表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

第4話「お母さんは子供が大好き」

この世界には、たくさんの母親がいる。


母親がいなければ、人は生まれない。

誰もここにはいない。


母親がいるから、子供が生まれる。


そして母親は、子供が大好きだ。


優しく抱きしめて、

あたためて、

守って、

愛して育てる。


それが母親だ。


だから、母親は子供を傷つけたりしない。


……しないはずだ。


でも、ときどきおかしな母親がいる。


この母親は違った。


「大嫌い」


そう言いながら、殴る。


「貴方なんか…」


そういいながら、蹴る。


「産まなきゃよかった」


投げつける。


おかしいね。


母親は優しくて、あたたかくて、安心できるものなのに。


この母親は、どうしてこんなに冷たいんだろう。


どうしてこんなに怖いんだろう。


でも――私は知っている。


私は、本当は子供を愛していた。


誰よりも愛していた。


愛して、愛して、愛して。


眠れない夜も抱きしめた。


熱を出せば朝まで手を握った。


泣けば背中を撫でた。


何度も何度も、「大好き」と言った。


愛していた。


ちゃんと、愛していた。


でも。


届かなかった。


どれだけ愛しても、あの子は私を見なかった。


笑わなかった。


泣かなかった。


何も返してくれなかった。


まるで、そこに心なんてないみたいに。


だから私は怖くなった。


「あの子はおかしい」


何度も言った。


誰にも信じてもらえなかった。


疲れているだけだと笑われた。


違うのに。


違うのに。


私はちゃんと分かっていた。


あの子は駄目なのだと。


あの子は、このまま生かしてはいけないのだと。


私がやらなきゃ。


私しかいない。


だって私は、母親だから。


母親は子供が大好きだ。


だから――


殺さなきゃ。


あの子は、もう……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