すれ違いセラミックス4
すれ違いセラミックス4
『笑顔で俺を見あげてる隼人をみて、
猛烈にキスしたくなった。』
。。。。。。。
(隼人)
宣言通り、祐人は変わらず俺にべたべたと接触してくる。
あと、可愛いとか普通に言ってくる。
なに開き直ってんだよ……
まっすぐ気持ちを伝えられすぎてさすがに照れるっつの。
てかあいつは花火大会の日に俺への気持ちを確信したって言ってた、今思うと、
あの日からあいつは、花火の写真をラインのアイコンにしてた。
ちょっとした匂わせみたいじゃねーか……
今日も俺は祐人の作った飯を食ってホワホワしてる。
今日のメニューは味噌汁と豚の生姜焼き。
酒と醤油とみりんと砂糖と生姜が入ってるらしい。
めちゃくちゃうまい。
市販の生姜焼きの素みたいな液体を使わないの強すぎる。
もう主婦じゃん。
「隼人、クリスマスの夜飯どーする?なんか食べに行くか、骨付き肉でも焼く?」
今日は木曜日、明後日の土曜がクリスマスイブだ。
「別にふつーでいいよ、クリスマス日曜だろ?鍋でいいって」
「クリスマスに鍋かー、ありだなー、ははっ」
「別に特別なことしなくてもいいだろ」
「まぁなー、隼人と一緒にいれるならそれで俺は十分スペシャルだし」
「何言ってんだ」
まっすぐ気持ちと笑顔を向けられるとうっかり流されそうになってこわい。
俺はかつて祐人のことが、好きだった。
恋愛として。
ずっと一緒にいたいと思った。
もっと触れたい、触れられたいと思った。
独占したい、というか、……特別になりたいと思った。
お互いが、お互いの特別になってほしって。
けど、
俺の想いは届くことはなかった。
俺は、そんな想いを抱く相手に、それ以来出会うことはなかった。
祐人と一緒にいることがなくなって、祐人への思いも薄れていった。
友達が楽だった。
祐人と再会しても、あのときの想いはかえってこなかった。
一緒に過ごすようになっても、
一緒にいるのが居心地良くても、
たしかに祐人は特別ではあったけど、
触れ合いたい、とかいう、恋愛の好きは感じてこなかった。
俺を好きだと言ってくれる、その気持ちで俺のそばにいて、俺の世話を焼いて、甘やかしてくれる祐人。
その想いにこたえられないのに、その気持ちに甘えて、毎日飯を作ってもらってるのは、ずるいだろうか……
きっと祐人にきけば、
ずるくねーよ、おれがやりたくてやってることだから
って笑って言うんだろうな。
。。。。。
(祐人)
俺は、ポジティブに考えることにした。
俺は隼人と一緒に住んでて、
俺の気持ちを知った上で隼人は一緒に居続けていいって言ってくれてて、
俺は隼人の胃袋掴んでて、
これってもうチャンスありまくるくね?
愛を伝えまくって
胃袋もっとガッチリ掴んで
そしたらワンチャンあるって!
な?
ってなわけで今日はクリスマスイブ。
隼人は普通でいいって言ったけど
ほんの気持ち程度だけど、
クリスマスっぽく
レシピサイトでみつけた鶏肉と野菜をオーブンで焼くだけだけど、クリスマスっぽくて映えるようなやつを作っていくううううぅ!
午前中に買い物行って
人生で1回も買ったことなかった、パプリカ。買ってきた。
パプリカって圧倒的に色がクリスマスだよな。
自然界で大分目立つ色してるよなー、赤と黄色って……。ああいやでもトマトとかも赤だし、トウモロコシも黄色か。まあまあ自然界派手な色のもんあるのな。
あとは緑でブロッコリー。
上手くいくかはわかんねーけどエビも一緒に焼いてみるぅ、隼人がエビ好きだからな。
切った鶏もも肉とエビは昨日の夜に味付けて冷蔵庫入れといたから、
今日は野菜切って天板に並べて焼くだけだ。
昼飯は簡単にパスタで済ませて、ダラダラとゲームしたり、ちょっと昼寝したりしながらのんびり過ごした。
16時半頃に俺はじゃあ飯つくるから、隼人はケーキ受け取ってきてと頼んだ。
実はちゃっかりケーキ予約してた俺。
隼人に告った次の日に予約の電話をした。
クリスマスまで2週間を切ってて、もう予約は締め切るっていうギリギリに滑り込みセーフで予約できた。
みんな予約はえーのよ。
隼人に取りに行かせるつもりでちょっとしたサプライズもな。
隼人の心を掴みに行かないとだからな。
切った野菜をオーブンに並べながら、喜んでくれるか、驚いてくれるか、ワクワクしてた。
。。。。。。
(隼人)
ケーキ取ってきてって、いつの間にそんな準備してたんだよ……
支払い済んでるから受け取るだけーって……
しかもコンビニとかスーパーとかじゃなくてケーキ屋なのなんだよ。
……好きだよ!ケーキ屋のケーキうめーもん!!
ちきしょー…ちょっとかっこいいことしやがって
祐人に言われたケーキ屋は、綺麗でこじんまりしたオシャレな店だった。
車で15分くらいの距離にこんな店あったなんて知らなかったな。
落ち着いた緑色の扉を開けると、ショーケースに綺麗なケーキが並んでいた。
「いらっしゃいませー」
うまそうだなーと少しみながら、ショーケースの向こう側にいる店員に声をかけた。
「ケーキ予約してる、武之内です」
祐人が、自分の名前で予約してある、と言っていた。
店員さんが、「あっ!はい!」とすごい笑顔で後ろの扉へ入っていった。
接客業ってすげーよな
祐人もコンビニで働いてる時笑顔で接客してるからなー
店員がすぐケーキの入ってるであろう箱をが入っているビニール袋をもってきた。
ん?
