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第十六章 広美、管轄外で事件に巻込まれる

やがて警察が到着して、監察医や鑑識が遺体やその周辺を調べていた。

「解剖しないと断言できませんが、恐らく、血痕が付着している灰皿で頭部を殴打されて、意識が朦朧としていたか、気絶していた時に、刃物で腹部を刺された事による失血死だと思われます。」と楠本正一郎刑事に伝えた。

楠本刑事は、最初に第一発見者のホテルマンと添乗員と隆と広美の四人を呼んで事情を聞いた。

ホテルマンが遺体発見の経緯を説明して、隆と広美が、ホテルマンの悲鳴で部屋に入り、広美が呼びかけにも反応がなく、脈も触れませんでした。死後硬直も始まっていて、既に亡くなっていたので人工呼吸せずに警察に通報したと説明した。

楠本刑事は指紋の任意提出を求めた。

隆が指紋を提出していると広美が、「指紋を提出してもいいの?凶器の灰皿に、誰かさんの指紋が付着している事が判明するわよ。」と笑っていた。

隆は、「俺はこの部屋に入った事がないぞ!何で俺の指紋が灰皿に付着しているのだ!人を犯人扱いしやがって!」と切れた。

広美は、「指紋照合をすればすぐに判明するわよ。第一発見者を疑えとはよくいったものね。」と笑っていた。

隆は、「お前だって第一発見者だろうが!」と興奮していた。

楠本刑事は、隆と広美は知り合いで、広美の言葉はただの冗談だと判断して気にせずにホテルの従業員や宿泊客に事情を聞いて指紋の任意提出を依頼した。

楠本刑事は、他の刑事と打ち合わせして、「現時点では、特に怪しい人物もいないので、遺体発見場所の鑑定結果次第で再度お話をお伺いさせて頂く事になるかもしれません。連絡先を教えて下さい。」と全員の連絡先を確認後、足止めは解除されツアーは予定通り続けられた。

    **********

翌日楠本刑事は、凶器に付着していた指紋の一つが、隆の指紋と一致した事を知った。

何故、広美がそれを知っていたのか気になり、二人から事情を聞く事にした。

楠本刑事の上司は事情を聞いて、「京都府警には連絡しておくので京都に行き、その二人から事情を聞いてこい。」と指示した。

楠本刑事の上司は京都府警の倉田一課長に、京都で捜査したいので事情を説明した。

倉田一課長は、広美が殺人事件の第一発見者だと知り、緒方係長に事情を説明して三係で対応するように指示した。

緒方係長は、非番の広美の自宅に電話して、事情を聞いて、楠本刑事に電話した。

丁度そのころ、楠本刑事は隆に指紋の件を確認していた。

隆は事情を聞いて、「そんなバカな!」と目を丸くして驚いている時に、楠本刑事に緒方係長から着信があった。

「京都府警捜査一課の緒方です。京都に来られているのですか?灰皿の指紋の件ですね。被害者は宴会の前に、誰もいない宴会場に自室から灰皿を持ってきてたばこを吸っていました。それを知った高木記者もそこへきて、雑談しながら一緒にたばこを吸っていたそうです。そこで指紋が付着したらしいです。」と説明した。

楠本刑事は、「彼女は何故その時に言ってくれなかったのでしょうか。」と疑問に感じて緒方係長に確認した。

緒方係長は、「林広美君は、京都府警の優秀な刑事です。以前兵庫県警に協力した事があり、その時に、“管轄外の刑事が余計な事をするな!”と警告されたそうです。凶器の灰皿に高木記者の指紋が付着していると警告しても、特に質問されなかったので、その理由は聞き込みでご存知だと判断して黙っていたそうです。それと事件が発覚する前に、ホテルをでた人物の中に怪しい人物がいたそうですが、聞き込みで気付いて事情は聞きましたか?」と説明した。

楠本刑事は、「本当ですか?林刑事に連絡できますか?」と広美から事情を聞こうとしていた。

「林君は、今日は非番で、実家で母親の手伝いをしています。以前兵庫県警の刑事に余計な事をするなと警告されて、協力したのにと怒っています。兵庫県警に協力する気はないようですよ。」と広美が憤慨している事を伝えた。

隆は電話が終わった楠本刑事に、「何故、凶器の灰皿に私の指紋が付着していたのか色々考えましたが解りませんでした。私と一緒にいた女性が何か知っていたようなので聞いてみます。」と電話しようとしていた。

楠本刑事は、「今、電話で聞きました。彼女は京都府警の刑事だったのですか?」と隆が広美の事を知っているようでしたので確認した。

隆は、「ええ、検挙率No.1の凄腕刑事で、京都府警では泣く子も黙るとか血も涙もない鬼軍曹だとか呼ばれています。」と説明した。

楠本刑事は、「京都府警の鬼軍曹の噂は聞いた事があります。血も涙もないとか泣く子も黙るとか聞いていましたので、鬼軍曹が女性刑事だったとは知りませんでした。林刑事は怪しい人物に私が気付かなかったと言っているそうです。先日の様子から、林刑事とは仲がよさそうですね。兵庫県警にいい感情は持っていないようですので仲を取り持って頂けませんか?」と依頼した。

