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第127話:新興市場の「強制リセット(損切り)」! 七星くるみの密室カラオケと、小悪魔の青田買い!

1. 16:30:市場価値向上プログラム・第3陣の「奇襲サプライズ


「いいか高坂、よく聞け! アリスの『ムチ(スパルタ数学)』、ひまりの『アメ(生活インフラ)』を浴び続け、お前の脳細胞と理性はすでに限界(ストップ安)寸前だ! だが、優秀な投資家は知っている……右肩上がりのチャートを維持するためには、適切なタイミングでの『息抜き(利確)』が必要不可欠であることを!」


水曜日の放課後。

俺、高坂優人が図書室の片隅で、一人で世界史の暗記(過去データの蓄積)と格闘していると、インカムから親友・佐藤の熱のこもった解説が響いた。


「インキュベーション・プログラム第3陣! 本日の担当は、予測不能なボラティリティを誇る1年生の新興市場、七星くるみだ! 彼女の役割は『リフレッシュ(息抜き)』! だが気をつけろ高坂! あの小悪魔が、ただの健全な休憩を許すはずがない! 彼女の目的は、お前の集中力を根底から破壊し、自分という『ベンチャー企業』に全額投資させることだぞ!」


佐藤の警告が終わるか終わらないかのタイミングだった。

図書室の静寂を破ることなく、ふわりと甘いバニラの香りが漂ってきたかと思うと、机の下から伸びてきた小さな手が、俺の太ももを「つんっ」と突いた。


「ひゃうっ!?」


「しーっ。図書館ではお静かに、ですわよ? 先輩」


机の下に潜り込んでいたのは、制服のネクタイを少し緩めた七星くるみだった。

彼女は俺の足に自分の頭をすり寄せるようにして、悪戯っぽい上目遣いで微笑んでいる。


「く、くるみ!? お前、なんで机の下に……ってか、危ないから出てきなさい!」


「にひひ。先輩の脳内メモリ、完全にオーバーヒートして煙が出てますわよ。これ以上の無理な投資(詰め込み)は、収穫逓減の法則(やればやるほど効率が落ちる)に引っかかります。……というわけで!」


くるみは素早く机の下から這い出すと、俺の世界史の教科書をパタンと閉じ、俺の腕を強引に引っ張った。


「現在のタスクはすべて『損切り(強制終了)』! 私と一緒に、完全非公開の娯楽市場アミューズメントへエスケープですわ!」


2. 17:00:完全防音の「非公開市場(VIPルーム)」


くるみに手を引かれ、学園から少し離れた繁華街へと連れ出された俺。

辿り着いたのは、学生が気軽に入れるようなチェーン店ではなく、薄暗い間接照明に照らされた、高級感漂う完全会員制のカラオケVIPルームだった。


「くるみ、ここ……高校生が放課後に来るような場所じゃないだろ! 室料だけで俺の小遣い(自己資本)が吹き飛ぶぞ!」


「ご心配なく。ここは私の独自ネットワーク(パパ活……ではなく純粋な人脈)を駆使して手配した、特別優待枠(無料)ですわ。……さあ先輩、ソファーにどうぞ」


防音扉が閉まり、外の喧騒が完全に遮断された密室。

広々とした革張りのソファーに俺が座ると、くるみはカラオケのデンモクには目もくれず、俺の隣……ではなく、俺の「膝の上」に、横向きになるようにしてコロンと転がってきた。


「ちょ、くるみ!? カラオケに来たんじゃないのか!?」


「歌なんて歌いませんわ。私の今日のミッションは、先輩の疲れた心と身体を極限まで『リフレッシュ(甘やかす)』することですから」


くるみは俺の膝に頭を乗せたまま、下から俺の顔を覗き込み、その柔らかい両手を俺の頬に添えた。


「先輩、目を閉じて。……ベンチャー企業による、最先端の『癒やしの現物出資』、スタートです」


くるみの少し冷たい指先が、俺の凝り固まったこめかみを、絶妙な力加減でゆっくりと揉みほぐし始めた。

甘いバニラの香りと、膝から伝わる彼女の体温、そして薄暗い密室という極限のシチュエーション。俺の張り詰めていた受験のストレスは、彼女の指先から流れ込んでくる「極上のデレ」によって、文字通りドロドロに溶かされていく。


