちゃん。
仲良しでなによりだなー
隼人がいなくて寂しい、と送ったあと、その前まで秒で返信きてたのに少し間が空いた。
正直に言っただけなんだけどな…
だめだったか?
『昼まで一緒にいただろ。2日の夕方には帰る』
2日の夜か3日の朝、って言ってたのに、
2日の夕方には帰ってきてくれるんだな。
隼人も寂しいと思ってくれてたらいいと思った。
『待ってる』
18時にさっさと風呂を済ませて、スマホを確認にて、
洗濯を回して、
夜ご飯のカップ蕎麦を食べた。
食べ終わって片付けて、スマホを確認して、
洗濯を干して、
スマホを確認して、なんとなくテレビをつけた。
年末の特別番組ばかりだ。
隼人もいないし、今日ははやく寝よ。
スマホが震えた。
すぐにスマホをみた。
『祐人まだ起きてる?』
隼人は俺のことを気にしてくれてる。
『俺は飯も風呂も洗濯も終わって、隼人いないしもう寝るかーと思いつつまだテレビ見てた』
『予想通りで笑った』
予想?俺の事予想してくれてたのか?
隼人が、俺のことを考えてくれてる。
『まじで?俺の事考えてくれてたんだな』
また返信に間が空いた。
照れてるんだろう。
いや
そうだといいなっていう俺の希望。
『風呂入ってくる。夜勤気をつけて、おやすみ』
『おやすみ、良いお年を』
離れていても、お互いのこと考えてて
いつもみたいに、
おやすみ、って言い合って
これってもう………………夫婦じゃん?(?)
夜勤頑張ろ。
…来年も、その次も、ずっと、一緒に年を越したいな。
。。。。。。。
(隼人)
子供の頃は、年越しの瞬間起きて迎えるんだ!みたいに無駄に意気込んでたり、
若い時は当たり前に日頃から0時過ぎまで起きてるから、普通に起きてたりしてたけど、
アラサーにもなると、
年末、年越し…
普通に寝ます。。
23時にはとっくに眠っていて、
起きたら元旦。
油断して寝すぎた気がする。
スマホをみると、8:30
祐人からのメッセージを確認する
6時過ぎに
『明けましておめでとう。今年もよろしく』
と送られてきていた。
仕事終わりに送ってきてたんだろう。
今はまだ仮眠してるか…
『あけおめ。今年もよろしく』
とりあえず返信をしておく。
「隼人あーんたいつまで寝とるだねぇ」
「そんな遅ないだらー…あけましておめでとう」
「はいはい、あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」
お勝手でごそごそしてる母さん、コタツに入ってる父さんと爺ちゃんにも新年の挨拶をして、
俺はこたつの横に座った。
暖房効いてるしコタツに足入れるとあつい。
用意されたおせちや雑煮(うちの雑煮は小松菜と餅だけ)を毎年と同じように食べる。
ふと時計を見ると9時を過ぎてた。
祐人はもう起きたかなー…
電話だとか、なにかの連絡待ちだとかそういう時以外、食事中はなるべくスマホを見ないという自分のルールに従って
スマホを置いたまま新年最初の食事を済ませた。
ご馳走様でした、と手を合わせて、
食器をお勝手に持っていこうとすると
「やらんでええて、そのまんまでえてよ、座っときゃー」
と言われてその場にまた座った。
母さんとばあちゃんがテーブルの上を片付けてから、
スマホをだした。
『おはよ、餅食べた?』
祐人から来ていたメッセージに
返信する。
『おはよ。食べた。祐人朝飯は?』
『食べた。シリアル』
新年最初の朝飯シリアルかー、はは
まあ1番楽に食べれるよな
………ひとりでシリアル食べてる祐人を想像したら
無性に今すぐ帰りたくなった
『昼は袋ラーメン食う予定、夜は白飯チンして納豆』
明日、昼ごはん食べてから帰ろうかと思ってた。
でも、よく考えたら明日は祐人仕事のはずだ。
昼帰ったところでコンビニで仕事してる。
家にはいない。
祐人は9時から仕事で、いつも8:45くらいに家を出る。
…………俺はスマホの画面から、乗換案内をタップした。
明日の7:30頃に家の最寄り駅に着く電車を調べる。
ここの最寄りを6:30前に出る電車に乗れば、
7:40過ぎに向こうの最寄り着く。
そうすれば、祐人が仕事行く前に…
………………そう、荷物が多いからな。
ばあちゃんがあれこれ持ってけって言うだろうし
そしたら祐人が駅まで迎えに来てくれた方が助かるじゃん。
うん。
昼ごはんはおせちの残りと、焼いて醤油つけて海苔巻いた餅。
餅ってうまいよなぁ。
つい多く食べてしまう。
「ほい焼けたよ」
「さすがにまぁええて」
「まぁええの?!まんだあとひとつくらい食べや」
ばあちゃんは俺の前に餅を置いてまたお勝手のストーブに餅を焼きに行った。
「かあさん、俺明日6:30前の電車乗って帰るわ」
「あそう、早いね」
「んー、今祐人と一緒に住んでるって言ったじゃん、祐人寂しがってるかもしれんし」
「ふふふっ、なにそれ、仲良しじゃん。まあここにおっても暇だもんね」
そのあとばあちゃんには
なぁぁにぃ、まぁはいかえるだかね!