ケーキの箱の上になにか……
気になったが、店員は後ろの棚に一度それを置いて、その前に立たれたのでみえなくなった。
「すみません、確認のためお電話番号おうかがいしてもよろしいですか?」
「あっ、はい」
慌ててスマホをとりだして、祐人の電話番号を確認した。
「えっと、080……」
番号を言い終わると、
「はい、ありがとうございます。」
と言って店員は後ろをむいて、袋をまた手に取り、こちらにもってきた。
ありがとうございます。と言って受け取ると、
またとびきりの笑顔で、
「ありがとうございました。メリークリスマス」
と言われた。
店を出て、すぐ店の前に停めてある車に乗り込んで、袋の中を覗いた。
ケーキの箱の上に綺麗な柄の封筒があった。
封筒には小さな一輪の花の飾りが貼り付けてある。
『隼人へ』
とかかれているのが、手に取らなくても見えた。
なんだよこれ……
なんか心臓がちょっとだけバクバクする。
手に取って、
可愛いシールで止められただけの封をあけた。
中には半分に折ってある便箋と、小さなカードサイズの封筒が入っている。
便箋を手に取って、ひらく。
『隼人へ。
メリークリスマス。イブ笑
と、ちょっと早いけど、誕生日おめでとう』
……覚えてたのか。
俺の誕生日は、12月26日だ。
『隼人もクリスマスプレゼントくれたし、俺も隼人にあげたかったから、ささやかだけどプレゼントを贈ります。
隼人がそばにいてくれる毎日が、俺にとっては毎日プレゼントもらってるようなもんだよ。
いつもありがとう
大好きだよ隼人。
メリークリスマス。イブ笑
祐人より』
なんだよ……
くそ……
かっこつけすぎだろ……
ドキドキして体がジワジワと熱くなるのを感じる。
くそー……
少しドキドキするのを落ち着けてから、封筒の中の封筒をとった。
切り込みに挟み込むだけの封の仕方で、すぐにあいた。
俺の好きなスポーツブランドのギフトカードが入ってる。
完全にやられた……
かっこつけやがって……
恋人みたいなことしてくんなよくそ……
「ただいま!!」
わざど大きな声で入っていく。
玄関のドアを開けた瞬間から、いい香りが漂ってきた。
「おー、おかえりー」
リビングに入ると、祐人がニヤニヤ笑いながらみてきた。
腹立つ……
「どうした隼人?」
くっそ……
ニヤニヤしやがって
「お前……ずりーぞ、こーゆーのは」
「なにがー??ははっ、どう?ドキドキした?惚れた?俺かっこいい?てかさ、ケーキ予約してる名前、俺の名前言ったんだろ?武之内ですーって、家族みたいじゃね?」
「バーカ……ケーキ冷蔵庫入れとけよ」
祐人の嬉しそうな笑顔を見てたら、また少し体が熱くなってきて、バレないようにケーキを冷蔵庫前にある台に置いて、手を洗いに洗面所へむかった。
ケーキ屋の店員も今思うと営業スマイルじゃなくて、ラブラブだなーとか、そういう目で見たニヤニヤだった気もしてきた。
恥ずい……
てか祐人の言ってたの、たしかに……
普通に言ってたけど、ケーキ予約してる武之内です、って、俺武之内って名乗ったみたいになってるじゃん……
……大好きだよ隼人……
ああああー!!
あいつのおもうツボだドキドキすんな!!
(祐人)
照れてる隼人の供給たすかるー!
大成功だな。
隠しきれぬニヤニヤを隠す気もなくニヤニヤしながら
オーブンの中を確認する。
うんうん、美味そうにやけてきてる。
ケーキは冷蔵庫いれて、と。
隼人は手を洗って戻ってきて、クッションに座った。
「隼人、お茶出しといて」
隼人は食器棚からグラスをカチャカチャと音を立てながら用意してくれている。
もうそろそろ焼けるなー、っていってもまだあと4分くらいあるけどー
ミトンつけよー…
ーピンポーンー
インターホンが鳴った。
隼人はグラスにお茶を入れてる途中だった。
「俺出るわ」
インターホンの通話ボタンを押した
「はい。」
「俺俺ー、あけてー」
真太の声がした。
隼人と顔を見合わせる。
隼人は麦茶のポットを置いてスマホを確認する。
何も連絡来てないぞ、という意味だろう、首を横にフルフルっと降った。
「あーオレオレ詐欺まにあってますー、さよならー」
「ば!ちょ!ま!!」
せっかくの隼人とのクリスマスイブディナーだってのに
なんだよ
真太嫁も子供もいんだろ
と少しイライラしながらドアを開けた
「なに?」
「え、なんでちょっと怒ってんの?てかめっちゃいい匂いするー!俺も食う!」
俺の腕の下をすり抜けて、図々しくズカズカと真太が部屋の中に入っていった。
ドアを閉め、鍵を閉めてリビングに戻ると、
俺の座るクッションに真太が座っていた。
「真太、それ俺の場所、お前は床!」
えー、とブーたれつつも床に移動した真太。
隼人は当然のようにお茶をもう1つよういして真太の前に置いた。
なんでだよ。
俺はイライラしながらオーブンの前に立って黙った。
「真太今日クリスマスイブだろ、嫁と子供はー?」
「それがさー、うちでクリスマスパーティー、友達と友達の子供たちとやるから、どっか行っててって…ひどいだろー?寂しく街を歩いてたら気付いたらここにたどり着いてたってわけ」
「なにできた?」
「車」
「街歩いてねーじゃねーか」