3. 18:00:リフレッシュという名の「敵対的買収ショートスクイーズ


「……んっ……ふふ、先輩、だんだん表情が緩んできましたわね」


こめかみから首筋、そして肩へと移るマッサージ。

くるみの吐息が俺の制服越しに伝わり、リラックスしているはずなのに、俺の心拍数は逆に急上昇(ストップ高)を始めていた。

これは「息抜き」などではない。俺の理性を骨抜きにするための、極めて高度な「敵対的買収(色仕掛け)」だ。


「くるみ……もう十分だ。これ以上甘やかされたら、俺、本当に勉強に戻れなくなる……」


「戻らなくていいんですわよ?」


くるみの手がピタリと止まった。

彼女は俺の膝の上からゆっくりと身を起こし、俺の首元に両腕を回して、顔を近づけてきた。


「……先輩がT大を目指すって決めたこと、私、応援してます。でも……」


くるみの瞳から、先ほどまでの小悪魔的な余裕が消え去り、急に年齢相応の……いや、後輩としての「切実な不安」が浮かび上がった。


「T大って、日本で一番頭のいい人たちが集まる市場ですよね? ……そこにはきっと、カレンお姉様みたいに綺麗で、アリスお姉様みたいに頭が良くて、ミアお姉様みたいに理知的な『超エリートの女の子(優良銘柄)』がたくさん上場してるはずです」


彼女の指先が、俺の襟元をギュッと強く握りしめる。


「……私、まだ1年生です。先輩がT大に行ってしまったら、私はただの『遠い後輩』。……新しい市場で、綺麗で大人な女の人たちに囲まれた先輩のポートフォリオから……私が『上場廃止』にされちゃうんじゃないかって、すごく……怖いんです」


4. 18:30:後発組の焦燥と「青田買い(先行投資)」


薄暗いVIPルームの中、くるみの潤んだ瞳が俺を真っ直ぐに見つめる。

新興市場ベンチャー特有の、強気な攻めの裏側に隠された「圧倒的な実績不足への恐怖」。彼女は、俺が自分から遠く離れた世界(トップ市場)に行ってしまうことを、誰よりも恐れていたのだ。


「……バカだな、くるみは」


俺は、俺の襟元を握りしめている彼女の小さな手を、自分の手でそっと包み込んだ。


「T大にどんないい女がいようが関係ない。俺のポートフォリオの中には、こんなに可愛くて、いざという時に全力でぶつかってきてくれる『最高のベンチャー企業(女の子)』が、すでに筆頭株主として居座ってるんだから」


「せ、先輩……」


「お前は成長性が無限大の新興銘柄だ。俺がT大に行っても、お前を手放す(上場廃止にする)わけないだろ。……お前が卒業するまで、俺がしっかりとホールド(独占)し続けてやるよ」


