幕間〜第2章から第3章〜
よろしくお願いします。。。
「なんだ。あの聞き苦しい言葉の本心、まだあの女に聞いていなかったのか? キーペ」
「ダルク様……はい。立て込んでしまいましたので」
知りたかったのはエティの本心なので、元気のある時に二人きりになってからゆっくりと聞き出したほうが良いと考えたキーペだ。
そのためすっかりタイミングを損ねてしまった。
例の件はどうなっているとダルクに聞かれて、まだ聞けていないとしか言いようがなかった。
ダルクは特に咎め立てするでもなく少年神官に問いかける。
「それで、きみは今、どう思う? あの発言の後で探索行を共にした。彼女は衛士も守護者に対するのと同じように接していたな」
「それは前回だけでなく、初回でも同様でございました。エティ様は本当に、衛士様方を守護者様方と同じように大切にしていらっしゃいます」
「そんな人間から出てくるには、いささかしっくりしない言葉だ。『自分を置いて先に死なれては、その後の帰還に差し支える』などと──」
「そうなんですよね。そんな自己中心的な方には思えなくて。……それに、もしも本当にそう思っていたとしても、それを口に出しますかね」
「そうだな。よほどの愚か者なら言うかもしれんが」
「ダルク様はどうお考えなのですが? 現時点で、エティ様のこと」
「うん? そうだな──従来の乙女と比べるとかなり異質な存在だな。これはわたしだけでなく他の守護者。きみも含めてだが、同意見だろう。まさかおひろめの際に第三の選択肢を持ってくるとは思ってなかった」
「そうですね。あれは本当に驚きました。精霊神様がいらっしゃらない分、影響が弱いのでしょうか」
「いざという時に想定外のリアクションを返されたらと思うと、こちらもうかうかしていられないぞ。何しろこれまでに経験だけを頼りに作ってきた逆攻略マニュアルが役に立たないわけだからな」
「ダルク様、そんなものを作ってらっしゃったんですか……」
ジト目で月闇の守護者を見つめたキーペ。
ダルクは息をのんで半歩さがった。
「いや、大事なことだぞキーペ! ここに集った以上、果たさねばならない役割は救世だけではない。むしろ恋に落ちてきた乙女をどう受け止めるかが大事なのであってだな」
キーペは、ジト目はそのままで笑の形に吊り上がった口元を覆い隠して答えた。
「とか言ってダルク様、存じ上げてますよ? 話しかけられればどの方にも優しく接されますが、そのかたわらで好みじゃない乙女の関心をどうやって自分からそらすか──その研究に前向きに取り組んでらっしゃいますよね? それを役割から逸脱しない範囲で意図的に行うのは大変でしょう」
対するダルクは、目を伏せて横を向くと、ふ。と笑って答えた。
「月には二面性があって当然だ」
少し怒った顔になってキーペが言う。
「乙女方に気を持たせるから、その後で『ふられた』って仰ってぼくに泣きついてこられる乙女がたくさんいるんですよ。好みじゃないなら最初から親切にしないのも優しさですよ? ソイル様を見習ってください」
そう言われて、正面からキーペを見つめるダルク。
その顔からごまかしの笑みは消え、今は淡々とした表情で事実だけを紡ぐ。
「普段から男どもだけの際には言っている言葉だが、顔だけで寄ってくる乙女は願い下げだ、キーペ。それが何を意味するか分からぬわけではあるまい? 同様にわたしも、乙女の内面を良く知るまではことさらに冷たくはしない。それだけのことだ」
「……エティ様は? どうお思いですか?」
「エティか。そうだな──気になるか」
「はい」
「それはキーペがこれから持ってくる情報をもとに判断しよう。まだあの女の内面を知っているとは言い難いからな」
「慎重ですね? 探索行を一回、共にすれば、ほとんどのことは見えてきそうな気もしますけれど」
「探索行どころか、日常でもずっと一緒にいるキーペでさえ、あの言葉の真意を測りかねているのが現状だろう? 何、焦ることはない──こと恋愛において、自分からあれこれ行動を起こすタイプではなさそうだしな」
「それは確かに。きっと待ちのタイプですよね」
「キーペのほうはどう思う?」
「エティ様をですか? いつも通り、ひとりの乙女として誠心誠意お仕えするだけです」
「そうかな。まあ、そういうことにしておこう」
そのダルクの含みのある言い方に、キーペは、何ですかー? と聞き返したが、もうまともな返事は返ってこなかった。
基本、幕間はコメディにしたい私。
できてるでしょうか?
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!
次回は第3章が始まります。ストックゼロですが。