「はははっ、俺ん家からここまで徒歩無理に決まってるだろ」
イライライライライライライラ……
ピーーーー
焼けた。
オーブンを開けて作業台にだしてある鍋敷きの上に天板を置く。
「子供もいるし八時半頃には解散するって言ってたから、それまで俺もここにいさせてーおねがーい」
おねがぁいとキモイ声を出しながら真太が隼人に抱きついた。
俺はミトンをしたまま真太の頭を後ろからグーパンした。
「いてっ、」
真太が隼人から離れて俺を見た
「なにすんだよー、なになに?2人きりのクリスマスイブ邪魔されたくないとかそーゆー?それとも女の子来る予定あるとかー?」
ニヤニヤとしながら指で俺をつんつんとつついてくる真太。
指折ってやろうかと思ったけど、手を払い除けるだけで我慢してやった。
「ちょ、ちょちょ、祐人、祐人……こっち」
隼人が慌てて立ち上がって俺の手をとってリビングからでて
洗濯物干す部屋に入った。
リビングから
「えー内緒バナシずるーい!」
と大きな声が聞こえるが無視する。
「女の子来るとかでもないのに、真太おいだしたら不審がられるだろ、ほんとに2人きりで過ごしたいとか、そういう風に思われるぞ?」
「いやだってそうだし。俺は隼人と二人で過ごしたいから。」
「それは……その、……まぁ、だよな……うん、ごめん…」
なんで隼人が申し訳なさそうにすんだよ
「とりあえずもうここまで来ちゃってるからさ、いいじゃん?な?まだ明日クリスマスあるし、」
「……じゃあ真太に俺が隼人好きって言っていい?」
「は?!ダメに決まってるだろ、いきなりそんなん言ったら真太も困るって多分、気まづくなるのいだろ…」
「あいつ俺よりスキンシップ激しいじゃん、隼人が触られんの嫌なんだけど」
「いや真太じゃん?男じゃん?」
「なに男ってだからなに?俺も男だし、隼人も男だよ。男も女も関係ない。俺か俺以外かってことだよ。」
「お、おう……いや何言ってんだお前」
「俺以外がベタベタ触るのやだっつってんの」
「うー…………わかった、まぁ、その、できるだけ俺も善処する、祐人も善処して、なるべく隠していく方向で。な?」
「……善処はする、無理だったら言うからな」
「わかった」
リビングにもどると、真太が作業台の上に置いてあった天板から肉をつまんで食ってた。
くそったれ。、
「うめーよ!隼人おまえいいな!もうこのまま祐人嫁に貰ったら」
「あーはいはい、そーするそーする、」
「え?まじで?俺と結婚してくれるの?」
「冗談だバカ」
結局なんだかんだで、友達同士が集まれば楽しいもので、
問題もなく、8時がすぎた。
「茶かってにおかわりもらうー」
真太が冷蔵庫を開けた
「え、ケーキあんじゃん!」
やべぇ……
さすがにそれは……
祐人が俺のためにサプライズで用意してくれたやつだ。
それまで一緒に食うってなったらさすがに祐人が怒るだろう。
「えーどんなケーキ?みたいみたい!」
おそるおそる祐人をチラ見する。
すっげー嫌そうな顔しながら、
「別に、隼人がいいなら、いんじゃね」
と小さく低い声で言った。
俺は片手でゴメンとポーズをとってみせたあと、
冷蔵庫前に移動した。
「見るだけだからな、食わせねーよ?祐人が俺に買ってくれたやつだからな?」
真太は、ほんとにわかってるかはさだかではないが、うんうんうんうんと笑顔で頷いた。
俺は箱をそっと冷蔵庫からだして、
ローテーブルに置いた。
箱をあけて、中のケーキをゆっくり引き出す。
小ぶりのホールケーキ、甘いものどちらかという俺ら二人なら、余裕で2分の1ずつ完食できそうなサイズだ。
シンプルな生クリームのデコレーションで、テッペンはイチゴとクリームで綺麗に飾られて、Merry Christmasと書かれた薄いリボンみたいな形のチョコレートが乗っている。
すげー、うまs
「うまそー!!俺も1口頂戴!一口でいいから!!」
ほらこうなった、とでもう言うように、祐人がため息を着いた。
包丁を持ってきて、ケーキを半分に切って、
2枚皿を用意してふたつに分けてのせた。
あ、フォーク、と思ったら、後ろから祐人が、ん、と言ってフォークを2本渡してきた
「さんきゅ、さすが祐人」
よく気づくな。
こんなんで機嫌が取れるとは思わないけど、一応笑顔を向けておいた。
祐人はちょっと嬉しそうにした。
「いただきまーす」
さすがに最初の一口は俺が食べる。
祐人もそのつもりみたいで、俺が食べようとするのをみたまま、自分のフォークを動かそうとしない。
「んー…」
口の中に程よい甘さが広がってたまらなく幸せな気持ちになる。
「んっっま…祐人さんきゅーなー」
「よかった」
祐人は結構嬉しそうにした。
「ひーとくち!ひーとくち!俺も!」
「わかったって…」
横で騒がしい真太用に、1口分フォークに乗せて、
真太の口に持っていく
「は???」
祐人がすげー嫌そうな顔をした。
フォークを思わず引っ込めようとしたが遅かった。
「んー!んめー!」
真太は遠慮せず一口でケーキを口に入れていた。
俺はまた祐人にゴメンとジェスチャーして、
「真太これでおわりだからな」
と言ってまたケーキを食べ始めた。
「祐人、ほんとうまいよ、まじさんきゅな」
