第2章 その42
よろしくお願いします。。。
「ああ……まったく。
どうしてエティ様は、あんなことを言った?
あれじゃ反感を買うのは当たり前だろうに」
おひろめ会の後で参加者全員に振る舞われる甘酒を、人数の多さを理由に普段の三分の一の量にして皆に配ったキーペと守護者たちとエティ。
鍛錬の厳しさから鬼と呼ばれ恐れられている衛士長と口論をする女、そして自分たちが納得の上で賭けたいと思っている命を、粗末にするなと否定してくる乙女。
男性からは敬遠されたが、衛士をお役目に送り込んでいる母や妻、女性たちからは意外なほど好感触が得られ、エティは彼女たちに囲まれて口々に礼を言われていた。
普段は逆なのだ。
ほくほく顔で囲んでくる衛士たちに甘酒を配る乙女を尻目に、縁者の女性たちは複雑な表情をしていた。
それが今までのおひろめ会だ。
今回もそうあるべきじゃなかったか?
キーペには分からない。
祭壇で祈った後、キーペがひとり呟いて苦悩していると、背後から突然声がかかった。
「分からないのか。キーぺ?」
「って、え? ──ぅわ! ダルク様!? なぜこちらに!?」
おひろめ会が終わって全員帰宅したかと思っていた。
ダルクはたおやかな整った面差しの眉間にしわを寄せて身を屈める。
褐色の肌に艶めく銀髪。高さを合わせた灰色の瞳がキーペの黒いそれを見つめる。
薄い唇が開いた。
「エティのことが気になってな。
そう、きみのこともだキーぺ。
困っているんじゃないかと」
「困ってるなんて……困ってますよ!
絶対に衛士長も気分を害されました、先程のエティ様のお話で!」
「きみはそれでもエティの味方だ。そうだな?」
ダルクが念を押すと、キーペは迷いなくうなずいた。
「なら知らねばならない。エティの言葉の真意を」
「はい……だから困っているんです。
僕には分からない。分からないんです……!」
ひとしきり苦悩しているキーペの肩へ手を置いて、ダルクが微笑んだ。
「正直に言えばいい。
『貴女を支えたい。だから貴女の考えていることを知りたい』と」
「そんなこと言ったら、『分かってない』って怒られませんか」
「その時はその時だ。『だからこそ分かりたいんです』とでも言うといい」
「ダルク様……分かりました! 不肖キーぺ、行って参ります!」
「ああ。吉報を待つ」
先に家へ戻ったエティ。
キーペは彼女の後を急いで追った。
いたいけな少年をそそのかしたダルクは、上手くいったと口の端を持ち上げた。
それまで笑んでいた目元は、今は少しも笑っていなかった。
* * *
キーペは自分の愛ソリに乗って制限速度を超えて飛ばしている最中だった。
すれ違いで神殿に向かっているエティを視界の端に捕らえることができたのは、ほとんど運だったと言える。
乗っているソリを止めてもらった彼女が、そこから降りてキーペの元へ駆けてきた。
ソリを運転していたのはウードだ。
キーペは彼に向かって会釈するとエティへ向けて問いかけた。
「どうしたんですかエティ様? 神殿に忘れ物ですか」
「衛士たちがコインに戻れないって騒いでいるらしいの。神殿に、何百人も集まっているそうで」
ダルクはとある裏設定がありまして。
割と画策とかできちゃうキャラです。
コインになんか戻らないでよと言いたいエティは何ができるか分からないまま神殿に向かいます。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!