隆は、「確かに、あいつは殺人事件だというのに最初から消極的でしたね。今晩別件で会う約束をしていますので一緒に来て下さい。」と二人の間を取り持つ事にした。

    **********

楠本刑事が案内されたのは料亭だったので、「こんなところで寛いでいる場合じゃないですよ。」と焦っていた。

そこへ仲居さんが入ってきて、「鶴千代さんが到着しました。」と告げた。

それを聞いたとたんに楠本刑事の顔が緩んで、「鶴千代さんて、人気No.1の売れっ子芸者だと兵庫県まで轟いていますよ。一度お会いしたいと思っていました。」と入ってきた鶴千代に感激していた。

楠本刑事は、広美のおしゃくにしばらく満足していたが、やがて我に戻り隆に、「ところで林刑事はいつ来るのですか?」といつになっても広美が来ないので確認した。

隆は、「そうか、殺人事件の話ですね。」と広美に怪しい人物について確認しようとした。

広美が、「刑事さん、芸者にデレーっとしていると、気付く事にも気付かないわよ。」とヒントを与えた。

楠本刑事は、「そんな事ないですよ。デレーっとなんかしていません!」と否定した。

その次の瞬間、隆は気付いて、「そうか!そういう事か。あの時の芸者ですね?女の力では灰皿で殺せなかったので、その後でナイフで刺したのか。でも女性は他にもいたでしょう?何故その芸者が怪しいのですか?」と確認した。

広美は、「若いほうの芸者は、私達が観光バスでホテルに到着と同時に車で来たわよ。私服だったから気付かなかったのね。バス到着直後に殺して、芸者姿に着替えて宴会のコンパニオンをしていたのよ。人を殺した直後だったので、こわばって、お酒をこぼしたりしたのだと思うわよ。私服に血痕が付着したから、帰りは芸者姿で私服に着替えずに帰ったでしょう?その時は、まだ殺人事件が発覚していなかったので、誰にも止められずにホテルを出て行ったわよ。私服で来ていたのに帰りは着替えずに芸者姿で帰ったので不思議に感じてよく覚えているわ。」と説明した。

隆は、「芸者の事はよく見ていますね。しかし車で来ていたのだろう?芸者姿で車の運転は可能なのか?」と確認した。

広美は、「ええ、問題ないわよ。かつらが邪魔だったら簡単に外せるわよ。」と説明した。

隆は、「そうか!そういう事か!」と血相を変えて料亭を飛び出した。

広美は、「刑事さん、週刊誌記者に先を越されるわよ。」と笑顔で忠告した。

楠本刑事は、「何故、鶴千代さんがその時の様子をそんなに詳しくご存知なのですか?」と不思議そうでした。

広美は警察手帳を提示し、「京都府警の林です。雰囲気で解らなかったの?私は事件当日、私服と芸者姿とは見間違えなかったわよ。」と説明した。

楠本刑事は、「それだったら先に私に教えて下さいよ。」と怒っていた。

広美は、「一つだけ隆に伝えてない事があります。芸者の連絡先です。私の芸者仲間を通じて連絡先を確認しました。」とメモを楠本刑事に渡した。

楠本刑事は電話で事情を上司に報告した。

    **********

兵庫県警は、その芸者に任意同行を求めて事情を聞いた。

芸者は、「兵庫県でも有名な鶴千代さんが来ていると聞いて捜しましたが、私服でしたので判りませんでした。しかし、鶴千代さんは、私の私服姿に気付いたのですね。私とは格が違いますね。売れっ子芸者になったのは、それだけの理由があったのですね。彼女の指摘通りです。」と諦めて自供した。

楠本刑事は何故殺したのか殺人の動機を聞いた。

芸者は、「あの女は泥棒猫よ!私の恋人を寝取ったからよ。彼から手を引くように頼むと、今日城崎温泉に行くからそこで話をしましょう。と言ったので、話し合いに行ったのよ。すると逆に、私が彼から手を引くようにと迫られて、平行線だったのでカッとして灰皿で殴ったのよ。すると頭を抱えて、警察に訴えてやる。と私を睨んでいたので、そんな事をされると困るので、思わずその部屋に置いていた果物ナイフで刺してしまったのよ。血が噴き出したので気が動転して、指紋も拭きとらずに慌ててその部屋から逃げ出しました。芸者姿で帰ったのは、返り血を浴びたというより更衣室で指紋を拭き取らなかった事に気付いて、刑務所が頭をよぎり血の気が引いて、呼吸が乱れ筋肉が痙攣して失禁してしまったからなのよ。少しではなくジャーと出ても止められずにズボンまでビショビショになってしまったわ。芸者姿の時はノーパンでした。」と後悔している様子でした。

楠本刑事は、「手を引くとか引かないとかではなく、彼がどちらを選ぶかでしょう。彼女とではなく彼と話をするべきでしたね。彼女はあなたを諦めさせようとして、彼に睡眠薬入りのアルコールを飲ませて写真を撮っただけで何もしていませんでした。彼に話を聞くと、結婚はあなたとしか考えてなかったそうです。いくつになってもあなたが刑務所からでてくるまで結婚せずに待っているそうです。」と指摘した。


次回投稿予定日は、7月27日を予定しています。

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