そう言って笑いかければ、祐人はまたちょっと嬉しそうにして、自分もケーキを食べ始めた。
いいなー、もうちょっと食べたいなーと呟きながらみてくる真太を無視して、2人とも食べ終わると。
真太は、あーあー、かえろーと言って立ち上がった。
玄関を出ていく真太を見送って、鍵をかけてリビングに戻ると、
祐人は食器を流しに運んでいた。
「祐人、片付けやっとくからちゃっとお風呂しや。仮眠の時間遅くなるぞ」
真太は不貞腐れたように口を尖らせてこっちをみてきた。
「最初っから追い返せばよかったのに…」
「わるかったって」
「隼人のためにつくった飯とケーキだったのに…」
「真太はつまんだ程度で、ほとんど俺と祐人で食ったじゃん」
「真太にケーキ食わせてた……」
わざとらしくイジイジと体を揺らす祐人が面白おかしくてため息混じりに笑った。
「ごめんって。……わび、になるかわかんないけどさ、祐人がよかったら、明日一緒に出かけね?クリスマスデート、的な?」
「まじで?!」
急に祐人がキラッキラになった。
すごく嬉しい、が伝わってきて、こっちまで嬉しい気持ちにさせてくる。
自分で言っといてちょっと恥ずい
「ん、…イルミネーションとか、ベタすぎ?てか人多いかもだけど……祐人が他に行きたいとこあればそこでもいいし」
「イルミネーションいこ!最高じゃん!よっしゃー!!」
祐人はウッキウキで風呂に入っていった。
俺も洗い物をしながら、楽しみだなと思った。
。。。。。。。
(祐人)
朝6時まで仕事して、帰宅。
夜中に酔っ払いに絡まれてだるかったー…
クリスマスだからってはしゃぐなっつーの
……あ、いや、俺も今日隼人とクリスマスイルミネーションデートだったー!
ふぅぅぅう!
いつもの様に隼人を起こさないように、静かに鍵を開けて静かにドアを開けて閉める。
手洗いうがいして、服着替えて…
そーっとリビング横の引き戸をあけて、
隼人の寝顔を遠くから確認する。
はぁ愛し。
もっかいそーっと閉めて
リビングに置いてあるポールハンガーにかけてある薄手の毛布をとって、
クッションを枕にしてごろんと横になる。
昨日風呂から出たら、隼人に、ばななの里を提案された。
イルミネーションの王道だよな、行ったことはねーけど。
こーゆーのは彼氏が運転してくのが鉄則。
つまり俺だ。
いや
隼人を彼女ポジションにしてるつもりはないけど、
やっぱかっこつけたい。
男の性だよな。
てことで、万が一にも居眠り運転とかしねーように、
ちゃんと仮眠をとらないとな。
カチャっ…カタっ
「んー…」
「起こしたか?おはよ」
作業台の上に皿を並べてる隼人が
こっちをみおろして、笑顔をむけた。
天使じゃん……
「あれ?まだ寝る?」
。。。。。。
(隼人)
9時すぎたからそろそろ起こそうかなー
朝飯たべるだろうし…
皿準備してた時に一瞬起きた気がしたけど、また寝たんだよね。
「祐人、9時過ぎてるけど、起きない?」
薄い毛布1枚かけてローテーブルの横でクッションを枕に寝ている祐人を軽く揺さぶった。
「んー…」
祐人が眠そうに薄目を開けた。
「隼人ぉ」
「ん、おはよ」
祐人の腕がゆっくり上がって、俺に触りそうなとこで祐人の顔に落ちた。
祐人は腕で自分の目元を隠すようにして、
あー……と言った
「あー………………………………キスしてぇ」
は?!?!?!
「お、…おれと?」
驚いて馬鹿みたいな質問してしまった。
「お前以外にだれがいんだよー……」
寝ぼけてるのか?
戸惑いが隠せず言葉が出てこない。
ほんとに素直すぎて恥ずかしい。
祐人がキスしたいのは、俺だけ……
祐人は、はーーーっと息を吐いて、
勢いよく立ち上がった。
「今日は小倉トーストにしよ!」
ニカッと笑った祐人に、胸が少しキュッとなった。
祐人は、本当に俺を好きでいてくれるんだろう。
キスもしたいんだろう。
それを、我慢させて…
俺がいつかその思いにこたえてやれるかどうかもわからないのに…
「隼人、はやくあんこだーしてー」
「あ、おう」
ローテーブルに肘をついて、祐人がへへっと笑った
祐人が嬉しそうな顔をすると、 俺も少し嬉しい気持ちになってしまう。
このまま流されていいのかな
「今日楽しみだなー、何時に行く?」
トーストをトースターにいれていると、祐人が言った。
昨日寝る前に点灯時間を調べておいた
「17時頃から点灯らしいけど、…てか夜飯どーする」
トースターのつまみをぐるっと回すと、ジジジジジと音がする。
「ばななの里の中にもなんか食べるとこあるんちゃん?」
「あるっぽいけど、激混みじゃね?17時に行って、2時間いたとしても19時だろ、んで帰り道にどっかで食ってくとかもありかなーとか考えてた」
話しながら冷蔵庫からバターとあんこを出す。
「おーいーじゃん、そーしよ、でも帰り道に飯屋あるかな」
「なーんかあるだろ、調べてみてー」
バターとあんこをテーブルに置いてから、
マグカップを出して、そこにインスタんコーヒーを入れる。
「おー」
。。。。。。
(祐人)
やっべー…めっちゃテンション上がる。
助手席に隼人乗せてちょっとした遠出とかやべー…
まじやべー
めっちゃ嬉しい。
