第2章 その16
よろしくお願いします。。。
「何よそれ?
案外、今までの乙女も本物じゃなかったってことじゃないの。
本当にこの世界を救ってくれる本物が現れるまで、真面目に励んであげるわよ。
安心なさいな。
子どものくせに達観してないで」
ぷ。とキーぺが笑み声を吹き出した。
「はい。ありがとうございます」
「なんか笑うとこだったー?」
「いえいえ、こちらのことですから。
──さあ! ぼくたちも準備ができたら出発しましょう皆様!」
全員分の食料を積んだ二台目のソリや、一台目とともに寝台にする三台目のソリにそれぞれ必要なものを詰め込んでいく。
準備が済んでキーペとエティの元に集まってきたのは両手の指では足りないくらいの人数だった。
乙女と案内人に同行するのは守護者と衛士だと聞いていた。
だが、どう考えてもそれだけではない面子だ。
エティは老若男女が集っている神殿前を見つめて小首を傾げた。
キーペに聞きたかったのだが、何となく言い出しづらかった。
なぜならそのうちの何人かが、鎧を身に着けた衛士と涙ながらに別れを惜しんでいたからだ。
「立派よ兄さま。がんばって──お役目、果たせるように祈っているわ」
「ようここまで大きいなったなぁ。とうとうお役目に選ばれるようにならはって。気張りや」
なぜここまで。と思うエティだ。
まるで今生の別れのような。
そしてよく見ると、守護者の見送りに来ている者はいないようだと分かる。
火熱の少年・フィーレ。
金剛の少年・ゴルド。
木風の青年・ウード。
水冷の青年・ワーテル。
皆、衛士たちから一歩二歩離れたところで、惜別の儀式を見守っている。
急かす者も、うっとうしがるものもいない。
涙が伝染することもなく、ただ淡々と、見送りの人々の気持ちが収まるまで待っていた。
口火を切ったのはキーペだ。
「──では、皆様。そろそろお時間でございます。
守護者様と衛士様は一台目と三台目に分乗お願いします。
エティ様はぼくと一台目にどうぞ」
「待ってくださいキーペ様! その方が今回の救世の乙女なのですか?」
「はい。そうです。エティ様ですよ。
本来ならおひろめをしてから探索行へいくのが筋なのですが、申し訳ないです」
見送りの人々の視線がエティ一点に集中した。
感極まって泣き出しそうな者もいれば、強張った面持ちで注視してくる者もいる。
何を言ったらいいか分からず、会釈をするにとどめたエティへと彼らが詰め寄ってきた。
ぐるりと囲まれてしまい、エティは硬直する。
「エティ様! どうか……どうか! ああ!」
ただならぬ雰囲気の見送り人に囲まれて、これからどうなるのでしょう。
みんな言いたいことがあるのです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!




