第2章 その51
よろしくお願いします。。。
氷が取り巻いている火熱の精霊の祠は、昼下がりの陽の光を浴びて、ゆらゆらと、ますます強く、きらめいていた。
汗ばむほどではないが、近付くと少し暑い。
水冷の精霊が健気にがんばっていて、祠を中心にして直径十メートルほどは氷が張っている。
が、祠の周辺はそれでも溶けて水になっていた。
「この中にあるのは、素手で持ったらヤケドしたりするの?」
祠に歩み寄ってキーペに尋ねるエティ。
キーペは首を振って答えた。
「いいえ。エティ様なら大丈夫ですよ。
ただ、火熱の精霊と相性が悪い木風のウード様は触れると危ないです。
同じく可燃物に直接触れさせると焦げたりしますので注意が必要ですね」
キーペは説明しながら両手に抱えていた透明な箱を掲げた。
二台目のソリから持ち出してきていたものだ。内側で何枚ものガラスを貼り合わせているのだろうか、少年の手の位置からして持っているのは直方体のようなのに、見た目には多面体のように様々な角度からの映像が映り込んでいる。
「──回収した後は、この『水冷の保管庫』に入れて運びます。
持ち帰った後も、この箱の中に入れたままで安置しておくんですよ」
「組み立てるまでは危ねえからな」
「組み立てたら平気なの?」
「正しく組み立てれば精霊力のバランスが取れてさ、安定するようになるんだ」
キーペの後を継いで語り出すフィーレの説明を聞いてから、エティが一歩、進み出た。
その表情には、おひろめの際に宿していたような、固い決意が見て取れる。
「そういうことなら、早いところ回収してしまいましょ。
名前はなんて言うんだったかしら? 今度の儀礼具。
侵害者なんて来るのを待たずに、ぱぱっと取っていっちゃうのよ」
エティはそう言ってこぶしを握ったが、キーペはそれを聞いて厳しい表情をした。
彼女の改革が、まだ吉と出るか凶と出るか分からない。
少年神官は首を左右に振る。
「侵害者は儀礼具の部品に結界を張っています。
だから持ち出そうとすれば相手に──侵害者に伝わるんです。
そこから奴らが現地に来るまでは一瞬です。戦闘は避けられません。
本日はより一層気を付けてくださいエティ様。
衛士様方はあなたの『盾』にはなっても、『身代わり』にはなりません」
それはエティにとっては、願いであり、また望みでもあった。
しかしキーペの目には、それは大がかりな冒険にしか映らなかった。
彼にしてみれば、エティには覚悟が足りないと思えたのだ。
けれどもエティは、そこで笑った。
「キーペ。知っておいてね──あたしにしてみれば、『それで充分』ってこと」
「エティ様?」
少年神官からの続きの言葉を待たずに、エティは周辺に向けて高らかな声をかけた。
「みんな! 火熱の儀礼具を回収するわよ! 戦闘に備えて、持ち場について!」
次の戦闘が近づいてきました。
果たしてどういう結果になるのか。
悲しみを上塗りする結末が待っているのか、それとも新たな光明を見出せるのか。
すぐに終わるのか、長丁場になるのか(やめて)
次の山場を目指して頑張ります。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!




