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第十五章 置屋の慰安旅行

隆は広美の事が知りたくて編集長に、鶴千代が所属している置屋で慰安旅行がある事を説明して、芸者の素顔と人気No.1の売れっ子芸者の素顔にも迫る特集記事の提案をした。

編集長は、「人気No.1の売れっ子芸者、鶴千代が最近お座敷にでる回数が少なくなり、ますます人気が上昇していて、アイドルのようだと聞いた。他誌の記者に聞いたが、鶴千代さんにうまく誤魔化されたそうだ。慰安旅行はチャンスかもしれないな。やってみろ。しかし、高木、お前うまい事鶴千代に取り入ったな。どうやったんだ?」と許可された。

隆は、「鶴千代さんの裏の顔を知ったからです。そのあたりも記事にします。」と張り切っていた。

編集長は、「人気芸者鶴千代さんの裏の顔か。これはいけるぞ。」と高木に期待した。

隆は、置屋に慰安旅行の取材申し込みに行った。

丁度初美は外出していて、梅駒が対応した。

隆は、「鶴千代さんから、週末慰安旅行に行くけれども芸者の取材をしますか?と聞かれました。芸者の素顔と題して取材させて頂けませんか?」と依頼した。

梅駒は、「鶴千代姉さんがそんな事を?解りました、おかみさんが帰ってきたら伝えておきます。今晩にでもご連絡下さい。」と何故広美がそんな事を依頼したのか不思議そうでした。

高木記者は、「夜は芸者さんの稼ぎ時で忙しいのではないですか?そんな時間に電話してもいいのですか?」と置屋の事が解らずに確認した。

梅駒は、「確かに芸者はお座敷に出ますが、おかみさんは置屋で待機しています。何かもめごとがあったり、取材の申し込みがあったりするなど、何かあればすぐに対応して頂けますので、私達も安心して働けるのですよ。」と説明した。

隆は、「そうですか。今晩電話してお願いしてみます。」と期待した。

その夜、隆は初美に電話して、取材許可をお願いした。

初美は、「取材の件は広美から聞いています。良いわよ。貸し切りバスをチャーターするほど人数もいないので、観光ツアーに申し込みました。空きがあるかどうか解りませんが、あなたも申し込んでみればどうですか?」とツアー名を告げて取材許可し、広美は鬼軍曹ではなく優しい娘だと週刊誌で報道して頂けると期待して許可した。

ツアーには空きがあり、隆も申し込み当日は隆もツアーに参加した。

    **********

ツアー当日、添乗員は集合場所に集まった参加者達の点呼を取り、観光バスに乗り込みツアーが開始された。

走るバスの中で添乗員は、「今回は、城崎温泉一泊二日の旅に申し込み頂きまして有難うございました。・・・・・」とツアーの説明をして、ツアー客に自己紹介するように促した。

私服の芸者達は自己紹介後、自分達はサービス業だと説明した。

広美は、そのサービス業の経営者の娘で公務員ですが、学生時代から母の手伝いをしていて経験もあるので、公務員になった今でもサービス業経営者の母の手伝いをする事もあると自己紹介した。

隆が、「公務員は副業禁止じゃないのか?」と指摘した。

広美は、「母から給料は一切頂いていません。実家の手伝いをボランティアでしています。皆さんも親の手伝いをする事もあるでしょう?」と副業ではなく親の手伝いをしているだけだと説明した。

隆は、「うまいこと逃げやがって。」と独り言で呟いていた。

やがて自己紹介は隆の番になった。

隆はマスコミ関係の仕事をしていると説明した。

広美は、「マスコミってテレビかなにかなの?」と先程のリベンジをした。

隆は、「いえ、雑誌記者です。」と知っているくせに・・・と不愉快そうでした。

広美は、「雑誌ってどんな雑誌なの?」と突っ込んだ。

隆は、「知っているくせに五月蠅いな!」と座席から立ち上がり、隆より後方の座席に座っている広美に向かって切れた。

広美は、「私が知っていても、皆さんが知らないので聞いているのでしょう!」と二人で口論を始めた。

添乗員が慌てて二人の間にはいり、「まあまあ落ち着いて下さい。仕事の内容を知っているので二人はお知り合いですか?遠慮なく言い合える仲なのですね。喧嘩するほど仲がいいとはよく言ったものですね。」とその場を取り繕うとした。

