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第二十二章 広美、暴漢に襲われる

ある日、広美が勤務を終わらせて京都府警から帰ると、丁度初美もゴミ出しに出てきた。

「あら、広美、お帰りなさい。」と声かけした瞬間、近くに隠れていた暴漢が、広美をナイフで襲った。

不意を突かれた広美は左腕を刺され、初美が大声で、「何するのよ!誰か来て!人殺しよ!」と叫んだ為に、犯人は慌てて逃亡した。

初美は広美に駆け寄り、「大丈夫?」と確認した。

広美は、「大丈夫よ。」と安心させて犯人を追った。

初美は広美の職場に電話して、聞き覚えのある声だった為に、「緒方係長ですか?広美の母の初美です。」と通話の相手が緒方係長かどうか確認した。

緒方係長は、「緒方です。林君のお母さん、何かあったのですか?」と広美ではなく、初美が電話してきたので嫌な予感がした。

初美は、「たった今、家の前で広美が暴漢にナイフで刺されました。今、広美が犯人を追っています。すぐ来て!」と助けを求めた。

緒方係長は驚いて、「なんですって!解りました。すぐ対応します。」と初美に告げて電話を切った。

まだ三係に残っていた刑事達は、緒方係長の様子からただ事ではないと緒方係長に注目した。

「たった今、林主任が自宅前で刃物を持った暴漢に襲われて負傷した。詳しい事は不明です。至急向かって下さい。」と広美が自宅前で刺された事を告げて、至急自宅に向かうように指示した。

その後一課長に連絡して三係で対応すると報告した。

一課長は、「現役刑事が刺されるとは警察への挑戦だ!警察の威信にかけて犯人逮捕しろ。」と指示した。

その後帰宅した刑事達に連絡して、事情を説明して広美の自宅に向かわせた。

    **********

刑事達が広美の自宅に到着すると、血痕の量から出血が多そうでした。

この状態で犯人を追跡したと聞いて心配していた。

置屋には小菊がいて事情を聞くと、「犯人追跡から戻ってきた鶴千代姉さんを応急手当てしましたが、出血が止まらないので素人には無理だと判断して、おかみさんが病院に連れていきました。」と説明した。

事件を目撃したのは初美だけで、他の芸者達は、広美の悲鳴と初美の叫び声しか聞いていませんでした。

広美がどこの病院に行ったのか不明だった為に、芸者達に事情を聞いていると、三角巾で左腕を固定した広美が初美に付き添われて置屋に帰ってきた。

広美は、「皆、心配かけてごめんね、大丈夫だから。」と安心させた。

初美が、「外科医の説明では傷は深く、動けば再出血の恐れがある為、仕事は休んで安静にしていなさいと言っていたではないの。それができないのだったら入院させると忠告されたわよね。」と広美に無理させたくなく、大丈夫ではないと刑事達に告げた。

西田副主任が、「了解しました。私達で犯人逮捕しますので、主任はゆっくりと休んで下さい。犯人に見覚えはありませんでしたか?」と広美抜きで、捜査を開始しようとしていた。

    **********

広美は、「黒のフードを頭から被っていたので顔は確認できませんでしたが、体つきは女性で、身長は私と同じくらいでやせ形でした。犯人は四条通へ逃げて、人ごみに紛れたので見失いました。刺された瞬間、犯人の左首筋を右手で引っ掻いたので、左首筋に引っ掻き傷があるはずよ。それと、私の爪に付着していた皮膚片を病院で採取して頂きました。血液型とDNAを調べて。」と採取した皮膚片を鑑識に渡して指示した。

西田副主任は、「主任、事件絡みは私達で調べますが、事件絡み以外で、個人的に主任を恨んでいる人物がいないかどうか思い出して下さい。」と怨恨の可能性も視野に入れていた。

初美が、「広美は性格が悪いので大勢いそうね。私も考えておくわ。」と笑っていた。

広美は、「自分の事を棚にあげて何言っているのよ。私の性格は母ちゃんからの遺伝よ。」と不満そうでした。

小梅が、「そう言えば、昨日鶴千代姉さん、そこでどこかの芸者と掴み合いの喧嘩をしていませんでしたか?」と広美が喧嘩していた事を思い出した。

広美は、「ああ、あれは桜ちゃんで、今日はお座敷に出ているはずよ。確認するわ。」と料亭に電話して確認した。

料亭のおかみは、「いくら鶴千代姉さんでも個人情報になるので教えられないわ。」と断られた。

広美は、「料亭に警察が出入りすると困ると思ったのでね。では今から京都府警の刑事に向かわせますがいいですね。」と念を押した。

料亭のおかみは、「私も花町で料亭を経営しているのよ。そんな脅しが私に通用すると思うの。」と広美の忠告に耳を傾ける様子がありませんでした。

    **********

広美は、「わかりました。」と電話を切り、須藤刑事に料亭の名前と場所を伝えて、芸者の桜が来ているか確認依頼した。

須藤刑事が料亭を訪れると、警察と聞いて、事件に巻き込まれたくないお客様は一歩引いて、「き、急に都合が悪くなった。今日はキャンセルさせてくれ。」と帰った。

料亭のおかみは、「鶴千代姉さんが仰っていた事は本当だったのね。桜ちゃんは今晩、体調不良で別の芸者と交代しています。」と警察が出入りすると困るだろうと気を使ってくれた広美を信じなくて後悔していた。

