第3章 その6
よろしくお願いします。。。
「いいえ──いえ。そうですね。ぼくは、聞きたくないような。
でも聞かなければいけないような。
けれど、やはりこのまま見ないふりをしていたいような。
駄目ですね、こんなことでは」
本調子でなかったエティには、よく分からなかった。
キーペの迷いや、困惑、諦観。
そんなものを内包した複雑な微笑みの理由は。
「エティ様が回復なさったら。
それまでには、気持ちを切り替えて、本来のお役目に戻りますね?」
「キーペ?」
エティは、もっと詳しく聞いたほうが良かったのかもしれないけれど。
キーペにそのつもりがなかったことと、エティにそれだけの元気がなかったことで、結局、聞くべきことを聞けずに終わってしまったのだった。
* * *
神殿の食堂には大き目なテーブルがひとつ。
椅子は八脚ほど用意されている。
そこで今はウードとソイルがくつろいでいる。
ソイルは椅子の背もたれに深くもたれ、両目をつむっている。
ウードはといえば、ぐったりとテーブルの上にうつ伏せになっていた。やる気なさげだ。
「ソイル様~。ゴルドのやつ、エティに気があるんでしょうかね……」
「……」
ソイルは、聞き流せないことを聞いたとばかりに、まぶたをゆっくりと開けた。
重たげに口を開く。
「わたしにはあずかり知らないことだな、それは。
本人に直接聞いてみたらどうだ? 兄弟で遠慮する必要もあるまい」
「はぐらかされそうです」
「……ああ。それはあるかもな……」
ふー。と深く息を吐き出すソイル。
否定してもらえなかったウードは少し傷つき涙ぐんでいた。
「あなたがゴルドが好きになった乙女を横からさらっていくからだろう。
自業自得だ」
聞き捨てならないのはウードも同じで、血相変えてソイルに詰め寄る。
「ソイル様! 人聞き悪いな。みんなあちらから言い寄ってきたんですよ」
ソイルは詰められた距離を気にも留めず淡々とした表情で返した。
「ゴルドはそれを気に病んでいたことがあったぞ。
自分が付き合う乙女はみんな兄さんを好きになって乗り換えていってしまうと」
ウードが短く息を吸い込んだ。
動揺しているが悪びれる様子はない。
「それは、でもゴルドにも原因が」
「そうだな。占えというから視てやったが」
「なんて教えたんですか?」
「視えたそのままだ。『乙女はモノよりココロに動かされる』と」
「そうですか……。ゴルドはなんて?」
「残念ながら、よく分かっていないようだったな。
あれはおそらく乙女本人から聞かないと理解できまい。
いわゆるフラグだ」
「そうですか。何らかのイベントに結び付いているなら、ぼくらにできることはありませんね」
「大事にしてやれ。今回の乙女は──あれは、惚れてもおそらく無駄だ。
失恋の痛手を癒すのには、兄弟愛も必要だろう」
「無駄、とは? 他の守護者と結ばれるということでしょうか」
「いや」
ソイルは首を左右に振り、腕を組んでもう一度、椅子にもたれた。
「誰とも恋に落ちず、この世界を救って自世界に帰る。
──そういう女だ」
「!!」
ソイルは「占いがよく当たる」という設定があるんですが。
あんまり当たり過ぎちゃうと困りますね。
当たるも八卦当たらぬも八卦、くらいで書きたいんですがどうでしょう。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。