と予想通りの言葉を貰った。
夜ご飯を食べ終えたあと、祐人にメッセージを送った。
『明日朝帰る』
『まじで?夕方って言ってたじゃん』
『荷物多いから、祐人が仕事行く前に駅まで迎えに来て』
『俺が仕事行く前に帰ってくんの?!まじで!やった!迎えに行く!』
『7:40ちょい過ぎに最寄り駅着く予定』
『了解!めっちゃ嬉しい。つか名駅で乗換えるなら名駅まで迎えに行くけど』
『いやいいから最寄りで』
次の日、朝6時
あんた餅こんだけで足りるだかん?
お友達も食べるだらーに。
まっと持ってきゃーの
海苔は?海苔はまだあるだかや?
黒豆は!黒豆まんだ残っとったで持ってきゃー
煮物忘れたらかんに!
盆はまた来るんだら?
案の定ばあちゃんはどたばたとあれこれ詰めて渡してくる。
「みかんまあひとつ持ってたらええがん」
「ひと袋あるからいいよ、ばあちゃんちの分無くなるよ」
「えーてえーて、また買うで、友達と食べたらえーて
これな、ばあさんの友達が送ってくれた菓子な、美味しいで食べりん」
「帰り電車だからさ、そんな持ってたらえらいが」
「なぁーにを言っとるの男の子がー
気ぃつけてやるだよ、しっかり食べやーね」
ばあちゃんとじいちゃんと父さんに見送られて
かあさんに車に駅まで送ってもらって
俺は電車に乗った。
祐人には昨日の夜、明日7:40くらいに最寄り着く予定って伝えてある。
『予定通り電車乗った』
まだ寝てるだろうな、
俺が着く頃には起きて駅まで来てるだろうけど
『おはよ、駅まで迎えに行くからな』
いや起きてるんかい
。。。。。。。
(祐人)
隼人が電車に乗る時間に起きてしまった。
最寄りに着くまでは一時間ちょいあるのに。
昨日の夜、隼人から、明日の朝帰る、ってれんらくきたとき、
はやっ!嬉し!って思っちゃったけど
両親とかじいちゃんばぁちゃんとちゃんと過ごせたかな。
俺の事気にして早く帰らせたんだったら申し訳ないな…
いや、でも、隼人も寂しいって言ってくれてた。
きっと、隼人も寂しいと思って帰ってきてくれるんだ。
そう思いたい。
『予定通り電車乗った』
隼人が帰ってきてくれるのがめちゃくちゃ嬉しい
『おはよ、駅まで迎えに行くからな』
たったの2泊いなかっただけなのに
俺隼人のこと好きすぎなー。
まじで早く会いたすぎて名駅まで全然迎えに行くのに。
隼人が帰ってきてから一緒に食べる時間もあるけど、
電車の遅延とかあって間に合わないとあれだから、
一応軽くシリアル食べとく。
ささっと食べて、食器片付けて…
まだ7時かー…あと40分。
トイレ掃除をしたけど、まだ30分…
隼人に連絡を入れてみる。
『遅延とかしてない?大丈夫?』
『大丈夫』
電車は遅れることはあっても早く着くことはないもんなー…
俺はなんとか、あと十五分のところまで家で待って、
車を出した。
車では2分くらいで駅に着く。
ロータリーに車を停めて、スマホを確認する。
何も連絡がない。事故があったとかそういうことはなさそうだ。
電車が行ったり来たりするのを眺めながら、
残り二分くらいになったところで、車の外に出た。
寒い。
名古屋方面からの電車がホームに入ってきた。
電車が停車して、ドアが開く。
改札を通ってくる人の流れをみつめる。
!
「隼人!」
隼人が着替えを入れて持っていったスポーツバッグを肩にかけて、行きには持ってなかったでっっかい紙袋を持って、改札から出てきた。
手を振ると、隼人も紙袋を持ってない方の手をヒラヒラとあげた。
隼人がこっちに向かって歩いてきた。
「隼人〜!おかえり〜!寂しかったー!」
2泊ぶりの隼人を抱きしめる。
「ちょ、荷物重いし、人いるから…」
隼人を離して、隼人の片手にある紙袋を手に取る。
「おもっっっ!!なにこれ、ははっ、なにはいってんの、おっも」
「餅、みかん、煮物、黒豆、海苔、菓子、あ、あと米もちょっと」
「はははっ、まじか!すげぇ!」
「おもかったー…」
「ははっ、おつかれ。んじゃ、帰るか」
。。。。。。
(隼人)
改札をでると、
「隼人!」
車の横に立っている祐人が、超笑顔で手を振っていた。
軽く手を上げて、
改札の先の3段の段差をおりる。
「隼人〜!おかえり〜!寂しかったー!」
すぐ抱きしめてくる。
祐人の温もりだ。
けど人普通に通ってるし…
まじで荷物が重い。
祐人が俺の手から紙袋をとって、
おっっっも!
