第3話
切断された薬指の断面から血が噴き出す。
宇津田は喚き散らす。
宇津田「痛えっ! 何すんだお前ッ!?」
愛園「ねえ、結婚する?」
宇津田「はぁ!?」
愛園「結婚するって言ったら治してあげるよ」
愛園、期待を込めて提案する。
宇津田、激昂する。
宇津田M「ふざけんなよボケが! なんでお前みたいな女と……っ!」
愛園「まだかな、まだかな~~?」
愛園、わざとらしく待つ。
悩んだ末、宇津田は降参して頼む。
宇津田「わかった! 結婚! 結婚するから! 指を治してくれぇっ!」
愛園「はーい」
愛園、シガーカッターで首を飛ばす。
宇津田「ぐえっ」
宇津田、倒れる。
直後に生首が燃え上がり、胴体が起き上がる。
さらに拘束していたロープを腕力で引きちぎり、切断された薬指も再生する。
宇津田、驚きながら愛園に詰め寄る。
宇津田「なっ、何すんだよ!?」
愛園「でも傷が治ったでしょ」
宇津田「あっ、本当だ」
宇津田、自分の指を見て気付く。
宇津田M「この状態の時だけ再生能力があるのか……」
愛園、目をハートにさせて宇津田に縋り付く。
愛園「殺しても死なない人なんて初めて!! キミのこと好きになっちゃった」
宇津田「ふざけんな! そもそも俺の身体はどうなってるんだ! お前の仕業か!?」
愛園「違うよー。世界が壊れちゃったんだし、そういうこともあるんじゃない?」
愛園、スマホを見せる。
宇津田、SNSを確認する。
宇津田「現世と地獄が繋がった……死者が人間の身体を乗っ取るだと?」
愛園「どこもパニックみたいだねぇ」
宇津田、画面をスクロールさせる。
愛園、隣から画面を覗き込む。
宇津田「変身能力……? 死んだ人間が化け物になって蘇る……って俺のことじゃん」
宇津田M「よくわかんないけど、とんでもない事態なのは間違いないな」
宇津田、ふと周囲を見回す。
宇津田「ところでここはどこだ?」
愛園「駅前のビルだよ」
宇津田「そうか……って待て。お前、なんか見たことあるような……」
愛園「愛園愛香だよ! よろしくね」
宇津田「愛園……」
怪訝に思った宇津田、スマホで名前を検索する。
画面に愛園の顔が表示された瞬間、宇津田は仰天する。
宇津田「お前、指名手配中の殺人犯じゃねえか!」
愛園「そうでーす」
宇津田「頭がおかしいのも納得だな」
愛園、気にせず宇津田に問う。
愛園「ねえねえ、キミの名前は?」
宇津田「……宇津田富男」
愛園「トミオ君! トミオ君って呼ぶね!」
宇津田「勝手にしろよ……」
愛園「せっかくトミオ君と結婚するんだし、結婚式を挙げたいなぁ! 早く準備しなきゃ!」
呆れる宇津田と浮かれる愛園。
その時、ビルの壁が爆発して大穴が開く。
そこから道路標識を担いだ大男が侵入してくる。
大男「へへ、なんか良い匂いがするなァ……」
大男、宇津田と目が合うと笑みを深める。
大男「テメェか」
大男、道路標識を投擲する。
標識のポール部分が宇津田の胴体を貫通する。