「ほんとに帰り運転変わらんくていいの?」
「いいのいいの、俺超絶ハッピーだから北海道まで運転できそう」
「なんだそれ、ふふっ、北海道って車で行けんの?間海じゃね?」
「トンネルかなんかあるだろ?」
アホみたいな会話しながら、好きな歌流して歌いながら、
気付けば目的地だ。
高速使ったら30分ちょいでついちゃうんだなー
コンビニでチケット買っといてよかった。
チケット買うとこだいぶ並んでた。
事前に購入していたチケットで問題なく入園して、
園内に入った。
園内はどこもかしこもキラッキラに彩られてた。
すげーなー、とか綺麗だなーとか言いながらキョロキョロとまわりをみわたす隼人が、
イルミネーションの光に照らされて、目がキラキラしてて、
花より光よりなにより綺麗だった。
「あれは何イメージしてんだろ、何モチーフかな…どう思う祐人?」
俺の名前呼びながらキラキラの中で振り向く隼人やべぇ
「祐人?ちゃんとみてる?」
「あぁ、めっちゃみてる。隼人のこと」
ポポポっと隼人の頬が赤くなったのが、光に照らされてわかる。
「バカじゃねーのっ…イルミみろっつの」
ああ、やべぇなこれ…
「隼人」
んだよ、と前を向いたまま言われた
「手、繋いじゃダメ?」
数メートル、ゆっくり黙って歩いていた隼人が、
ふいに、ふっと、手を、1歩後ろを歩いてた俺にむかって、うしろに伸ばしてきた。
「手、繋ぐだけだからな…あと、今日だけ」
小さな小さな声でそう言った。
俺にははっきり聞こえた。
今すぐ抱きしめたくなる気持ちをおさえて、
たまらなく愛しい気持ちを抱きしめて、
その手を掴んだ。
「っ、恥ずい」
「なんか恥ずいな」
ふたりでそう言って、
俺は隼人ではなく、まわりのキラキラの光をみることにした。
ヒンヤリした空気の中をあるいてるのに、
まわりの光が、繋いだ手、隼人の体温が、
すごくあたたかく感じた。
白い光のトンネルを通りながら、このまま二人で不思議な世界に行っちゃってもいいかも、なんて思ってしまった。
離れた場所から聞こえる、子供のはしゃぎ声も、暗がりに広がる白い吐息も、
小さなことまでなにもかも、綺麗に感じる。
だけど、ふと横を見た時視界に入る、
隼人の横顔が、
明かりではっきりとうつしだされるまつ毛が、
少し赤くなった頬が、
隼人の全部がなにより綺麗で、隼人と、今この瞬間がたまらなく愛しいと思った。
。。。。。。。
(隼人)
「手、繋いじゃダメ?」
っ、
何言ってんだこいつ
外で男ふたりが手繋ぐって…
……………クリスマスだから、
クリスマスに当てられただけ…
「手、繋ぐだけだからな」
クリスマスに当てられただけ…
手を伸ばしてしまった…
「あと、今日だけ」
聞こえたかどうか分からないような声でそう言うと、
すぐに祐人が俺の手をつかまえた。
これ…
「っ恥ずい」
めっちゃ、恥ずい…
「なんか恥ずいな」
お前も恥ずいのかよっ
心臓がやけに早く鳴ってる気がする
体が暑く感じる
きっと、クリスマスのせいだ
きっと、外が冷えてるせいだ
イルミネーションが、思ったよりずっと、綺麗だったせいだ。
。。。。。。。。
(祐人)
しばらく手を繋いで歩いたあと、
「帰る前に写真撮りたいから、手…」
と言われて手を離して、
それからはまた最初と同じように歩いた。
近くのファミレスで夜ご飯を済ませて、
車に乗る。
助手席に乗った隼人が少し眠そうな目をしながら口を開いた
「綺麗だったなイルミ」
「なー、また行こーぜ」
そう言いながらエンジンをかけた。
しばらく走って、高速に乗ったあたりで、隼人がまた眠そうにゆっくり声をだした
「なぁ、祐人」
「んー?」
「…俺、今のとこ、祐人の気持ちにこたえてやれるか、わかんないよ…ごめん…いいのか?」
少しだけちくっとした。
幸せで浮かれていたところに、突然の現実。
だけどそれでいい。
「いいよ。俺も今のとこ、隼人のこと諦める気ないから。」
今のとこっていうか、ずっと。
多分俺は隼人に完全にフラれたとしても、隼人への想いは消えない気がする。
それぐらい、好きだ。
隼人が気にしないように、笑いながら言った
「隼人は気にすんな。黙って俺に好かれてたらいいよ。」
隼人は気にしたんだろう、自分は恋愛の好きではないのに、手を繋ぐのを許したこと、恋人みたいに一緒にデートしたこと。
これでいいのか、とか祐人に申し訳ない、とかも考えたのかもしれない。
気にしなくていい。
全部わかってる。
俺がしてることは、俺がしたくてしてることだ。
隼人に気持ちがなくたって、手を繋いで歩けるだけで幸せだ。
俺と一緒にいるとき、嫌がらないどころか、楽しそうな顔をしてくれる。
俺がしたことや、言ったことに、照れたり、喜んたりしてくれる、
それで幸せなんだ。
「ありがとな隼人」
そう言って一瞬ちらりと助手席を確認すると、隼人は目を閉じていた。
デートの後の帰り道、車を運転する横、助手席で好きな人が寝てる。
こんな幸せな状況をありがとう。
高速をおりてしばらく走って、赤信号になったときに、横を確認する。
エアコンの風で揺れる隼人の前髪が可愛い。
隼人の頭がコロンと傾いて、窓にもたれ た。
窓、冷たくないか…?