俺の言葉に、くるみは大きく目を見開き……そして、みるみるうちに顔を真っ赤に染め上げ、俺の胸に顔を勢いよく押し付けてきた。


「……っ……もう! 先輩のバカ! そういう甘すぎる言葉(IR情報)は、本当に心臓に悪いですわ!」


くるみは俺の胸の中でモゴモゴと照れ隠しをした後、ふいに顔を上げ、悪戯っぽく、しかし最高に色っぽい小悪魔の笑顔を浮かべた。


「……でも、口約束だけじゃ不安ですわ。先輩がT大に行く前に、私というベンチャー企業が先輩を『青田買い(先行投資)』したという、確固たる証明(証拠)が必要です」


5. 19:00:密室カラオケの「巨額配当(ゼロ距離決済)」


くるみはソファーの上で身を乗り出し、俺の膝に完全にまたがるような体勢(ゼロ距離)になった。


「ひゃっ!? く、くるみ……その体勢は……」


「息抜き(リフレッシュ)の総仕上げですわ。……先輩の脳内メモリ、私という存在で完全に上書き(オーバーライド)して差し上げます」


甘いバニラの香りが爆発的に広がり、くるみの柔らかく、熱を帯びた唇が、俺の唇を完全に塞いだ。


防音扉に守られた、完全非公開のカラオケルーム。

BGMすら流れていない静寂の中で、交わされる情熱的で、不器用な「先行投資キス」。

くるみの小さな舌が俺の唇をなぞり、彼女の全身から伝わる「絶対に手放さない」という強い独占欲が、俺の理性を成層圏の彼方へと吹き飛ばしていく。

アメとムチの勉強会で疲弊していた俺の心は、この甘すぎる「息抜き」によって完全に満たされ、同時に、後戻りできないほどの深い沼へと引きずり込まれていた。俺は彼女の細い腰を強く抱き寄せ、その莫大なデレの配当を全力で受け止めた。


ゆっくりと唇が離れた後、くるみは俺の胸元で荒い息を吐きながら、とろけるような至福の笑みを浮かべた。


「……はぁ、はぁ……。どうです? 私の『リフレッシュ投資』。……これでもう、T大の綺麗な女の人たちを見ても、私のバニラの香りを思い出して、何も手につかなくなりますわよね?」


「……ああ。完全に、お前の毒(魅力)が回ったよ」


「にひひ! 大成功(ストップ高)ですわ!」


くるみは俺の腕の中で幸せそうに微笑み、俺たちは密室のソファーで、勉強のプレッシャーを完全に忘れるほど甘い時間を過ごすのだった。


6. エピローグ:次なる刺客、電脳空間の過去問解析


「――おい高坂! 生きているか!!」


夜風に吹かれながら帰路につく俺のインカムから、佐藤の絶叫が復活した。


「カラオケVIPルーム周辺の生体データが、先ほどから異常な乱高下ボラティリティを記録していたぞ! まさかあの小悪魔後輩……『息抜き』という最強の免罪符を使って、勉強のストレスをすべて『色仕掛け(ゼロ距離決済)』で溶かし尽くしやがったな!?」


「……ああ。佐藤、息抜きって怖いな。俺、T大へのモチベーションが『勉強』から『くるみに褒められたい』にすり替わりそうだよ……」


俺がバニラの香りの余韻に浸りながら呟くと、佐藤はさらに声を張り上げた。


「骨抜きになっている場合か高坂! アリス、ひまり、くるみを乗り越えたお前を明日待ち受けているのは、インキュベーション・プログラム第4陣……情報処理とデータ分析を司る技術セクター、如月ミアだ! 彼女の担当は『過去問の徹底解析と弱点補強』! ……確実にお前の脳内に、彼女の組んだエリート養成プログラム(愛の洗脳)が直接インストールされるぞ!!」


卒業(第150話)に向けた、六大資本による「インキュベーション(受験勉強)プログラム」。

自立を誓った俺の戦いは、理性の限界を毎秒更新しながら、情報戦(電脳空間)の領域へと突入していくのだった。


(第127話・完)


本日の市場ニュース(個別ピックアップ:七星くるみ編)


七星くるみの時価総額: インキュベーション・プログラムの第3陣として「息抜き(リフレッシュ)」を担当。図書室からの奇襲連行と、密室カラオケVIPルームでの「膝枕マッサージ(現物出資)」を実行。T大進学による「上場廃止の恐怖」を涙目で訴え、完全なる「青田買い(ゼロ距離決済)」をキメたことで、特大のストップ高を記録。


佐藤のアナリスト・レポート: 「受験という過酷な相場において『息抜き』という甘い言葉ほど危険なものはない。新興市場ベンチャーの不安と焦燥感を前面に押し出した彼女の『先行投資キス』は、投資家(高坂)の学習意欲を別のベクトルへと暴走させる劇薬であった」


高坂優人の現在の状況: 密室でのバニラの香りと情熱的なキスのコンボにより、疲労は回復したものの理性が完全にメルトダウン。「……俺、T大に受かったらくるみを抱きしめにいくために勉強頑張るわ」と目的がすり替わる重度の『新興市場(小悪魔)リフレッシュ依存症』を絶賛発症中。明日のミアの「データ解析」に向けて、脳内メモリを整理している。

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