と笑った。
その手が少し冷たかった。
車に乗って、祐人の手を見ると少し赤く見えた。
いつから車の外で待ってたんだろう。
「ただいまー」
家の中に入る。
後ろから祐人も入ってきて
「おかえりー、ただいまー」
と言って鍵を閉めた。
リビングに入って、スポーツバッグを置く。
祐人は後ろから紙袋を持って入ってきた。
紙袋を床に置いて、祐人は中のものを取り出し始めた。
「ヤバっ、ははっ、お母さんばあちゃんありがとうだなー、餅めっちゃある、ははははっ、米これ5合分くらいあるかなー、助かるねえ。みかん2袋あるじゃん!」
祐人はひとつひとつ楽しそうに確認して反応していた
昔は当然、両親がいる実家が、家だった。
ただいま、って帰る家だった。
両親がいても、祖父母宅はよその家だし、
まぁリラックスはできるっちゃできるけど…
帰ってきた、ただいま、って感覚、もう忘れてた。
でも今、あー、ただいま。帰ってきたー。って気持ち。
祐人の笑い声が、そんな気持ちにさせる。
「煮物と黒豆は冷蔵庫入れとくか、あ、朝飯に少し食べる?餅焼く?」
「餅焼く。煮物は夜一緒に食べよーぜ。てか自分でやるって、祐人今日仕事だろ?」
「まだ時間あるから大丈夫だって。いや、でも餅どんだけ焼けばいいかわかんねーな…これちゃんとついた餅だよな」
「そう、従兄弟が毎年祖父母宅でついてんの」
「すげーなぁ…じゃあとりあえず餅は隼人やって。俺もの片付けて洗濯物回しとくよ」
俺は餅を3切れトースターに入れて焼き始めた。
祐人は煮物と黒豆を冷蔵庫に、餅を半分冷凍庫にしまった。
それから二人で話しながら荷物を片付けた。
米はいつも米を置いてる場所に。
菓子は、インスタント麺や菓子類を入れてるカゴに。
ミカンはリビングから出て洗濯物を干してる部屋に置いた。
この部屋は暖房をつけるから、涼しい部屋に置こうって。
海苔は1枚だけ出して、冷蔵庫に。
餅をひっくり返す俺。
俺のカバンから洗濯物を出して洗面所に持ってく祐人。
海苔をコンロの火で炙っていると、祐人が洗面所から戻ってくる。
「洗濯まわしといたけど、干してく時間はないかも」
「いいって自分でやるから。祐人も餅くう?」
「1個食おっかな」
海苔を縦長に折り目をつけて3等分に手で切る。
皿に醤油をだす。
焼けたもちを醤油につけて、海苔にまく。
「はい祐人。熱いからな」
「さんきゅー」
二人で、あちっ、うまっ、と言いながら餅を食べた。
祐人が嬉しそうで、
ああ、帰ってきた。って気がした。
早く帰ってきてよかった。
。。。。。。。。
(祐人)
餅を食べながら、
隼人がふと、
「祐人ー」
俺の名を呼んだ。
「んー?」
「祐人の休みが取れたらだけどさ、盆休みにまた岐阜行く時は、一緒にいけたらいこーぜ」
思わず目を丸くした。
盆休みってことは8月だよな?
隼人の描く未来の中に、当たり前に俺がいる。
「あーでも祐人もしかしたらコンビニじゃないとこで仕事してるかもだから、まだどうなるかわかんないよな」
隼人はたぶん
特に意識せず話してるんだろう
「去年はお盆の少し前に父さんが風邪ひいたからって盆休み行かなかったけど」
たまらなく嬉しい。
言葉を失っていた俺に、
「祐人?」
隼人が首をかしげた。
「ありがとなー、隼人。嬉しいわ」
「なにが?」
「ははっ…なんでもねー。休み取れたらぜってー行く。てか仕事はちゃんと盆休みあるとこで探す。こんなにいろいろ持たせてくれたし、なんかお礼持ってかねーとな」
隼人は、俺のことを恋愛の好きではない、と言った。
きっと今もそうだ。変わってない。
でも
俺がいる場所に、ただいま、って帰ってきてくれて、
俺がいない時間を、少しでも寂しいと思ってくれていて、
俺が触れても、嫌がらず受け入れてくれて、
俺の隼人への愛を受け止めてくれて、
俺がいる未来を当たり前だと思ってくれてる。
もうなんか、それでいいじゃん。
十分だよ。
俺は
幸せだ。