次の赤信号で止まった時、起こさないよう、ゆっくり、そっとシートを少し倒してやった。
起きる気配は無い。
今日は隼人と手を繋いだ。
隼人とイルミネーションを見た。
帰り道には助手席で隼人が寝ている。
幸せだ。
安心して、俺に好かれていてくれ。
安心して眠っていてくれ。
隼人が安心して眠ってる、それは俺にとってすごく幸せなことだ。
俺が絶対お前を口説くから。
願わくば、ただ、俺を拒まずにいてくれたら、
それでいい。
俺は隼人との今も、
隼人との未来も、
諦めないから。
。。。。。。
。。。。。
(祐人)
駐車場について、隼人を起こそうとして
思わず動きを止めた。
天使すぎる。
デートの帰りに助手席で寝るの天使すぎる。
脳内で悪魔と天使が戦った。
盗撮はよくない。
隠し撮りはよくない。
でも今日この日の記念になる。
俺は欲望に負けて、こっそり隼人の寝顔をスマホでおさめた。
スマホの画面をくらくすると、すぐに通知音がなった。
起こす前に確認する。
仕事のメッセージだった。
『急で申し訳ないのですが、今日0時から2時まで2時間でいいので夜勤出て貰えませんか。
かわりに明日は、16時まででお願いします。』
今から夜勤は正直だるいと思ってしまった。
今この幸せのままぐっすり眠りたかった。
でもまぁいいや。
明日いつもより2時間早くあがれるなら、明日、隼人の誕生日、好きなものを作ってあげられる。
ケーキも買いに行けるな。
『了解です』とメッセージを返して、スマホをしまった。
それからまた隼人をみつめて、ついに肩をゆすった。
「隼人、家ついたよ」
「ん……さんきゅ…」
隼人が目を開けて、周りをキョロキョロと確認した。
家だと認識したのか、ふーと息を吐いて、シートベルトを外した。
車をおりると、
「祐人、今日ありがとな、運転も、ばななの里も」
隼人が笑った。
「こっちこそさんきゅ。楽しかった。」
家に入るまでに、急遽夜勤が入ったことをつたえると、案の定心配された
「今からじゃあんま仮眠できんくね?大丈夫?」
優しいんだよな
「大丈夫だって、今ちょー幸せだから動ける。しかも2時間だしな」
「運転気を付けてな」
家に入って手洗いうがいを済ませると、隼人はすぐにお風呂のお湯をためはじめた。
「風呂いれてるから、たまったらすぐ入って仮眠しろよ」
はーやさし。
お湯が溜まるまでの待ち時間、今日撮った写真をお互いに送りあった。
「隼人の撮ったのキレーに撮れてんなー、すげー」
「祐人お前…俺写りこんじゃってるじゃんこの写真」
「なにいってんだよ、隼人がメインだよ」
「やめろよ…」
俺はいちばん綺麗にとれている写真をすぐにらいんらいんのアイコにした。
今まではずっと夏一緒に見た花火の写真だった。
花火の写真も捨てがたいので、それはらいんのホーム写真にしておいた。
それから、隼人の寝顔をスマホのホーム画面にしようかどうかめちゃくちゃ悩んで我慢した。
ちなみに今のホーム画面は隼人が初めて作ってくれた料理、片面焦げてたハンバーグと、量が少ない味噌汁の写真にしている。
ロック画面は、コーヒーの入ったマグカップがふたつ、トーストが乗った皿がふたつテーブルに置いてある写真。
どれも、俺の大切な、生きる意味である写真にしてる。
隼人と手繋いでるとこも写真撮りたかったな…
自分から手繋ぎたいって言っといてあれだけど、
意外と緊張して、あんま余裕なかったな。
ただただ幸せだった。
「あ、隼人、明日誕生日だろ、夜飯何がいい?2時間早く上がれるからなんでも作れるよ」
「んー、別に普通でいいけどな…祐人の焼くチキンステーキ好きかな。あとなんかエビでもいいな。味噌汁はあったら嬉しい。インスタントじゃないやつ」
「味噌汁と、チキンステーキかエビなー。ケーキは何ケーキがいい?」
「ケーキは昨日食っただろ」
隼人が笑う。
「ケーキはいつ食っても美味いだろ」
「たしかに」
隼人が笑う。
「クリスマスケーキと誕生日ケーキは別モンだろ?」
「さすがにホールじゃなくていいからな」
隼人が笑う。
「なんか1切れずつのケーキ買うか」
「クリームじゃないチョコ系のケーキかモンブランがいい」
「来年はさ、クリスマスにカットケーキで、誕生日にホールケーキにするか」
「ありだな」
隼人が笑う。
俺と一緒にいる時間、隼人は笑ってくれる。
俺がなんとなしに話す、来年の話を、隼人は否定しない。
尊くて、愛しくて、少しだけ切なくなった。
今はまだ。
。。。。。。
(隼人)
祐人はお風呂が沸くとすぐに入った。
祐人が出てから交代で俺もはいる。
結構歩いたから湯船に浸かるとほーーっとした。
風呂から出て、ドライヤーしたり洗濯回して干したり、
やることを終えて寝室にはいると、祐人はもう寝ていた。
起こさないように静かに自分も横になる。
祐人の寝顔をみて、
思わず
「ありがとな祐人」
言葉がでてきた。
今日、楽しかった。
…また行こーぜ…
また、行きたいと思った。
行けるといい。