二人とも、「冗談じゃない。なんでこんな奴と。」とお互いそっぽ向いた。

その後、ドラマのDVDなどを見ながら到着までの時間を過ごしていた。

隆は刑事ドラマを見ながら、「この刑事、優しくて素晴らしい刑事だな。血も涙もないどこかの刑事と全く違うな。」と広美に聞こえるように大きな声で呟いた。

広美は、「この事件の切欠は、週刊誌記者が嘘ばかりを週刊誌記事にした事が原因なのよね。週刊誌記者って碌な事しないわね。」とリベンジした。

隆は、「何だと!もう一度言ってみろ!」と座席から立ち上がり切れた。

広美は、「何も、あなたがそうだと言ってないわよ。そんなに怒るのは何か心当たりがあるのですか?」と隆の攻撃をかわした。

隆は不愉快そうに座席に座り、「覚えていろよ。」と呟いていた。

    **********

バスが城崎温泉の近くまでくると、添乗員は部屋割りを発表して、食事は午後八時から和室の宴会場にして、地元の芸者を呼んでいる事を伝えた。

やがてバスは城崎温泉のホテルに到着して、ツアー客は荷物を部屋に置いて温泉に浸かり、その後宴会場で食事をしていた。

芸者がおしゃくする中、広美は、「たまにはおしゃくする側ではなく、おしゃくされる側もいいわね。」と芸者仲間と談笑しながら満足そうに食事していた。

隆は広美に、地元芸者の質など色々と話し掛けた。

隆は、「今、お酒をこぼした芸者は遅刻もして質はよくないですね?」と広美に意見を求めた。

広美は、「確かに、お酒をこぼしたり遅刻したりするのはよくないですが、失敗は誰にでもあります。問題はその後の対処です。若い芸者は慌てていますが、経験のある芸者は落ち着いて笑顔で対応しているでしょう?芸者は笑顔を絶やしてはいけませんね。若い芸者は目の前で起こった事に気を取られて笑顔を絶やしています。芸者のレベルが解りますね。何もなければ芸者の質は表にでません。何かあれば、その時に確実にでるわ。車でもそうでしょう?前向いて運転するのは、免許所有者であれば誰でもできるわ。たまにしかしないバックをさせるとはっきりわかるわ。バックの下手な人が運転する車に乗れば、事故に巻き込まれる可能性があります。」と助言した。

隆は、「なるほど、そういうところを見るのか。」と感心していた。

    **********

添乗員が、ツアー客の一人がいつまでも食事に来ないので、気になり部屋まで様子を見に行った。

広美と隆は自室に戻っていて、自室から出ると、添乗員がホテルマンとツアー客の部屋へ行っていたので何をしているのか確認した。

添乗員は、「もう芸者も帰ったというのに、ツアー客が一人来ないので確認に来ました。部屋をノックしても部屋に電話しても応答がないので、ツアー申込書に記述されていた携帯番号に電話しても応答がありませんでした。ホテルマンに確認すると、外出した様子はないとの事でしたので、念の為に合鍵で確認願いました。」と説明した。

ホテルマンが合鍵で部屋を開けて、ツアー客の名前を呼びながら部屋に入ったと同時にホテルマンが悲鳴と共に腰を抜かした。

悲鳴を聞いて広美と隆が部屋に入ると、ツアー客は頭から血を流して倒れていた。

隆が驚いて、「救急車!」と叫んだ。

広美は隆とは裏腹に冷静で、ツアー客を確認して、「もう既に亡くなっています。刃物で刺された刺し傷があります。殺人事件として警察に通報して下さい。」とホテルマンに指示した。

広美はホテルマンに、「警察が到着するまで、この部屋には、誰も入れないで下さい。警察が事情をお伺いすると思いますので、宿泊客に足止めして下さい。」と依頼した。

隆が、「急用がある人はどうするのだ!」と確認した。

広美は、「急用がある人が、のんびりとツアーに参加しないわよ。そんな理由で外出すれば警察に疑われるわよ。他に容疑者がいなければ逃亡したと判断されて緊急手配されるかもしれないわよ。」と忠告した。

隆は、「連絡先を伝えておけば問題ないだろう。」と足止めに不満そうでした。

広美は、「警察が来るまでに、証拠を隠滅したと疑われても知らないわよ。刺し傷があると説明したでしょう。」と五月蠅いなと、めんどくさそうでした。

隆は、足止めの件は諦めて、「警察が来るまで捜査しないのか?早く捜査して足止めを解除しろよ。」と早く解放されたい様子でした。

広美は、「今日はプライベートです。それにここは兵庫県よ。京都で起こった事件でもないし管轄外よ。私はただの宿泊客よ。」と特に捜査しない事を伝えた。

隆は、「矢張り、あんたは冷たいな。ドラマなどではすぐに捜査するだろうが。犯人に逃げられるじゃないか!」と早く捜査するように説得した。

広美は、「ドラマはドラマよ。犯人に逃げられないように足止めしたわ。警察組織は管轄とか五月蠅いのよ。素人が余計な口出ししないでよ。」と忠告してその場を去った。


次回投稿予定日は、7月23日を予定しています。

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