4話(喪失と出会い)
4話
4話
カーテンの隙間から、太陽が学を照らしている。「ハァハァ」浴衣の隙間から見える学の胸に汗がにじんでいる。「ハァハァ」息が荒くなる。学の目が歪む。「ハァッ」学がいきなり目を覚ました。横にある信太の腕時計を確認した。手で顔を覆って深呼吸した。秋は学と真反対の端で壁を向いて目をつむった。学が何も言わずに立ち上がって廊下に出た。
「ピピッピピッ」信太の腕時計が鳴った。みんなが目をこすって起き出した。信太がトイレに向かうおうと廊下に出ると、学が廊下の端で昨日渡ってきた橋を見つめていた。「ちゃんと寝たんか」「さっき起きたとこ」「そうか…」みんなが洗濯の手伝いをし始めてから学も準備を始めた。信太がラップでくるんだおにぎりを持ってきた。「秋が作ってくれたわ」
信太がさすまたを持って学が包丁と拳銃を持った。「行こう」宇治川と平行に走る線路をまっすぐと進むと駅が見えてきた。ちょうど川が山科川と宇治川の分かれる場所だった。「この山科川を登れば山科町につく」「学、駅のとこ見ろ、ロータリーにバス停がある」バス停には2台バスが止まっていた。「後ろにあるこじんまりとしたバスなら俺らでも動かせるんちゃう?」中型のバスだった。信太がグッドサインを出した。線路を渡ってバス事務所に入って鍵を見つけた。バスに乗って学が運転席に腰掛ける。エンジンがかかった。「こいつ、動くぞ」信太が手すりに手をかけて学の横で言った。「免許持ってんの?」「持ってない」「ノリで行くか」道路を見ると都会とは断然違った。所々倒れたり事故したりした車があるが十分余裕のある道だった。その日は2人で家を転々として、保存食を集めて帰った。山々ははっきりとした濃い緑色に見えた。夜、食事を終えて学が年長を集めて話し合った。「とりあえず8人乗れる車は見つけた。これからは水と食料だけじゃなく石油も必要になる」信太があごに手を当てる「チューブとかタンクがいるな。ホームセンターに行こう」みんなで一斉に目を合わせた「コーナンや!」スマホを充電して寝た。コンセントの横には遥の補聴器が充電されていた。
翌朝、みんなを起こして駅に向かう。途中、線路の向こうに病院があって、大阪で見たよりは小ぶりな屍の山があった。みんなをバスに入れて、エンジンをかける。「信太ナビ頼む」「運転できそう?」「何とかなる」ガソリンメーターは半分になっていた。バスが住宅街へと入っていく。建物の背は大阪よりも低かった。右を見ても左を見ても山に囲まれた土地で大阪とは違う閉塞感があった。道に止まってマップを確認している時ゾンビが近寄ってきたがバスの中ならなんともなかった。しばらくしてホームセンターについた。入り口はチェーンが巻かれていた。「緊急事態宣言のため閉鎖中」と書かれた紙が風に揺られて看板から落っこちそうだった。駐車場には1台も車が止まっていなかった。学と信太が店に入って何度も確認して、ようやくみんなを入れた。欲しいものを自由に取らせてバスの前に持ってこさせた。学はチューブとバールと赤い灯油タンクを持ってきてバスの前の席に置いた。遥は家庭菜園のフロアからきゅうりやトマトなんかの野菜の種を持ってきていた。「種ありがとうな」「うん。みんなで食べるねん。三月ちゃんバスにいてはんの?」遥が京都弁が混じっていたこと初めて気づいた。「三月は店おるよ。遥は京都生まれなんか」「生まれは京都やねん」秋と信太が話しながら歩いてきた。秋はトイレットペーパーを持って信太は板と工具を持ってきていた。信太はつばがついた灰色の作業帽子をかぶっていて値札がぶら下がっている。「信太、工具なんか持ってきてどうするん?」「バスの前につけてゾンビを弾けるようにしようと思って」2人で試行錯誤してバスの前に三角形の大きな鼻をつけた。