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おい今度の救世の乙女は何だか想定外だな?〜誰に理解されなくてもあたしは信じた道を進むことにした〜  作者: 夜朝
第1章 〜寝て起きたら、もうそこは異世界だったの〜

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第1章 その16

よろしくお願いします。。。

「……」


 使い方を説明せずに退室してしまったキーぺ。


 エティはしばし考えて──近いところにいた華奢な少年の口の中にガーゼを突っ込んだ。


 そうすることで唇に隙間ができたので、そこを目がけて薬酒のボトルを傾ける。


「ぶがっ!? ごぼごぼ」


 少年は驚いて飛び起きた。


 本来なら薬酒の瓶にガーゼを詰めてひっくり返し、ガーゼが充分に酒を吸ったら瓶から抜いて、守護者の口元でそのガーゼをしぼるというのが正しい手順だ。


 だがエティは気にしない。


 ひとりずつ同じことを繰り返して、皆、一様に起きてから咳き込んでいるが気にしない。


「しょ、こんこんっ」


「なん……! げほげほっ」


「よし。これで七人ね。キーぺ? 全員覚醒できたわよ」


 棺の中で身を起こしている守護者たちは自分の口からガーゼを取り出すと、お互いに目を見交わしてどんよりと暗い顔でため息をついた。


 だが、灰色の髪の青年と、青い髪で眼鏡をかけた青年とは、すぐに思い直したようで、その表情からマイナスの感情が消えるのも早かった。


 ついで立ち直りが早かったのは金髪の豪奢な美少年だ。


 彼は一人ひとりの様子を見やり、何事かに納得した風情で、にこりと笑う。


 後の四人もそれぞれ気を取り直して棺から降り立ち、案内役の訪れを待った。


 * * *


「あれ、皆様まだ何もしていない内から何だかお疲れのご様子ですね? どうかなさいましたか?」


「いや、どうしたもこうしたも……キーぺ。私は危うくこちらの乙女に引導を渡されるところだったよ」


 肩を揺らしながら金髪の美少年が言う。


 冗談混じりの口調を受けた世話役は、はっ。と短く息を吸い込んだ。


 勢いよくエティのほうへ顔を向けて、恐れおののく面持ちで問う。


「え、エティ様……いくら救世の乙女になりたくないからって」


「ちょお! キーぺ、そこ信じない! あたしはあんたに言われた通りこいつらの口の中に薬酒を注いだだけよ!」


「「こ、こいつら……」」


 冤罪だ。と言い募るのはエティだ。


 しかしながらその場にいる全員がエティの自分達への扱いに残念なものを感じていたため、笑いを堪えながらそのネタに乗っかった。


 特に年若い守護者たちはセリフ付きで。


「リヒトの言う通りだぜ、俺なんか始まる前に死んだかと思った」


「ああ、生きてるって素晴らしいね?」


「ちょっとあんたたち! 肩揺らしてるでしょ! 笑ってるのは分かってんだからね!」


 こっちまで可笑しくなってくる。と、エティもキーぺも守護者たちと一緒になって笑ってしまった。


 笑いの波が引いてから、エティは覚醒の儀とは一体、本来はどうあるべきだったのか尋ねた。


乙女にはほど遠い、がさつさが隠れず見えっぱなしなのがエティです。

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