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第35話:資本の暴力(ラグジュアリー)とクリスマスの頂点! 黄金のヘリで飛ぶ空中資産!

1. 13:00:午後の寄り付き「機関投資家(女王)」の参戦


「……いいか高坂。ここから先は『実体経済』の常識を捨てろ。これまでは言わば情緒的な国内取引だったが、午後からは神宮寺カレンという名の**『巨大資本メガバンク』**による、なりふり構わない強硬突破が始まる。……見てみろ、あの空を。もはや気象条件ではなく、資本の力で雲さえも散らされているぞ」


2026年12月24日、13時ちょうど。

八重洲学園の屋上ヘリポート。俺、高坂優人は、アリスとの「知的な余韻」に浸る暇もなく、強烈なローターの風に煽られていた。耳元のインカムからは、管制塔(という名の自宅PC前)で震える親友・佐藤の、畏怖に満ちた声が響く。


「……佐藤、あいつ、本当にヘリを学園に降ろしたのか?」


「ああ。しかも機体は純金コーティング。……高坂、お前の時価総額は今、高度1000フィートまで垂直上昇しようとしている。……心臓のレバレッジを最大まで引き上げておけ。女王様の『直接投資』は、並の男ならショック死するレベルだぞ」


【市場速報】

13:00、カレン・セクター開始。神宮寺財閥による「聖夜の総力戦」が発動されました。都内の主要スポットの『独占予約権』が次々と落札され、クリスマス市場はカレン一色に染まっています。


2. 13:30 〜 16:00:【カレン・セクター】高度3000フィートの「独占配当」


「――待たせたわね、優人くん。……その安っぽいマフラー(※アリスからの贈り物)は、一旦私の預かりにしておこうかしら?」


ヘリから降り立ち、赤い絨毯の上を歩いてきた神宮寺カレンは、まさに「現世の女神」だった。深紅のロングコートの下には、この日のために特注されたという、宝石を散りばめたドレス。彼女が歩くたびに、冬の寒空にダイヤモンドの粉が舞うような錯覚さえ覚える。


「カレン……その格好、さすがに気合入りすぎじゃないか?」


「失礼ね。これは気合ではなく、私からあなたへの**『最低限の礼儀(インフラ整備)』**よ。……さあ、乗りなさい。今日の午後は、この世界の『頂点』をあなたに見せてあげるわ」


ヘリに乗り込むと、そこは空飛ぶスイートルームだった。

シャンパン(ノンアルコール)の泡が揺れ、眼下にはミニチュアのような東京の街並みが広がる。カレンは俺の隣に座ると、当然のように俺の腕を引き寄せ、自分の肩に預けさせた。


「……見て。あのスカイツリーも、東京タワーも、今だけは私たちの『キャンドル』に過ぎないわ。……優人くん。……他の女たちが、あなたに小賢しい『将来の約束』を説いている間に、私はあなたに『今の世界の全て』を買い与えてあげる」


カレンの瞳には、圧倒的な独占欲と、それを裏打ちする無限の愛情(資本)が宿っていた。

彼女は俺の指先に、そっと冷たい、けれど情熱的な重みを感じるリングを滑らせた。


「……これは?」


「神宮寺財閥が保有する、未開発の小惑星の『命名権』よ。……今日から、宇宙の片隅にあなたの名前が刻まれたわ。……あなたは、地上の誰のものでもない。……私の宇宙の一部なのよ」


【市場状況:時価総額・測定不能】

神宮寺カレンによる「宇宙規模のギフト」投下。高坂優人の資産価値は、もはや地球上の経済概念を逸脱。全投資家が、そのスケールの大きさに絶望的な買い注文デレを送り続けています。