真っ昼間の静かな街をバスで走った。道をふさぐように倒れた車もバスにつけた鼻で押してどかした。少し走ったところで背の低い石垣が見えてきた。石垣の奥には青々と茂った木々が生えていた。ちょっとすると古風な木造りの閉じた門が現れた。学が車を止めた。「信太、今日はここに泊まる。見回り行こ。数みんなを頼む」信太がバスの窓から門にある木彫りの字に目をすぼめる。「随心院?」さすまたを片手にバスを出た。高い塀をさすまたを使って登った。「学、昼やのにもう泊まるん?」「うん、ふみが言ってた田舎の食料の件、バスがあればより多くの食料を持って移動できるやろ?」「1日ぐらい泊まる?」「うん、そうしよ」門を抜けると石畳の道がまっすぐ伸びていて左手には木々がそびえていた。右手には梅園があった。何個か寺があるようで塀に囲まれた小さい寺にみんなを集めた。寺には中庭があったり大きな日本庭園があったりした。「行こか」数豊と信太と学は武装して門を出た。みんなが塀に登って手を振ってくれた。三月が街を見渡しながら遥に話した。「もうゾンビは全然見ないね」「私たちもいけるんとちゃうかなぁ」
三人が歩いていく。数豊が照れながら言った。「またこの3人に戻ったな」信太が肩を組んだ。門の近くにある家の車の給油口をバールで壊してチューブで石油を吸い取った。赤い灯油タンクが2本満タンになるまで歩いて帰った。寺に帰ってスマホを充電しようとしたがコンセントには電気が通っていなかった。その日はみんなで庭に出てサッカーをして遊んだ。「数豊うまっ」「元々サッカー部やから」一段落させてみんなで日本庭園を見に行った。古池や苔むした岩があって美しく見とれた。秋と信太が一緒に庭園の岩に座っている。秋が言った。「こんなん久しぶりに見た気がするわ。ありがとう学」学は笑ってみせた。「明日は食料集めて、明後日大津や」
次の日、数豊と学と信太で歩き回ってできるだけ食料を集めた。缶詰や水をバスの後ろに詰め込んだ。夜、学がノートを見つめて座っていた。信太が寄ってきた。「どうしたん」学が上を向いた。「充電できてなくてな」「ここに電気ないもんな、まずいな」「大まかな地図は頭に入れてるから、まだちょっとはスマホ使えるし」うつむいた学を遥が見ていた。みんなが寝静まった。ねむった学の額に汗がにじんでいた。
あくる日、早朝からみんなを起こしてバスを走らせる。今日は信太が運転した。学が運転席の横でノートを開く。「信太そこ右。内輪差気をつけて」信太は真剣な顔をしてハンドルを握っている。高島市は琵琶湖の北西にある。山科からは、琵琶湖の西を縦断する西大津バイパスと、湖西線という線路が通っている。山科と滋賀の間を分断する小高い山が見えてきた。「信太、西大津バイパスはもっと田舎にならんと使われへんやろうから、東海道を使おう」「道案内頼む」学はスマホを取り出して、素早く地図を確認してポケットに直した。バスは山道へと入っていく。山を切り開いた道だったらしく両脇には、山を削った側面があってコンクリートで固められている。標識はつるが巻き付こうとしていた。道がある程度ひらけてきた。しばらく走ると道の真ん中で1台の軽自動車が横たわっていた。「通られへんぞ学」「みんなマスクつけろ。数後ろの道を監視。」男全員と秋で軽自動車を揺さぶって立てようとした。「せーの」「あともうちょっとや」車は少しだけしか揺れない。遥がバスの中で立ち上がって三月とななに言った。「私たちも手伝お」「うん」女子もバスから降りてきた。遥がマスクをつけて学に近づいた。「私たちも手伝う」「遥ありがとうな」「せーの」「おせー」軽自動車が揺れ始めた。「揺れを大きくしよ」グラグラと揺れが大きくなる。「せーの」みんなの額に汗が垂れる。