第1章 その17
よろしくお願いします。。。
ガーゼを使った正しい手順を聞いたまでは良かったのだ。
だが、守護者のうちのひとり。
垂れ目がちの青年は、自分は口移しが良かった。などと言って、慣れた手つきでエティのアゴを持ち上げて顔を近寄せてくる始末。
エティは悲鳴を上げて彼の手から逃れると、不届者にアッパーパンチを食らわせた。
「何してんのよ! この変態っ」
「へんたい……」
「今のはウードが悪いね」
「まったくヘンタイだ」
「ひどいっ」
「ほらほら、いつまでもじゃれてないで。
まずはエティ様に紹介いたしますね」
キーぺの一声で守護者たちは皆、黙ってエティを囲んだ。
「まずは守護者のリーダー格、日光の守護者・リヒト様です」
容姿の上から一際目立っていた金髪の美少年が一歩、歩み出て言う。
「君に会えて光栄だよエティ。
私はこんな形だが仕事持ちだ。
同行できない日もあるが、なるべく調整するのでよろしく頼むね」
「リヒトね。よろしく。
あんた背はそこそこあるけど、肩が細いし面差しはちょっと子どもっぽいわよね。
そんなナリって言うからには、年齢もそういってないんでしょ?
なのに仕事持ちなの。えらいわね。
キーぺといい……この世界、飲酒年齢も早いし、どうなってんの?」
「ああ、いや。
仕事を持つのは……」
「お待ちください皆様! 来ます! 侵害者です!」
そのキーぺの言葉で皆一様に身構えた。
エティの後方に回り込んで背中合わせに立ち、後方からの不意打ちに備える者。
敵から彼女の姿が見えないように、その眼前にかばい立つ者。
その数歩前には戦闘に備えてこぶしを構える者もいる。
前後左右を隙間なく守られたエティは、身をすくめて息を呑んだ。
かなり統率の取れた連携だ。
一朝一夕の行動ではない。
言い方は悪いが、おそらく全員、襲撃に慣れているのだろう。
体勢を整え終わったちょうどその時、稲光と轟音が室内を満たした。
守護者の陰からエティが垣間見たそれは、角が生えた鬼の影絵のようなもので、目に当たる位置ばかりが三日月のように細く光っていた。
エティの左横に寄りそって立つキーぺが必死の様相で細身の輪を差し出してくる。
どうやらバングルのようだ。
何本もまとめて差し出されて、その数はぱっと見では分からない。
「すみませんエティ様、諸々の説明は省かせていただきます。
これらの装身具を身につけて、ぼくがこれから言う宣誓を繰り返してください」
「キーぺ、月闇の侵害者だ! ひとまず私の開通を!」
リヒトがそう言い終わらないうちに、倍以上に膨れ上がった影絵が破裂した。
のん気な覚醒シーンから一転、たまには深刻に戦闘シーンを書きたかったのです。
ちょっと急転直下すぎましたかね?
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!




