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藤波 リカ(たこ焼き屋のアルバイト)と火渡 レッカ(宇宙刑事)

 Side 藤波 リカ、火渡 レッカ


 =夜遅く・大阪日本橋、オタロードのたこ焼き屋=


 大阪日本橋、オタロード。

 平日であり、流石に夜も遅くなったと言う事で賑わいも収まっている。

 信用していいのかどうかも分からないコンカフェの客引きの姿もない。

 最近はパトロールは厳重で、警察の姿もよく見かける。その中に混じって黒服のミニスカメイド服を着た厳つい女装の乙女(?)が混じっていて新手の都市伝説と化していたりもするが。

 

 ハンドレッド事件が起きてからまだそれ程時間が経過しておらず、テレビ報道は控えているが、最近の子はテレビを見ずにネットばかり見るのでそう言う情報操作は利かず、公然の秘密として知られている。

 

 戦いの舞台となった大阪日本橋も聖地巡礼みたいな感じで、明らかに日本橋とは違う感じの客層も多くみられていた。


(今日はこの辺でしまいかな?) 


 オレンジ味掛かっている逆立った茶髪の髪の毛に赤いバンダナ。

 顔立ちは鋭い瞳に野性的が感じられる顔立ち。

 服装は首回りや肩、腹部を露出したオープンショルダーの白いキャミソール。

 黒のホットパンツ。白いソックスで黒いスニーカー。

 胸も大きくグラマラスであり、露出度の高さと相まって独特な色気を振りまいている。

 拳や、顔、体の露出している部分に細かい傷が付いているが、彼女の危険な魅力をより一層に引き立てている。

 

(今日も働いたし……たこ焼きのあまりは夜食にでもするか)


 彼女は藤波 リカ。

 たこ焼きの店員であり、看板娘。

 最近は勉強して大学に入る事も視野に入れ始めている。

 大阪日本橋の何でも屋の仲介役と言う裏の顔もあった。

 最近の悩みは先日の事件絡みの客とか取材の多さとかだ。

 もう一つはたこ焼き屋の独特の匂い、ソースの匂いが体に染みついていて変に思われないだろうかと言う事だ。

 だから香水でも付けようかなと考える反面、アルバイト中に客に香水とたこ焼きの匂いが混じった変な香りをプレゼントしてしまいかねないので付けるのは難しいところだった。

 もう開き直って一種の男除けにでもしようかなとか考えている。

 

(うん? 客か?)


 もうそろそろ店を閉めようかなと言うところで客が来た。

 長い赤い髪の毛。

 切れ長の瞳で整った顔立ちではあるがヤンチャしてそうな、野性味を感じる顔。

 背もあり、四肢もアスリートのように鍛えられている。

 そしてとんでもなく胸が大きい。

 衣装は 黒いミニスカワンピースにリストバンド、ゴツいパンクブーツ。

 日本橋と言うか、世間的にも有名人の部類――赤い宇宙刑事である。

 火渡 レッカ、宇宙刑事レッカと言う通り名がある本物のメタルヒーローだ。

 先日の事件では赤い巨大ロボットに乗って頑張っていたらしい。


「なんや、珍しい客やな」


「あ、都合が悪ければ出直しますけど」


「ええわ。だけど帰りは誰か呼んだるから油断せんようにな」


「はい」


「ん? 偉い素直やな?」


「色々ありましたんで……」


 苦虫を噛み潰したかのような顔をするレッカ。

 火渡 レッカは宇宙犯罪組織ジャマルに捕まって酷い目に遭った。

 危うく相棒のリリナと殺し合いをさせられるところだったが、チート過ぎる異世界帰りの勇者二人の手で助け出されたが、一歩間違えればどうなっていたか。

 前回のハンドレッド事件の時も皆の助けがなければ大惨事になっていた。

 その時の事を思い出して自分の一人の非力さを痛感し、昔に比べて色々と聞き分けがよくなったレッカであった。


「噂は聞いとったよ。自分の二個下におっかない女がおるなって」


「ああ、やっぱ有名だったんですか?」


「うん。でもあの当時はサカキ高校に須藤 勇也、ハンドレッドとかブルーデビルもバリバリ現役やった時代やん? それで心配したんよ?」


 その全てが今は倒れてしまった。

 逮捕者も続出し、今迄やり過ぎたせいで恨みを買っていたのか死者も大勢出た。

 留置所、拘置所、裁判所、少年院もパンク状態になっているのではないだろうかと変な心配するリカであった。


「まあ確かに—―あの頃の私は捻くれてましたからね。何と言うか正論で止まれない私カッケエみたいな? 色々な人に迷惑かけて……正直どうしてこんな生き方してたんだろうかって不思議に思って」


「まあ、君の場合はしゃあないやろ。男って言うか、不良って言うか、女とやったかどうか、その人数がステータスみたいな連中が絡んで来たんやろ?」


 不良漫画で不良にいいイメージを持っている人間は多いかもしれないが、不良漫画のメインを張っているようなカッコいい不良はネッシーとかツチノコみたいなもんだ。

 その辺の事情を理解しているレッカはリカの例えに「そうですね」と苦笑して返した。

 