「せーの」車が立ち上がろうとした瞬間、学と信太がすかさず後ろから押した。「おらー」「バタン」車輪が地面についた。「フーッ」「よしみんなよくやったぞ」「信太、バスで押そう」軽自動車をバスで押してのけた。東海道を抜けた。山々が遠ざかっていく。ポツポツとマンションが現れる。道を真っすぐ進むと大きな湖が見えてきた。学がほほ笑んでみんなを見た。「みんな琵琶湖や滋賀についたぞー」後ろでは秋たちがハイタッチし合っている。みんなが窓からニヤニヤとしながら湖を眺めた。琵琶湖には太陽の光が反射してキラキラと輝いている。だだっ広い青い地平線の彼方に山々が薄く見える。(やっとや、やっとついた)硬い息が学の口から出た。しばらく右手に琵琶湖が見える大通りを走った。建物の隙間から湖のキラキラと反射した光が差し込んだ。町中に突然、柵と木々で囲まれた建物が見えた。コンクリートでできた門の看板を見た。陸上自衛隊大津駐屯地と書いてあった。学は思いついたようにホームページを見た。(自衛隊の宿舎があるだけで兵器はないのか)バスに乗ってから移動は速かった。途中で扉のしまった薬局を見つけてバスをつけた。信太と見回りしてから窓を割った。学は駐車場で外を見ながらバスに声を張った。「みんないるもん取りに行き」ぞろぞろとバスを降りて店へ入っていく。三月とななと遥はお菓子を持ってきて笑いながらバスの中で食べている。秋と信太はゴム手袋や紙コップ何かを何回も運んでバスにに詰め込んでいる。バスの後ろはものであふれかえった。大津駅から琵琶湖を右手に10キロほど走らせて堅田まで来た。左手には街並みが流れていくが隙間から山々がはっきりと見えた。途中生きているゾンビは一体も見なかった。たまに干からびてやせ細った死体が倒れているだけだった。女の子たちはずっと後ろで話をしていた。「ゾンビもう見ないね」「ほんまやなぁ」バスの中の充電器には補聴器が充電されていた。学が補聴器を指さして後ろを振り向く「遥、スマホ充電したいから抜いてもいいか?」遥は少し黙って頷いた。学が信太の腕時計を見た。「もう15時か、学校に泊まろう」辺りを探しながら走った。学校の建物が現れた。遥が窓の外を見ていると小さな電気屋が見えて目で追った。バスは門のすぐ前に泊めた。信太と数豊に倉庫の食料をすべてバスに運ぶように頼んだ。この日は体育館に泊まった。体育館のコンセントにプラグを差したが電気は流れていなかった。学が三月に手回し発電ラジオとスマホを渡して充電するように頼んだ。肩をすくめたみんなを、遥が見渡した。「もうどこも残ってないなぁ」学は一人で学校の前のコンビニに行った。それを遥が学校の柵から一人で見ていた。コンビニのガラスの扉は何故か割られていた。中に入ると缶詰や水は一切なくなっていた。(誰か来たのか)学校に戻って、信太と数豊を呼んだ。「この近くにブックオフがあるから行こう」数豊がバスに目をやって言った。「バスはもう食料積んでぱんぱんやで」「新しい車取る」三人で街を歩いて軽トラを取ってきた。荷台には数豊が乗ってブックオフを目指した。手慣れた手つきで店を物色して灯油タンクやら服やら皿やらをかっさらった。軽トラに荷物を乗せてから学はノートを片手に2人を集めて歩いた。「どこ行くん?」「ちょっとな」少し歩くと、大きな大きな橋が見えてきた。学がノートと照らし合わせて言った。「琵琶湖大橋や。湖の西と東を繋いでる」橋からはきれいな夕焼けが見えた。琵琶湖が赤く染まっていた。
