チョコレートケーキ
秀…
どうすんだろ…
知佳子ちゃんは、ルンルンで教室へと向かって行った。
「あ、おすー。ユウター」
…
「秀…おまえ…どうすん…」
ヤバ…
口止めされてたんだった。
「あれ?もしかしてユウタこの前、店の前通った?うちの」
…
「いや、通らないよ」
「ほんとは、みたんだろ?どうすっかなぁ。まだどっちにするか迷ってんだよ。ユウタみたんなら、教えてくれよ。どっちがよかった?とりあえず見た目」
…
え、喫茶店で修羅場迎えたの?
てか、美華と知佳子ちゃん迷ってんのかよ⁉︎
そもそも見た目重視⁈
でも、秀…
二人が同時妊娠してるってことは、まだ知らないんだよな…。
びっくりするだろうな…。
知佳子ちゃんも妊娠となると…
二人同時妊娠だから、美華も知佳子ちゃんも心強いんだろうけど…
でも、知佳子ちゃん浮かれすぎっていうか…
なんか…考えが浅くないか?
これから一生のことが決まるんだぞ?
そんな簡単に…おままごとじゃないってのにさ…
そして、それがオレにも関係してくるなんてな…。
オレが父親になるなんてな…
ほんの数ヶ月前までは、進路どうしようとか、そんな感じだったけど…
ってかさ、進路…
呑気に大学行ってる場合じゃないな。
働かなきゃじゃん‼︎
そうだよ‼︎
オレの人生もいきなりかわるのか‼︎
そっか。そうだよな。
え、待って…
そしたら、さ…
オレと美華って、これから一緒に住むの⁉︎
どこで…どうやって…
一週間考えさせてって言ったけど、これはもう…一人じゃ考えられないレベルじゃないか。
…
オレは、美華の部屋に行った。
そして、これから美華も知佳子ちゃんもどうしたいのか、どうするつもりなのか、聞いてみることにした。
美華は、もちろん…幸せになりたいよと、目を輝かせていた。
そうなんだけど…
…
うん。
秀のしたことは、許せない。
でも、もし美華が言ったとおり、美華が秀のあまり記憶がないときに、その…
そんなことになっていたんだとすると…
秀は、被害者…なのか?
美華は、ずっとオレと両思いだと思っていたけど…
オレは、ずっと美華にとったら…
秀の代わりにすぎない?
でも、オレは美華を好きだし…守りたい。
知らない間に、裏切られていたのか…それとも、違う意味でオレが美華の心のよりどこりになっていたのか…
オレは、正直…
ショックだったけど…
でも、どうであれ美華がオレを選んでくれたのだから、だから…
「美華、一週間後の返事期待してていいからね」
「えっ⁉︎ほんと?そんなこと言われると張り切っちゃうなぁ」
「いや、張り切るなって。安静にしてくれよ。心配になるから」
「えー?ユウタって、そんなに過保護だっけ?」
「まぁな。」
「ふふ、じゃあ一週間後ね」
「あぁ、一週間後。」
知佳子ちゃんは、どうするつもりもこうするつもりも、聞くまでもないな。
秀と結婚するんだろうな。
秀も、知佳子ちゃんのこと大好きっぽいし…。
だけど、なんで秀は…美華と知佳子ちゃん迷ってるって言ったんだろう?
秀は、記憶があいまいだったらしいけど…実は、そんなことなかったり⁉︎
でも、もうオレは決めたんだ‼︎
秀がいまさらなにを言っても、オレが美華と結婚する‼︎
最高の父親になってやるんだ‼︎
そして一週間後、オレは美華のお望み通りに、結婚の約束をした。
バレンタインの日に。
そして、キスをしたんだ。
オレは…はじめてだったけど、美華は…
そのことは、考えるのよそう…。
その日、チョコレートケーキをもらったんだけど、びっくりするほどに、美味しかった。
隠し味が、素晴らしい。
なにが入っているかは、わからないけど、とても絶品だった。
あんまり美味しすぎて、美華を抱きしめたくなった。
美華の気持ちが、このチョコレートケーキに詰まっているんだ。
美華に会いたい‼︎
さっき忙しいからお店戻るって美華は、言った。
でも、会いたい‼︎
そう思って、美華のもとに向かおうとしたけど…
忙しいんだもんな…
からだだって、大変だし…
バレンタインが落ち着いたら、両親にきちんと話さないとだな。
自分の親と、美華のご両親に…
…
やっぱり今日は、帰るか。
クルッとユーターンすると、
「あ、ユウター‼︎」
向こうから秀が嬉しそうに手を振ってきた。
「秀…」
…
「なぁなぁ、くった?美華のくったんか?あ?どう?どうよ?どうだった?くったんだろ?」
…
くったとは…
「なんだよ、いきなり」
「くったんかなぁってさ。オレもくったし。うまいよな⁉︎な?」
…
秀…
記憶…あいまいじゃなかったのかよ?
うまかったって…
相性がいいから知佳子ちゃんと悩んでるってこと⁉︎
…
聞きたくなかったよ…
そんなことさ…
続く。




