第3章 その2
よろしくお願いします。。。
「エティ様。どうして自分のことを『乙女ではない』から『繋ぎ』にしかなれないとおっしゃるのですか?」
背後に大きなひび割れが入る心象風景のエティだ。
無表情になって淡々とした声で言う。
「聞くな」
「聞かせてください!
ずっと気になってたんです。
エティ様は確かに今までの救世の乙女よりは年嵩ではありますが」
「ふぐっ」
ざくざくと突き刺さるキーペの言葉を正面からまともに受けてしまったエティは息も絶え絶えだ。
それに気付かずにキーペが続ける。
「精霊神の加護を受けるには不都合ない身の上で」
「……く。それ以上言うな」
感情を殺して仄暗いかげりを顔にへばり付かせたエティが、目にだえ凍てついたひかりを湛えてキーペを見すえた。
キーペはしどろもどろだ。
「え。あの。でも」
「あたしは『乙女ではない』。いいわねキーぺ。その件に関して口ごたえしたら泣かすわよ」
「えええ」
意味が分からない。というか、思考がついていかない。というか。
キーペはその場に硬直してしまった。
そんなキーペを尻目に、エティは勢いよく踵を返す。
「話がそれだけならあたしはもう行くわ。おやすみ」
「あ! おやすみなさいませ」
エティは強引に話を切り上げると、後はもう振り向かずに、肩の上で手を振ってキーぺから離れた。
ワーテルが良くやる仕草だが、一度やってみたかったのだ。と、エティは内心で少しだけ楽しんでいた。
* * *
三回目の探索行では水冷の尺が発見された。
しかしそこで大問題が発生する。
寝不足と栄養不足とが重なって、エティが急病でダウンしてしまったのだ。
「ご……ごめん、みんな。っこん、こん。
大事な、時っ、なのに」
「寝不足というか、不規則ではあったなエティ。もう少し太陽の運行を意識することだ」
「仕方ないんですダルク様。エティ様は時間が異なる世界からおいでですから」
「それでこんなになるのか。気の毒に」
「それよりも栄養不足が気になるな。食料ならたくさんあったはずじゃないか?」
「リヒト様……それが実は、近ごろは衛士様方の食事に分けてまして」
「足りなくなったのか……思ったより影響が出るのが早かったな」
「おいリヒト! 聞き捨てならねぇな? まさかお前、こんな風になるって分かってて、あえてエティを止めなかったのかよ!」
「フィーレ。そういきり立つものではないよ。それに、これまでの彼女の言動を見れば──ほとんど人伝に聞いた話ではあるが──分かるだろう? 彼女はこうと決めたら行動を曲げるたちじゃない。止めたところで衛士たちへの施しはなくならないさ」
少し気を抜いたから風邪も引くんだとすると、エティもこっちの世界に慣れてきた証拠かもですね。
早いところ回復させたいです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!




