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【三章開始】「好きにしていい」と言った旦那様、ただのコミュ力ゼロだった~念願のハンドメイドコスメをしちゃいますね~  作者: 松平 ちこ
二章 領地経営に口出しします!

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第47話 旦那様、また会う日までさようなら

「あの、何日も本当にお世話になりました」


「ありがとうございます。お世話になりましたぁ!」


「あらまぁ、気にしなくて良いって言ってるのに、抜けないお嬢ちゃんだこと。もったいないねぇ、そこの二人も見倣ってくれないかねぇ?」


 気持ちの良い秋晴れの空の下、前に手を揃え、フルールは腰を折って礼を述べた。ドレスの着付けのために呼び寄せたカームも、後に続いて礼を述べる。

 見送りのために食堂の外へと出てきた女将は、眉を下げて笑うと肩をすくめて袖に振った。


 ――お世話になりっぱなしなのは、本当なのだけれど……。


 誘拐事件の後、損害を受けた店舗の確認にドレスの仕立て、修繕依頼に宝飾品選びと慌ただしくしていた。


『家と領都、往復がどう考えてもロスね』


『部屋はあるんだから、女将の所を拠点にすれば良い。下手な宿泊所より防犯面も申し分ない』


 計画を立てるに辺り悩むフルールへ、ルゼルヴェが当然のように提案してきた。女将はそれに、二つ返事で快諾してくれたのだ。


「え、俺ぇ?」


「当たり前だろう。宿屋は閉めたってのに、夜中だろうと早朝だろうと、フラッとやってきては泊まって、礼もなく帰るんだからね」


「いつ来ても良いって言われたし、閉め出されたこともないのに、それ言っちゃう?」


 馬車の確認をするフィアビリテが、女将の嫌味を拾って悪びれなく反応する。

 即答した女将は言動でぞんざいに扱っていても、やはりどこか嬉しそうではあった。


 ――放蕩息子たちとお袋ポジにしか見えないわ。


 前世にはなるがフルールにも、近所に住む子どもたちの成長を、微笑ましく思うことへは覚えがあった。

 口にはしないが、気持ちはとても良く分かる気がする。


「ほら見たことか。お嬢ちゃん、マメなのは良いことだけど。たまには、コイツらを基準にしなよ? 疲れちまうからね」


「すみませんけれど、女将さんの意図を汲んで見倣うのは、躊躇いますわ……」


「その頑なさは似なくて良いんだよ。嬢ちゃんもすっかりここの人間なんだから、自分の家だと思って遠慮しなくても良いんだって」


「――っ!」


 謙遜するフルールに、女将が容赦なくバシッと背を叩いた。あまりの痛さに、一瞬息が詰まる。カームが苦笑しながら、背を擦ってくれた。


「女将、加減はしてくれ。彼女は慣れていない。周りにも誤解無きよう、そう言い含めておいてくれ」


「ルヴェ坊じゃないんだ。その辺は、みぃんな分かってるよ」


「……なら、いい」


 砦から出向している伝令の騎士と話をしていたルゼルヴェが、こちらへと歩きながら話に加わってきた。女将の切り返しに、やぶ蛇だったとでも言いたげな顔をしている。


「あの。ここのって――」


今日(こんにち)に至るまで、顔と名前は十分に周知出来ただろう。君は町だけでなく、エルヴァージュの村々を含め――もう、この領都でも余所者だと言われることはないんだ」


「揉め事を起こしたわけでもなく、普通に出歩いていてそれは……、なんとも複雑ですわね」


 ルゼルヴェの言葉に、フルールはどう反応して良いか分からず対応に困った。彼に差し出された手を取って、馬車へと乗り込む。

 カームが後に続いて、フルールの向かいにちょこんと座った。


「余所者は色々と目立つからな。現に、泳がせていた領地内の不審者は、あらかた捕まえたらしいぞ」


「あら、いつの間に」


「さすが、荒事への治安の早さはピカイチの領地!」


 そこにはフルールは素直に驚いた。この短期間に、良くもまぁ手際が良いことだ。

 カームは意地悪く笑っていて、相変わらずルゼルヴェへの当たりがきつい気がする。


 ――カーム、ちょっとは自重しなさいよ。


 ルゼルヴェはと言えば気にせず、馬車の扉を閉めて女将の隣に立った。帰る先が違うこともそうだが、彼にはまだ事後処理が残っているらしい。ここから先は、久々の別行動だった。


「次に会うのは、店舗の従業員研修か?」


「別に、お越しにならなくても大丈夫ですわよ」


「そうはいくか。今回の人選に不備があれば、それは私の責任なのだから」


「……なら、健康を第一に、国や領地の責務に差し支えない程度に、お願いしますわ」


 女将公認の互いに頑固者だった。フルールは嘆息して、そう妥協する。

 仕事人間だと揶揄する噂があったほどなのに、出会ってからはそれを忘れそうな勢いで、彼があれこれと動いている気がするのもまた事実だ。


 ――若いのにものを言わせて、本当にいつか過労死するんじゃないかしら。そうでなくても、急にガタッとくるのに。


 ルゼルヴェが居て助かった場面があったとしても、それはそれ、これはこれ。

 何度か言ったが聞かないのだから、フルールは呆れてしまうのだった。

前話、酷い状態になっていて見苦しくすみません

画面のついたままの寝落ち、怖いですね(。´Д⊂)

ご指摘があってすぐに直しましたが、それまで約数時間……、穴があったら入りたい


二章完結間近、評価を25人の方にしていただけて、ブクマ96、リアクションなんと1000超えです! 感謝感激( *´艸`)

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