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おい今度の救世の乙女は何だか想定外だな?〜誰に理解されなくてもあたしは信じた道を進むことにした〜  作者: 夜朝
第2章 〜生きてこそ得られる幸せってあるでしょ〜

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第2章 その44

よろしくお願いします。。。

「そうよな……知らねぇのは駄目だ」


 副士長は、あくまで自分の事例だと断った上で、ぽつりぽつりと話し始めた。


「俺の場合はよ、──そう。

 こっからでもよく見える、あの高い山のな。

 すげぇ田舎だったわけだ。

 生まれてきた子どもは村のみんなで育ててさ。

 独り立ちできる年齢になるまで、ガキども集まって寝食を共にすんだ。

 で、大人になると選ぶわけ。

 村で皆と生きていくか。

 衛士になるために都に出向くか。

 ──後者を選んだ奴は、二度と山には入れないってわけさ」


 副士長は、話は終わりとばかりに肩をすくめた。

 その表情からは悲しみは覗けないが、エティの目には、切なそうに見えた。


「……キーペ。もしかして……」


 聞きたくない話を義務感だけで聞くことがこんなに苦痛だということを初めて知ったエティだ。

 キーペに向ける顔色が悪い。


 それを察したのかどうか定かでないが、キーペが気づかわしげにうなずいて、言った。


「……そうです。『帰る家がない』というくらいに追い詰められた者でなければ、たとえこの星のためとはいえ、自分の身を投げ出してまで乙女のことを守ろうとするはずはありませんからね」


「……」


 思いつめた表情になったエティは念を入れようと、近くにいた他の衛士に同じことを聞いた。


「そっちのあんたは? 似たようなもの?」


「はい。帰れる家はありません。

 僕の郷里は特に収穫量が乏しく、この星でも一二を争うような貧しい村です。

 食料は配給制なのですが、そこへもってきて実家は子だくさんで、『売れるものは子どもでも売る』が真情です。

 意に染まない売買契約を結ばれるくらいなら納得のいく死に方をしたいと考えて衛士に志願しました」


「……あんたたち……みんな、虐げられ過ぎよ」


 エティは真っ直ぐ前を向いたまま、こらえきれない涙をあごから滴らせた。


 それを目にした衛士たちは皆一様に動揺して短く息を吸い込んだ。

 これが先程のおひろめで衛士長相手に啖呵を切っていた女か。

 自分たちの生い立ちまで気にかけてくれて、こうして自分たちのために泣いてくれる。

 救世の乙女は何人も見てきたが、こんなに寄り添ってくれる相手は彼女が初めてだ。


 エティは衛士たちが自分に向けている眼差しが変わったことには気づかずに、ぐいっと手のひらで涙を拭った。


「……何がいけないって、一番いけないのは冬が続くせいで作物が育たないのがいけないんだわ。それに対して策を講じていないわけ? それとも、無駄に終わったの? キーペ」


 エティを囲んでいた衛士たちの外側にいたキーペは、円の中心にいた彼女から声をかけられて円陣の中へ分け入った。

 少年神官は目を伏せて首を左右に振る。長いまつ毛が頬に影を落とした。


「対策なんてどうするんです?

 寒さに強い植物を栽培する研究はもう何世代も前から続いていますが一度も成功しません。

 雪で大きなかまくらを作ってその中で作物を育てる案もありましたが日が当たらないのでまともに育たなかったそうです」


「何言ってんのよ、まずはハウス栽培でしょ」


「ハウス?」


 不思議そうに首を傾げるキーペ。


 それがエティの目には一筋の光明に映った。


「もしかしてビニールはないのね? この星には」


「いえ──はるか昔の文献には記載があった気がします。

 原料がなく今は失われた技術ですが」


「いいわ。ガラスはあるでしょ」


「あります、が……何を企んでるんですかエティ様?」


「うん! やってみる価値なんかあることよ」


 エティはそれだけ言うと、まだ疑問ばかり抱えているキーペに向けて、にかっと笑った。

でもエティたちはお店で美味しいもの食べてたわけですよ。

ということは都会では結構、お金さえ出せば食うに困らない程度の食料は集まってきているわけですよね。

田舎では配給制って、何だかいやな国じゃないです?

世直しさせたいですわぁエティには。


ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
 異世界人の召喚ができるのに、人口を支えるだけの食料生産ができないこの世界。それを当たり前と思って生きていたなら、余所者であるエティさんに頑張ってほしい所ですね。  まぁ、食料不足でもないのに戦争が…
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