だけど、俺は、…
祐人と同じ気持ちになれるだろうか。
祐人と一緒にいるのが居心地がいい
必要とされるのが嬉しい
また一緒に出かけたいと思う
だけど…
祐人みたいに、真っ直ぐ、祐人だけを好き、って気持ちに、またなれるんだろうか…
祐人は俺にそれを強制しない。
気持ちを押し付けても来ない。
ただ、
自分のしたいように、俺をまっすぐ好きでいてくれてる。
なれるかどうか、わからないけど、
ただきっと、そうなれたら、すごく、幸せなんだろうな…
そう思うくらいには、自分にとって祐人は特別な人。
その事実は確かで、少し安心して、
俺も眠りに落ちた。
朝起きると隣に祐人が寝ていなかった。
先に起きたのかと思ってリビングにいくと、
祐人はトーストを焼いていた
「おはよ、誕生日おめでと。今スペシャルトースト作るからな。顔洗ってこいよ」
なんだスペシャルトーストってと思いながら、トイレすませて、顔も洗ってきた。
祐人はリビングに戻ってきた俺に見えないように背中で隠しながら、トーストを何やら細工していた。
いつものようにローテーブル横のクッションに座って、
しばらくすると祐人が皿を持ってきた。
「じゃーん!ハッピーバースデー愛のトースト」
「ぷっ、なんだ愛のトーストって、ははっ」
トーストの上に、ハートを描くようにイチゴジャムが塗られてた。
一生懸命ハート型になるように塗ってたのか。
「さんきゅ」
よく考えるなこんなことを。
祐人用のトーストは普通にイチゴジャムが塗ってあった。
「あ、コーヒーな、ちょっと待って」
自分の分のトーストをテーブルに置いて、座りかけた祐人はまたドタバタと立ち上がってコーヒーをいれに行った。
。。。。。。
(祐人)
いつもは俺も隼人も6:45分にアラームをかけていて
一緒に起きる。
今日は6:35にアラームをかけておいた。
いつものアラームだと隼人がまちがえないように、いつもと違うアラーム音にしておいた。
無事にアラームがなってすぐ起きることができた。
隼人が起きてないか確認する。
ぐっすり寝てる。
隼人、誕生日おめでとう。
生まれてきてくれてありがとう。
俺と出会ってくれてありがとう。
あの日俺を助けてくれてありがとう。
今一緒にいてくれてありがとう。
ありがとうを言い出したら、きりがない。
これからももっと伝えてくからな。
予定通り16時にあがれた。
急いでスーバーで買い物をする。
よかった、エビあった。
鶏ももが品切れてることはよっぽどないけど、エビは並んでる数が少ないからないこともある。
エビと鶏もも、隼人はキノコ類とオクラとかも好きなんだよな。
エビと舞茸とオクラをソテーして、
チキンステーキに添えよう。
味噌汁の具は冷凍してあるからすぐできる。
買ったものは、エビ、舞茸、オクラ、ヤングコーン、鶏もも、隼人の好きなチューハイと、自分の好きなチューハイ、飲むかわからんけど一応買っておいた。
ヤングコーンは入ってるだけでオシャレに見えるし彩りが良くなるきがして。
まとめてソテーだ。
彩りを考えると、プチトマトとか優秀だけど、隼人は生のトマトがきらいだからな。
よし、あとは大急ぎでケーキ屋に行くぞ。
この前のケーキ屋より、近くにあるシャトレーズにしよう。
シャトレーズはチェーン店だ。正直に言えば前のケーキ屋とかのが美味しいけど、
シャトレーズもじゅうぶん美味しい。
焼き菓子やアイス、和菓子なんかも置いてあるが、真っ直ぐケーキのショーケースに向かう。
ひと通りケーキを眺めてすぐに店員に声をかけた。
「すいません、」
「はい、お決まりでしょうか?おうかがいします」
「ガトーショコラひとつと、モンブランひとつ、チョコショートひとつで」
隼人のガトーショコラとモンブラン、俺はチョコショート。
隼人はクリームじゃないチョコ系っていってたけど、やっばりクリームっていったらチョコショートをやろう。
「こちら3点でお間違いないですか?」
「はい、…あっ!あとロウソク、この小さい5本入りので」
「かしこまりました」
会計して、箱に詰められたケーキを受け取って、大急ぎで帰る。
昨日、ってか今日か、2時に夜勤帰ってきて
ちょっとだけレシピサイトをみてた。
エビの料理なにかいいのないかなって
コンソメ味のゼリーで固めたのとか、それをジュレ?みたいにするとか、
オシャレなのもあったけど、
さすがにそういうのに挑戦するには時間が足りなくて
普通にソテーすることにした。
なんやかんやで17:30。
隼人が帰ってきたらすぐに食べれるくらい目指して作るぞ。
先にケーキを冷蔵庫に入れてと、
ロウソクどこおいとこかな…
え…ちょっと待て。
ロウソク!!
火!
…コンロの火…じゃ…強すぎてロウソク溶けるよな…?
俺たちはどちらも非喫煙者、ライター持ってないし、
マッチなんて家に置いてない。
実家にはマッチあったなー
墓参りとか仏壇とかに線香とロウソク…
ってそんなこと考えてる場合じゃねぇ。
ダッシュでコンビニいくか?
