進路
やっぱり…秀と二人で話すべきかな。
秀の本音が知りたい。
もう、二人の妊娠を知っているんだもんな。
てか、二人から同時に聞いたのかな?
それとも…別々に?
秀は、それぞれ二人になんてこたえたんだろう?
でも、美華は…
オレと一緒になることを選んだってことは…
やっぱり秀は、知佳子ちゃんを選んだんよね?
え、また逆戻りしつつある…
美華がなんで…
なんで無理矢理…秀に約束させて、音声まで残したかってところだ。
記憶をあいまいにさせてまで、なぜ音声を…
その音声…
いやぁ…聞くのこわいな。
でも、これは…聞かないと後で後悔するかも⁉︎
今、ちゃんとしないと後で拗れるかも⁉︎
やっぱりきちんと聞いて、解決させるべきなんじゃ…
もしかしたら…アンタは替え玉って言われる可能性大。
オレは、直接それを聞いても…美華と子どもを愛していきる…べき?
…
たとえ替え玉でも、美華と暮らせるなら、それでも…
それでもオレは、幸せ…なんだよな?
子どもができにくいオレが、家庭をもてるってだけでも…幸せなんだよな?
幸せって…なんだ?
わからなくなりすぎだ。
…
なぜ…
なぜ、こんなに急遽…進路決定することに…
進路相談の先生に一度相談…する?
てか、美華も知佳子ちゃんも学校に連絡してるんじゃね?
さすがに親が学校に連絡してるよね?
だって、美華のおとうさんが妊娠知ってるんだから、おかあさんも知ってるだろうし。
あ、秀のご両親も知ってるはずだ。
だって、秀が言ってたもんな。
オレの店、この前きた?みたんだ?どっちがいい?って言ってたもんな。
両親の経営するお店で修羅場って…
てか、あんまり修羅場って感じでもなかったのかな。
あ、あの時は妊娠してるって言ってないかもか。
秀のくちぶりだと、なんか淡々と話がスムーズにいった感あるよな。
美華がよく、すんなり身をひいたな。
替え玉という名案がうまくいっているから…なの?
でも、もうさすがに美華の両親が秀の両親に言ってるはずだよね。
知佳子ちゃんだって、病院とかいってるだろうし、さすがに親も知ってるはずだよね。
だから、やっぱり進路相談を先生に…
したところで、働きなさいだよなぁ。
喫茶店…
秀のご両親の経営する喫茶店に、とりあえずいってみよう…かな。
…
なんてきりだそう…
あぁ、もう喫茶店に着いてしまった…
…
⁈
秀のご両親のお店の前で、オレはギョッとした。
だって…
あと二十日‼︎って窓に貼ってあるじゃん…
出産のカウントダウン⁈
…
え、やっぱり知佳子ちゃんの出産日…だよね?
というか…
美華も知佳子ちゃんも、元が痩せているから、お腹目立たないよなぁ。
あと二十日で子ども産むとか…
学校全体が大騒ぎになりそうだ。
…
ってさ、そんなことよりもカウントダウンって…どうなのよ⁉︎
まさか…美華も同じ日出産日じゃないだろうな⁇
だとしたら…いいけど…違うなら、美華がみたら、まずくないか?
とりあえず、おそるおそる店へ入った。
カランカランと、入り口の鈴が揺れて音を鳴らす。
その音をきいて、
「「いらっしゃい」」
と、秀のご両親が声を揃えてこちらに視線を向けてきた。
「あの…こんにちは」
「こんにちは、久しぶりね。」
にっこりする秀のおかあさん。
「え、あー…はい。」
…
オレはジッとカウントダウンの紙をみつめた。
「あの、これって…」
「あぁ、そうなのよ。もう、子どもみたいになっていてね、愛着っていうか、ね。」
…
「子どもみたいって…そもそも、もう孫になるんですよね?」
「もう!ユウタくんってば、ほんと八百屋の息子だわ」
え?
「それは…どういう?」
「食べ物にきちんと感謝しているって感じ」
「あー…そりゃ、生命に感謝はしていますけど…」
「そうよね。食べ物がカタチになれば、それはもう孫、同然よね」
…
え?
このカウントダウンの張り紙の話からの…食の大切さの話へと、移行してしまっている…。
あ、話をわざと逸らした?
じゃあ、なぜ張り紙なんか…
「ユウタくんはさ、大学どこにいくか決まっているの?」
「あー…自分は…その…」
「まだ、決めかねてる?かな?でも、まだ時間あるし、そう焦らなくてもね」
「あー、はい。」
「秀は、専門学校に行きたいって、最近言っているのよ。なんなら、そのうち自分で洋菓子店やろうかななんて大きな夢語っているのよね」
「洋菓子店…」
「あ、それより座って。コーヒーでいい?」
「すみません、用事思い出したのでまたきます。おじゃましました」
「あら、そうなの?」
「はい」
きて早々、店を出た。
専門学校…
働くんじゃないんだ…?
というか…
洋菓子店だと?
まさか秀…
美華と一緒になるつもりなのか⁉︎
美華の家は、ケーキ屋だぞ?
洋菓子店って…
ケーキ屋だよな?
…
続く。