「カタカタ」荷台に乗せた皿に音を響かせながら、軽トラで走った。助手席の信太がニヤニヤしている。「どうしたん」「秋が服欲しいってゆっててん」「よかったな」学は笑って答えた。フロントガラス越しに学校の柵が見えてきた。秋が柵から何かを言っている。顔つきがこわばっていた。急いで門に車をつけた。「どうした」「学、遥ちゃんがいない」秋の目がうるうると揺らいでいる。学は立ち止まって片手で頭を押さえている。信太が学の肩をつかむ。「学、指示出せ」「あぁ…そうか、みなとに校舎を探させろ、信太は秋と2人で学校のあっちを」学が指さした。「俺と数豊はこっちを探す。誰も体育館から出すな」走り出した。「はぁはぁ」「はるかー」必死に声を張り上げた。「はるかー」走り続けた。電気屋が現れた。数豊が立ち止まった。「……学」見ると、やせ細って枯れ木のようになったゾンビと遥が倒れ込んで格闘している。学はゆっくりと拳銃を取り出した。数豊が学を見ると目を見開いている。「ゼェゼェ」と荒い学の呼吸が聞こえる。「待って、拳銃は……」学の腕に手を伸ばした。「パーン」一瞬の出来事だった。耳鳴りだけが響いた。ゾンビは脳天を撃ち抜かれ、目を見開いたまま死んだ。遥は泣いて電気屋の壁にもたれて座り込んでいる。沈黙が流れてから学がゆっくりと口を開いた。「帰ろう」遥はゆっくりと立った。数豊と学の後ろを少し離れてゆっくりと泣きながらついてきた。数豊が学を見上げると、まだ目が見開いて不規則な呼吸をしている。(何がいけなかった。俺は何をへました)「はぁ……はぁ」街路樹を何分か歩いた。(どうしてこうなった。ずっと最大限やってきた)突然、遥が立ち止まった。「学、信太」2人が後ろを振り返った。遥は肩の服をめくった。遥の肩に血がにじんだ歯型がついていた。とっさに数豊はさすまたを握る。学は頭を抱え込んで顔を歪めた。後ろから足音が聞こえる。「学」信太の声だった。信太が学の肩をつかんで前に出た。後ろから秋がのぞき込んだ。「おいどうなってんねん学」信太は遥に近づく。数豊が下を向いて服を掴んだ。「信太、あかん」秋は震えて倒れ込んだ。信太は学を見た。学は過呼吸になっている。信太が震えてゆっくりと口を開いた。「遥その傷」遥は大きな涙をポロポロと流して答えた。「みんなが困らんように、発電機探しに行ってな……発電機をな……探しに行って……」遥の補聴器は明かりがついていなかった。「ゴクリ」信太が息を呑んで自分の手を握りしめた。「遥、必ず助けに来る……俺らが薬作って、絶対、助けに来るから」信太が電気屋のドアを開けた。遥は手で目をこすりながら暗い店に入っていく。遥がガラス越しに手を当てた。秋が手を当てて泣いて叫んだ。「絶対助けに来るから。遥のトマト持ってくるから」遥は頷いた。「みんなをずっと見てるから……応援してるから」信太は秋の肩を抱いた。数豊は涙をこらえて下を向いた。学がゆっくりと寄ってきて手を当てた。「ごめんな…ごめん」信太は何も言わず作業帽子をかぶり込んだ。「学、みんな行くぞ」信太の目は見えなかった。学は信太を抜かして一人でさっそうと歩いて道端にある缶を蹴飛ばした。秋は信太にもたれかかっていて数豊は一番後ろをさすまたを引きずって歩いた。学校について、学はドアを蹴って入った。「バン」体育館に大きな音が響いた。三月とななとみなとは初めて見る学の苛ついた顔に怯えた。学は三月に冷たい声で聞いた。「スマホ充電できてるよな」「…ちょっとだけ」「滋賀にある自衛隊基地を探して」学は静かに拳銃の手入れを始めた。ななとみなとは横目に見ている。遅れて信太たちが入ってきてななたちが事情を聴いた。学が三月にまた冷たい声で聞いた。「でた?」三月は声を少し震わせて言った。「…高島市に饗庭野分屯基地っていう航空自衛隊の基地がある」「……」学は何も言わず外に出た。花壇に腰掛けてうつむいて座った。少しして信太が体育館から出てきて学の横に座った。秋やみんながが遠くから見ていた。「学、明日はどうするか教えろ」「……」「学!」学の胸ぐらをつかんだ。学はボロボロと涙を流していた。「俺のせいでこうなった。俺が補聴器の充電取ったから、遥は……」信太は学の顔を見て顔を歪めて目をこすった。「精一杯やったのに、ずっと、全力でやっのに……」「お前のせいじゃないわ」信太が学のを離した。「お前はよくやったよ」。作業帽子で隠れた目から涙がこぼれた。「ごめんな、学、お前のこと助けるつもりでおったけど。俺は力不足で…」