たまたまその料亭にいた小菊が、「須藤刑事の上司は、凶悪犯から恐れられている鬼軍曹よ。鬼軍曹がこなくてよかったわね。」と笑った。

料亭のおかみは、「驚かせないでよ。でも何故そんな事を知っているの?」と不思議そうでした。

小菊は、「鬼軍曹は置屋で生まれて今でもたまに芸者をしているわよ。鶴千代の源氏名でね。鬼軍曹にあんな事言っちゃって。今後予告なしに捜査一課の刑事が来るかもしれないわよ。」と鬼軍曹の正体を教えた。

料亭のおかみは、「鶴千代姉さんはボランティアで母の手伝いをしていると言っていましたが、本職は凶悪犯と何度も銃撃戦をしている、そんな凄い刑事だったの?」と驚いていた。

須藤刑事が広美に報告すると、「桜ちゃんが所属している置屋は、その料亭の裏よ。確認して。」と依頼した。

しばらくすれば須藤刑事から、「桜の体調が悪いのは嘘で、置屋に不在です。」と報告した。

広美は、「桜がどこへ行ったのか確認して。それと桜は源氏名よ。本名は私も知らないわ。本名を確認して写真を借りてきて。」と指示した。

西田副主任は、「前田刑事、四条通で目撃者を捜して下さい。渡辺刑事、主任が過去に扱った事件を調べて、主任を恨んでいそうな人物をピックアップして下さい。」と指示して、戻ってきた須藤刑事に防犯カメラのチェックを指示した。

    **********

翌日、西田副主任から電話があり、「桜さんは、仕事をさぼって彼氏とデートしていました。裏もとりアリバイ成立です。首筋に引っ掻き傷もありませんでした。その他、山川秀美が主任を殺すと言っていたと小耳に挟んだので調べると、主任が下鴨警察署に勤務していた頃、下鴨本通りで山川秀美の車を駐禁で処理した書類が残っていました。彼女はそれで仕事に遅刻して、派遣契約を打ち切られていました。その後、派遣先が見つからず、食うや食わずの生活をして苦労していたそうです。現在彼女の行方を捜しています。彼女の顔写真を置屋にファックスしておきますので気を付けて下さい。」と報告があった。

広美は電話を終えてファックスを確認すると再度西田副主任に電話した。

広美は、「西田君、ファックス確認しました。彼女でしたら、今日、病院に通院した時に見たわよ。」と連絡した。

西田副主任は、「了解、須藤刑事と前田刑事に、花町で聞き込みさせます。」と報告した。

しばらくして須藤刑事と前田刑事が山川秀美を発見して、二人で近づいて警察手帳を提示して、「京都府警の須藤です。山川秀美さんですね。」と声を掛けた。

秀美は、「はい、そうですが何ですか?」と抵抗の素振りを見せずに笑顔で対応して二人を油断させた。

そこへ幼児を抱いた女性がきて、秀美は、その女性を須藤刑事に向かって突き飛ばして、「危ない!」と二人が幼児を庇っている間に秀美は逃亡した。

前田刑事が、「秀美はどこだ!主任を襲う可能性がある。主任に緊急連絡します。」と広美に電話した。

広美は秀美を見失った場所から、置屋にいる他の芸者や母を避難させる時間がないと判断して、三角巾を外して二階に避難させようとした。

初美が、「怪我している広美には無理よ。また出血するわよ。」と芸者達や初美はホウキを構えて待ち構えていた。

    **********

そこへ秀美が刃物を持って押しこんできた。

芸者達の逆襲に遭い逃亡した。

追跡しようとしている広美を初美が止めていると、須藤刑事と前田刑事がきて、秀美が逃亡した方向を聞いて追跡したが、発見できませんでした。

置屋に戻った前田刑事に初美が、「あの女の首筋にバンドエイドが貼っていたわよ。広美を襲おうとして刃物を持ってここに来たのが証拠よ。広美を襲ったのはあの女に間違いないわ。」と証言した。

前田刑事と須藤刑事が、「ええ、首筋にバンドエイドが貼っていたのは私たちも見ました。」とうっかりと広美の前で返答した。

広美は、「バンドエイドに気付いていたの?それで幼児を危険にさらして何しているのよ!」と怒鳴った。

初美がホウキで犯人のナイフを叩き落としていたので、須藤刑事が証拠品として押収して確認すると、広美のDNAが検出された。

緒方係長は、山川秀美を殺人未遂の犯人として指名手配した。

数日後、左京警察署の婦人警察官が非番の日に、京都駅の女子トイレで山川秀美を発見して携帯で署に報告して尾行していた。

連絡を受けた須藤刑事と前田刑事が応援に駆け付けた。

山川秀美は、須藤刑事と前田刑事に気付いて逃げようとしたが、尾行していた左京警察署の婦人警察官が、「待ちなさい!警察です。」と逃亡を阻止した。

山川秀美は、「どけ!」と婦人警察官に殴りかかったが、逮捕術で取り押さえた。

そこへ来た須藤刑事が警察手帳を提示して、「京都府警の須藤です。殺人未遂の容疑で逮捕します。」と逮捕状を提示して逮捕した。

取り調べて証拠を突き付けられて秀美も諦めて自供して事件は解決した。

この事件を知った秀美の両親は、慌てて京都府警を訪れて広美に謝り、治療費を全額負担する事を約束した。


次回投稿予定日は、8月21日を予定しています。

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