第5話
●施設・白い部屋
白いベッドで目覚める人間形態の宇津田。
ぼんやりとした表情で上体を起こす。
宇津田「ここは……」
大男「おっす、やっと起きたか」
宇津田「!?」
ベッドのそばに、前話の大男が座っている。
ぎょっとした宇津田、反射的に身構える。
宇津田「お前……ッ!」
大男「おい、落ち着けって。別に何もする気はねえよ」
宇津田「俺のこと、殺しただろうが!」
大男「復活できるんだからいいだろ。ケチくせえこと言うなって」
大男、親しげに宇津田の背中をバシバシと叩く。
その威力に宇津田はよろめく。
大男、気さくに名乗る。
大男「俺は刺村。獄卒衆に所属している」
宇津田「ゴクソツシュウ……?」
宇津田、首を傾げる。
大男・刺村、穏やかに説明する。
刺村「獄卒衆ってのは、地獄の管理組織でな。現世から落ちてきた魂を見張っとく仕事なんだ。だが数時間前に致命的な問題が発生した」
宇津田「まさか……」
宇津田、ハッとする。
ファーストフード店での惨劇をフラッシュバックで思い出す。
刺村、頷いて説明を続ける。
刺村「現世と地獄が混ざり合ったんだ。おかげで亡者どもが逃げ出して好き放題に暴れてやがる。獄卒衆の仕事は、二つの世界を元通りに分離することなのさ」
宇津田「信じられない……馬鹿げた話だ……」
刺村「別に信じないのは勝手だがな。目を背けても現実は変わらねえんだよ」
宇津田、呆然とする。
刺村、平然と話を進めていく。
刺村「そんなわけで、獄卒衆は亡者を地獄に送り返す協力者を集めている。そこでお前さんを見つけたわけだ」
宇津田「スカウト目的なら、なんで殺そうとしたんだよ」
刺村「半亡者だから殺して無力化すればいいと思ったんだ」
宇津田「半亡者?」
刺村「地獄の影響で生者と亡者の間になってる奴だ。強い執念を抱いて死ぬと、たまにそういうことが起きる」
宇津田、愛園に初めて斬首された瞬間を思い出し、苦い顔になる。
宇津田「あの時か……」
刺村「納得したか? じゃあ改めて獄卒衆の手伝いよろしくな!」
宇津田「なんでだよ! 俺は協力するなんて一言も……」
刺村「不死身のバケモノにここ以外の居場所はねえ。いい加減、自分の状況を受け入れろ」
室内に緊急警報のようなアラーム音が鳴り響く。
宇津田、天井を見上げて動揺する。
宇津田「な、何だ!?」
刺村「ちょうどいい。初任務の時間だぞ」
刺村、ニヤリと笑う。
どこからともなく放送の音声が聞こえてくる。
放送「空間の歪みを検知しました。場所は東京駅……切り裂きジャックと第六天魔王・織田信長が降臨しました」