いやーもうこれはしゃーない。
隼人にメッセージを送ることにした。
『おつかれさま、わるいけど、コンビニかどっかでライターかマッチ買ってきて』
送信。
さー作るぞ。
まずは小鍋に味噌汁用の湯を沸かす。
だしの素を入れておく。
沸かしてる間に…
オクラは頭切って、
塩まぶして、板ずり。
板ずりなんて言葉も知らなかった。
隼人と出会ったから、出会った言葉だ。
塩洗い流して…
エビは茹でてあるの買ってきたから、料理酒かけなくていいし、
生魚とかには料理酒かけるといいとかもしらなかったよな。
鍋が沸いてる。
フリーザーバックに入れて冷凍してある味噌汁2人前セット(人参、大根、えのき)を冷凍庫からだして、鍋の中にいれる。
次は舞茸を切る。
舞茸って切るのむずいよね。
どこで切ったらいいのかわからん。
ちょっと小さめに切ろうとするとバラバラになるし。
とりあえずこんなもんだろ、ってとこで切って…
ヤングコーンの水煮は軽く洗うだけでおけ。
フライパンにオリーブオイル、それからあらびきローストガーリック、
これ便利。
隼人はニンニクがきついのは苦手だけど、やっぱりニンニクがほんの少し入るだけで味ちげーんだよね。
これなら、パラッとほんの少しだけいれられるから超便利。
てかオリーブオイルなんて使ったこと無かったわ。
サラダ油より体に優しいらしいから、俺が料理で使うのは、オリーブオイルかごま油にしてる。
風味もいいしな。
火をつけて、香りがたってきたら…
いや、ていうか最初レシピ見てて、香りがたつってどーゆー意味?ってすごい謎だったけど
やってみたら分かるようになってきた。
香りがかわる。
マイタケとオクラを先に入れて
生だからね。どっちも火のとおりは割と早い。
オクラにいたっては生でも食べられる食材だしな。
火が通ったらヤングコーンと茹でエビもいれて、
塩コショウふって…
完成!
大きめの皿の隅に寄せるようにのせておく。
チキン一緒にせるから、と。
味噌汁ももう野菜は煮えたはずだ、乾燥ワカメをひとつまみと、冷凍庫に入ってる刻みオクラをパラパラと入れて、火を弱くする。
味噌をいれてといたら完成。
さて、チキンを焼いていくー
今からならちょうど隼人が帰ってくる頃に焼き上がるだろ。
鶏ももに塩コショウをふる。
今使ったフライパンをさっとキッチンぺーバーで拭いて、
オリーブオイル薄く引いておいて…
焼いていく
フライ返しで頑張って何回も押して
皮をパリッと焼けるように…
玄関のドアが開く音が聞こえた。
「ただいまー」
隼人が帰ってきた。
丁度もうすぐ焼き上がる。
タイミングバッチリだな。
「おかえりー」
「めっちゃいい匂いするわー、腹減ったー」
まだそんなには冷めていないけど、
ソテーをのせてある皿にラップをかけてレンチンする。
それから、焼きあがったチキンを同じ皿にのせて
キッチンバサミでチキンを切る。
縦に切っていって、6切れくらいになるように。
味噌汁もおわんにつけて…
隼人がリビングに入ってきてクッションに座った。
皿を持っていって前に置く。
「すげー!豪華!すげー!俺の好きなもんばっかじゃん!うまそー!」
喜んでくれる隼人笑顔が眩しいっす…
作ってよかった…
作ったものをいつも一緒に食べるけど、
先に隼人がひとくち食べるのを見届けてから自分も食べ始める。
隼人が、俺の作ったものを、美味しいと言って食べる顔がみたいから。
隼人は美味しいものをたべると、ほんとに美味しそうなんだなって顔して食べるからほんと好き。
食べてるのみてるだけで幸せになれる。
「ごちそうさま!まじでうまかった!祐人ありがとな」
笑顔が尊い。
「よかったよかった」
ありがとうはこっちだっつーの…
食器を流しに入れて、
ケーキ用の食器を用意する。
あとロウソク。
テーブルに食器を置いて、冷蔵庫からケーキの箱をだした。
「ケーキ嬉しいわー、さんきゅー祐人」
だらかこっちがサンキューだって…
箱を開けて、中身をバーンとお披露目する。
「おー!うまそ!」
「隼人クリームじゃないチョコ系言ってたから、ガトーショコラ買ってきたけど、好きな方でいいよ」
「ガトーショコラがいい!」
ああ可愛い。
前のめりに目キラキラ
ありがとうございます。
「モンブランも食べていいからな」
「いぇーい、じゃあモンブランは半分こしよーぜ」
「いいよ食べて」
「せっかくの誕生日ケーキだから一緒に食べよーぜ」
どゆこと????
せっかくの誕生日ケーキだから、ひとりで全部食べていいのよ??
優しすぎない?
女神じゃん。
まじ好き。
ガトーショコラとチョコショートを各々皿にとって、
モンブランは箱の中で待機
隼人のガトーショコラに、ロウソクを1本立てた。
「一本でいいか?5本立てる?」
「1本でいいよ、とっといてまたなんかのとき使おうぜ、来年の祐人の誕生日とか」
俺の誕生日は5月だ。
来年の俺の誕生日をここで一緒に祝ってくれる
当たり前みたいにそう言ってくれる隼人に
なんだか心臓がぎゅっとなった。
隼人が買ってきてくれたライターで火をつけて、
電気を消した。
せっかくだからスマホで動画を撮る。
「はっぴばーすでーとぅーゆー、はっぴばーすでーとぅーゆー、はっぴばーーすでーーー、でぃーあ はやとーーーーー、はーーっぴばーすでーとぅーーゆーーーーーー、おめでとー!」
隼人は少し照れながら、ふうっと息を吐いた。
ロウソクの日がすっと消える。
電気をつけると、消えたロウソクの先からヒョロヒョロと煙が伸びていた。
ロウソクを抜いて立ち上がる
「いろいろありがとなー祐人」
笑顔で俺を見あげてる隼人をみて、
猛烈にキスしたくなった。
誕生日おめでとう、と言って、キスできる関係になれたら、
幸せだろうな…と。
「ありがとうはこっちだからな。」
「ははっ、なんだそれ」
少し切なくなる気持ちを押さえ込んで、
ロウソクを流しに持って行って、水をかけた。