3. 16:30 〜 18:00:地上50階の「敵対的買収プロポーズ


ヘリは都内最高級ホテルの屋上へ着陸した。

そのまま最上階のレストランを『全フロア貸切バイアウト』にした空間へと案内される。

窓の外は、マジックアワー。空が紫から深い藍色へと変わり、街の灯りが宝石をぶちまけたように輝き始める。


「……カレン。俺、こんな高いところにいてもいいのかな」


「いいに決まっているわ。……優人くん、あなたは気づいていないみたいだけれど。……あなたは、私にとっての『唯一のヘッジ資産』なのよ」


カレンは窓に映る自分の姿を見つめ、静かに、けれど力強く語り始めた。


「……私の周りには、金や権力を目当てにする有象無象の投資家(男)ばかり。……でも、あなたは違った。……私の『株価』がどんなに高くても、あなたはただの『カレン』として私を見てくれた。……だから、私は決めたの。……私の全人生を懸けて、あなたという銘柄を『完全子会社化(永久ホールド)』することを」


カレンは俺の正面に立ち、俺のネクタイをゆっくりと、愛おしそうに締め直した。


「……今夜。……この後、あなたは橘さんのところへ行くのでしょう? ……悔しいけれど、それは認めてあげる。……でも、忘れないで。……あなたの『心』の筆頭株主の座は、誰にも渡さない。……もし渡そうとしたら……私、この街の全電力を買い取って、あなたの目の前を真っ暗にして、私しか見えなくしてあげるから」


カレンの顔が、至近距離まで近づく。

高級な香水の香りと、彼女の熱すぎる吐息。

俺は、資本主義の頂点に立つ少女の、あまりにも「純粋で重いデレ」に、完全に思考を停止(ストップ高)させられていた。


4. 18:30:タイムシェアリングの「引き継ぎ」


ホテルのエントランス。

神宮寺家のリムジンが、静かに滑り出そうとしていた。

カレンは、俺の頬にそっと、消えない印をつけるようにキスを落とした。


「……行ってらっしゃい、優人くん。……24:00を過ぎたら、また私の『自動買い付け(迎え)』が来るわよ。覚悟しておきなさい」


「……ああ。……メリークリスマス、カレン。……最高にキラキラした午後だったよ」


リムジンが走り出す。

窓の外の景色が、豪華なホテル街から、見慣れた、温かい灯りの灯る住宅街へと変わっていく。

俺のスマホには、第4セクターの「あるじ」からの、大量のLINE通知が届いていた。


5. エピローグ:19:00 最後の「安全資産ホーム」へ


俺は、自分の実家の前で立ち止まった。

正確には、その隣……幼馴染、橘ひまりの家の前だ。

玄関先には、手作りのリースが飾られ、窓からは家族の笑い声と、香ばしい「唐揚げ」の匂いが漂ってくる。


「……優人くん! 待ってたよぉぉぉっ!!」


玄関が開くよりも早く、俺の視界を「ひまわり色の笑顔」が埋め尽くした。


【最終リポート:19:00時点】

第3セクター、異次元のストップ高で終了。高坂優人の精神力、残存15%。……いよいよ最終決戦、橘ひまりによる「無償のまごころ」のセクターへ。……24時間の狂乱を締めくくるのは、果たしてどんな『配当デレ』なのか!?


(第35話・完)


おまけ:本日の市場ニュース


神宮寺カレン: デート後、優人が座ったヘリのシートを「国宝級文化財」に指定し、金庫室へ保管。代わりに予備のヘリをもう一機購入した。


四宮アリス: カレンのヘリが空を飛ぶのを地上から望遠鏡で監視。一秒ごとに「規律違反よ!」と叫びながら、ノートに呪いの……いえ、愛のメモを書き連ねていた。


如月ミア: 優人のバイタルデータに「カレンのキス」による異常波形を検知。即座に「記憶の修正プログラム」を作成したが、アリスに「データの改ざんは不正よ!」と止められた。


橘ひまり: 優人のために用意した「クリスマス・特大ホールケーキ(手作り)」に、自分の指を誤ってチョコでコーティングしてしまい、「……これ、優人くんに食べてもらったら『婚約確定』だよね!?」と一人でパニック中。


高坂優人: 宇宙の命名権という「重すぎる資産」を背負わされ、肩こりがストップ高。胃薬の服用回数が過去最高値を更新した。


佐藤: カレンが貸し切ったレストランの「残り香」を瓶詰めにして販売する権利を神宮寺家に要求したが、秒速で「消去」された。

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