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おい今度の救世の乙女は何だか想定外だな?〜誰に理解されなくてもあたしは信じた道を進むことにした〜  作者: 夜朝
第2章 〜生きてこそ得られる幸せってあるでしょ〜

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第2章 その53

よろしくお願いします。。。

 彼の手のひらから転がった棒は、周辺の氷を瞬く間に溶かして水にしたかと思いきや、間断なく今度は蒸気にしてその水を霧散させてしまい、後には乾いた土だけが残った。


「エティ! フィーレは駄目だ! きみがやれ! 棒を拾って保管庫に入れるんだ。ふたを閉めて封印するのはワーテルでもできるが、棒を持っても大丈夫なのは恐らくきみだけだ!」


 ダルクがエティや保管庫を順に指さして指示を出していく。

 エティは最初ためらったが、倒れたフィーレ以外の守護者もキーペも全員がうなずいたので意を決して火熱の軸に手を伸ばした。

 しかし、その手が途中で止まる。

 火傷したりするんじゃないだろうか。

 こんなに明るく光っているのだ、これが熱のせいなら、素手で触ったりしてタダで済むはずがない。

 脳内に鳴り響く危険信号。

 ためらうエティ。

 しかしそうも言っていられなかった。

 なぜなら。


「急げエティ! 侵害者が近い!」


「……!! ああもう、やるしかないんでしょ!」


 両目をつむって、棒をぎゅっと握り込んだ。

 するとどうしたことか、棒に灯っていた光は、炭の表面に時折明滅する熾火くらいの光量に収まった。

 辺りを包んでいた熱波も消え失せている。


「いけるぜエティ! こっちだ!」


 ワーテルが保管庫のふたを開けたまま手招きしている。


 エティは手早く火熱の軸を保管庫へ寝かせた。


 そこへ新たにやってきたのは五つほどの小さな火の玉。

 それらはちらちらと燃え立ちながら中空に等間隔で並び、お互いを炎の紐でつないで形を作っていく。やがて祠を数に入れた正六角形を形成すると、けたけたと笑った。


「持ッテカセナイヨ」


「置イテッテモラウヨ」


「ミンナ焼キ殺シチャウヨ」


「骨モ残ラナイヨ」


「楽シイネ」


「「楽シイネ」」


 見開いた目に炎の紐で作られた結界を映して、息を吸い込むエティ。

 彼女は結界の中央で半歩退がりながら、思ったことをつぶやいた。


「……火熱の侵害者?

 見た目かわいいのに言うことエグいわね」


 もとより祠から離れていたキーペとダルクは結界の外にいる。

 彼らふたりが苦笑を堪えているような雰囲気でそれぞれに目元を押さえた。

 ダルクがキーペに問う。


「一回目の折もあのような調子だったのか?」


「あ、いえ。前回は衛士様がすぐに亡くなられましたから……」


「なるほどな。……エティ!」


「なにようダルク! 聞こえてんだからね!」


「それは良いとして。フィーレの様子はどうだ?」


 言われてエティがフィーレの首筋や額に触れる。

 と、かなりの高熱になっていることが知れた。

 流行り病にでもかかったかのようだ。


「良くないわ! すごく熱いの! ワーテル、水冷の力で何とか冷やせない?」


「おう、やってみようぜ」


「待て! 儀礼具の安全が先だ! エマに運ばせろ」


 言われて動転したのはエティだ。

 彼女は抱きかかえたフィーレと指示を出しているダルクとを交互に見つめた後、首を強く横に振った。


「何言ってるのよ! 早く手当てしないと大変だわ!

 エマに運ばせるとなったら準備だっているでしょう?

 その間にこの子の頭を冷やすくらいのことできるはずだわ」


「じゃあワーテルがフィーレを冷やしている間に、きみが準備しろ。

 侵害者からも妨害があるだろうが、それはわたしたちが何とかする。

 それでいいな!?」


「分かったわ。ありがとう!」

ダルクは立場上、人に指示出しするの慣れてるんですよね。

もしかしたらもっと冷たい感じにしても良かったかなと思いつつ、いやいやこのくらいが丁度でしょ。などとも考えてこんな感じです。


ここまでお付き合いいただきありがとうございます!


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