「俺は大阪で……殺すつもりなんかなかった」学の目から一筋涙がたれた。その夜は2人で地ベタに座って話した。「父親への最後の言葉がそれやったから……ありがとうって言いたかった」体育館に戻ってみんなと話した。「さっきは感情的になってごめん」
次の日の朝、学がバスを、秋が軽トラを運転した。二列になってバイパスに乗った。バイパスは車がほとんどなくて快適に進めた。右手に琵琶湖が見えてその奥に湖の東側の山々が見える。雲一つない快晴だった。少し走ってから学がバイパスを降りた。道路が坂になって琵琶湖へと続いている。信太が運転席の横でマップを見た。「もう降りんの?高島市の真ん前やで?」学が笑って答えた。「考えてることがあってな」少し走ると湖西線の線路と駅が見えた。学が指さす。「あれが近江舞子駅」「なんかあるん?」「ハワイビーチ。淡水やけどな」学と信太でニヤニヤしていた。琵琶湖とすぐそばの道路を走ると2階建てのホテルが見えてきた。「今日はここに泊まるで」信太の腕時計を見るとまだ9時だった。ホテルに車を止めてホテルの前のビーチに向かった。浜には松が植えてあって白い砂が足にこびりついた。2人ずつ見張りにつけて交互に遊んだ。学はノートを片手に周りを歩き回った。(田んぼがちょっと少ないな。高島市のほうがいいか)「プップー」車のクラクションが鳴った。驚いて電柱に隠れた。道路を恐る恐る見てみると赤いワゴン車が走ってきて車の窓を下げた。「ウィーン」「生存者ですよね」車を運転していたのはポニーテールをした学と同じぐらいのそれは美しい色の白い女性だった。中には中学生くらいの子や小学生くらいの子がいて合計4人だった。誰もおびえた顔をしていなかった。学はぽかんとして言った。「生きてますけど。どっか行くんですか?」女性が学を見つめた。「仲間になりませんか」(この女性がリーダーなら争ったことないんじゃないか?)「俺は一人じゃないんで……こっち来てください。みんなに紹介しますよ」(大丈夫だよな)ホテルに誘導すると。ビーチでみんなが目を丸くした。信太が駆け寄ってきた「学、誰なん」「今会った。女性がリーダーみたいやから大丈夫……」赤いワゴンから4人が降りてきた。学がみんなを集める。「全員集合!」ポニーテールの女性が前に出た。背が高くスラッとしていた。学がすかさず前に出て握手した。「こんなに人がいたなんて思わんかったわぁ」京都弁だった。「大津でコンビに寄りましまか?」「えぇ寄りましたけど…」(あの時のはこの人らやったんか)学がホッとして自己紹介していった。「僕は三浦学で大学1年生です」「私は鷹野里奈で大学1年生です」紹介が一段落した。子どもたちはすぐに打ち解けてビーチバレーをしていた。見張りをしている学が海で遊んでいる理奈を見ていた。秋と信太が腕を組んで歩いてきた。秋はオレンジ色の水着を着ていた。「秋、それどこから持ってきたん」「ホテルに小さい売店あって、もらった。理奈ちゃんにゆったら、あとで着よっかなってゆってたで」秋が笑った。「あっそーですか」信太がサングラスを下げた。「学、行ってこいよ」「俺の勝手でここ来たから」学が下を向いた。秋はフフッと笑って答えた。「みんなずっと学についてきたくて、ついてきたんやで」みんなを見ると笑って遊んでいた。「フーッ」軽く息を吐いて理奈のもとに走った。




