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【一章完結】「好きにしていい」と言われたのでハンドメイドコスメを始めました ~ドライな妻が成り上がる一方、旦那様は思ってたより捨てたものではないようです~  作者: 松平 ちこ
二章 いざスローライフの旅へ。楽をするための資源、人材確保編

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第2話 荷造りと今後の予定

「帰して良かったのか?」


「だって、ずっと居られると、この後打ち上げが出来ないじゃない」


 ガルドに聞かれ、フルールは二階で荷造りと片付けをしながら答えた。


『貴方だけここから逃げるか、他の人にも声をかけるか、一晩考えてくれていいわよ。また朝に会いましょう?』


 フルールはそう言って男を解放した。野放しにしたところで、閉店前の夕方の出来事が影響して、男が領都で自由を得られることはないだろうと思って、だ。

 目撃者も多く、依頼人もまた見ていたはずだった。


 ――フィアビリテに打ち上げの買い出しを頼んでるし、その過程で旦那様と手を回してもいそうだしね。


 フィアビリテが外でルゼルヴェと何かしようと、フルールの見ていないところでなら好きにしたら良いと思っていた。彼の雇用主はルゼルヴェなのだから。


「もし戻ってきたら、連れて帰るわ。雇うと言ったからね。たくさん働いてもらうつもりよ」


「人なら足りてるだろう。何をさせる気だ?」


「あそこの町。特産もないし、これから先、目玉が無いときっと不便になるのよ。

 だからね。ラベンダーを売りにしようかと考えていて、群生地を拡大、管理してもらおうかなって」


 以前から計画していたことの一つだった。養蜂もしたいと思って、試作の木箱なども作ってもらった。

 ラベンダーが拡充出来たら、それらがさらに現実味が帯びてくるだろう。

 とは言え、現在の町に余分な労働力は無いのだ。


 ――田舎の過疎化って、高齢者だらけになった時深刻だし。


 以前下調べと許可取りを事前に済ませ商業ギルドにルゼルヴェと赴いた時、作業小屋の建設依頼も出していた。タイミングとしては、とてもありがたい労働力になる。


「大丈夫だとは思うけど、しばらくはガルドに監視を頼む形になるかしらね。お願いしても良い?」


「良いも何も、命じれば良いだろうに」


 町へ迷惑はかけられないと、フルールは説明する。ガルドは仕方ないなぁと苦笑し頷いてくれた。


「……これに関しては、足元見てるみたいで嫌よ。無理に引き受けなくても良いの」


「そうか? フィアビリテとの二択なら、俺が適任だろう。フルールは間違ってない」


 ルゼルヴェに拾われた過去を持つ平民のガルド、幼少期からルゼルヴェと一緒に育った、一応は平民のフィアビリテ。

 どちらが男に寄り添い、更正させるのに向いているか、ガルドも気づいたらしい。


 ――まぁ口数少ないガルドに見張られてたら、恐怖でしょうけど。


 引っ越し初日までの彼らとの気まずさを思い出して、フルールは懐かしくなり小さく笑う。

 ガルドはそれに別の気まずさを被せた。


「……強いて言うなら、植物の管理など知識が無い。簡単に言うが可能なのか?」


「ラベンダーは強いから大丈夫よ。株分け、挿し木で十分に増やせるの。種は必要ないわ。肥料が必要なわけでもないし」


 花壇程度の広さなら、今でも片手間に出来るほどの手軽さだ。

 フルールがやりたいのは、名物だと言えるほどの広大なラベンダー畑。それにはどうしても、専従の人を雇った方が早い。


「とりあえず最初は私が手本を見せるから、あとは彼らに任せてくれたら良いわ」


 暇な時に読もうと持ち込んだ本や図鑑を箱に詰めながら、フルールは手を進める。

 前世のハーブ類は、この世界と名前から生態まで共通だと全て確認済み。ここまでくると、ただの偶然ではないだろう。


 ――きっと、昔にも転生者が居たのね。


 フルールだけが前世の記憶を持っていると考える方が不自然だった。

 そして逆に、前世を思い出してから食べた酸っぱいトマトはエーグルと言って、この世界特有の魔草の類いらしい。


 ――魔力を宿した草、ねぇ。


 いつか手を出すにしても、それは当分先だろうと思われた。魔草はモンスターが多い地域に生息し、人の居住圏にはあまり生えていないそうだ。医薬品の材料であったり、珍味の扱いだった。


 ――実家で食べたから、きっと誰かが医薬的な効能を期待したのかもね。


 ルゼルヴェに頼んだ書物の中に、魔草の詳しい情報は無かった。興味が出れば、また集めてもらうのも良さそうだ。


「うーん。それほど多くないと思ってたけど、わりとあるわね。何冊か置いていこうかしら」


「困らないか?」


 前世と被る部分が多かったこともあり、既に読んだ内容はフルールの頭に入っている。

 そもそも帰って事を済ませたら、領地巡りをする予定だ。家に持って帰るより、本は置いて行く方が今後の従業員指導で使えるかと思い至る。


「家で読まないかもだし、ちょっと置いていくわ」


 フルールは持ち帰る本と、置いていく本の仕訳をし始めたのだった。

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