「あいつら口先だけは一人前だけど、いざとなったら被害者面して親に丸投げしますからね」


「その口振りやと、周りにおったんか? 妊娠させたの?」


「ええ、いました。そう言う方面にスマホをフル活用してその手の知識だけはあるんですよね」


 今は何でもかんでもスマホの時代。

 性知識やHな動画や画像もスマホで幾らでも見放題、手に入れ放題な時代だ。

 幼稚園児が海外のデスゲームドラマを見て園内に流行りになったりしてると言う話もあるぐらいである。

 

「あ、そろそろ注文いいですか? たこ焼き6つ。ドリンクはコーラで」


「あいよ」


 そう言って注文を受け取るリカ。

 テキパキとメニューを用意する。


「しかし驚きましたね。何か聞いてたイメージと違うと言うか」


「ああ、昔はバカみたいにケンカしてたしな……まぁ、今も似たようなもんやけど」


 レッカの指摘に今度はリカが「あははは」と苦笑していた。


「やっぱチーム抜けたのって、チームの皆のためですか?」


 少し間を置いて、リカは完成させたたこ焼き6つとコーラの缶をレッカの前に置いた。


「気になる?」


「いや、嫌なら無理して言わなくても……少し調べれば大体察せますし」


「うん。あんがとな火渡さん」


「あ、レッカでいいですよ」


「じゃあ自分もリカでええよ。あと敬語も別にせんでええよ?」


「あ~宇宙刑事で上下関係とか色々叩き込まれたんで、中々ねえ」


「苦労してるんやな」 

 

「ええまあ。でもまあ、他に何かやりたい事があるのかと言われても何もない人間ですし、なって良かったのかなと」


「うちのチームのメンバーもなぁ……チームに拘らずにやりたい事見つけてくれたらいいんやけどな」


「たぶん一人だけカッコつけて、大人になって偉そうに説教垂れるのが許せない感じだと思いますよ」


「そうやんなぁ」


 不良と言うのは何かしら性格に難を抱えている。

 突然真面目に生きろと言われて戸惑い、怒りの矛先をリカに向けられる状態になってしまっているのをレッカは何となく想像がついた。

 

「まあな—―クレ姉も亡くなって、エンジェも亡くなって、ウチら何のために戦って来たのか分からんようになって……世の中の現実を思い知らされて、たこ焼き屋に転がり込んだ、いや、逃げこんやけどな……」


 世の中、現実と言う世界において正義と言う言葉はどうしようもなく無力だ。

 教師や警察、自衛隊に政治、官僚が何かしらの犯罪をしでかしたり、不正をしたりしても今では誰も何とも思わない。芸能人の不倫とかと同じ扱いだ。

 子供の世界でも助けの手を差し出そうとしたら、調子乗ってるなど、現実を見ないバカだの異常者扱いされる事も少なくない。

 そんな、どうしようもない当たり前が横行する世の中で奇跡は起きた。


「世の中何がどうなるか分からんもんやな。須藤 勇也も親の権力とか全財産とか無一文になったし、サカキ高校は逮捕者出しまくって、ブルーデビルも壊滅して、ハンドレッドも今魔女狩りみたいになっとるし……」


 それを破壊したキッカケを作ったのが藤崎 シノブと谷村 亮太郎の二人だった。


「ほんま、あの二人が善人で良かったわ。足向けて寝られへんよ」


 ガキのケンカの領域を超えた殺し合いの世界に身を置き、日本が転覆するレベルの事件を解決したり、世界が震撼する事件を収めたりしてきた。

 遂先日なんかも谷村 亮太郎が今の日本に疑問を抱いている権力者達をパワードスーツを身に纏って、テロから救ったのではないかと言われている。

 もう今の日本の最後の希望扱いになっていて、そう思われるのも無理からぬぐらいに二人の功績は大きい。


「ウチの上の方も二人に接触するかどうかで悩んでるみたいですね。今銀河連邦でも地球の扱いってかなりデリケートらしいですから」


「そうなん?」


「ええ、まあ。極秘事項とかも含まれますんで言えないんです」


 その中には宇宙犯罪組織ジャマルと日本政府の繋がりの件もある。

 

 また、ジャマルの大幹部には地球の日本人だったと言う事実。

 しかも元宇宙刑事。

 銀河連邦にとっては身内の問題だったとも言える。

 更に遡れば自衛隊の上の役職の人間であり、元自衛官が自衛隊の大量殺戮に手を貸していたなど、悪夢のような話である。


 更にその上、暗黒神アンゴルモアに光の巨人アルティアス。

 異次元帝国ディメルや異世界の帝国ゼツパライアなどの勢力。

 他にもアークゾネスなどの勢力もいて迂闊に手を出して敵に回した場合、銀河連邦と言えども甚大な被害が出るらしく地球の干渉には慎重にならざるおえない状態になっていた。


 ちなみに地球の世界の人達も似たような理屈で日本への手出しが消極的になっている。

 世界経済の崩壊は怖いし、あんまし追い詰めて鎖国に追い込んだところで外宇宙や異世界の技術を独り占めさせる状態になって一人だけ勝ち組にしてしまう可能性もないわけではないからだ。


 人間の想像力って豊かだね!! By谷村 亮太郎。

 

「辛気臭い話はやめや。それよりも聞きたい事あるんやけど」


「何ですか急に新たまって?」


「ずばり、好きな男おるんか?」


「はいっ!?」


「あ、おるんやな?」


「そりゃまあ、そのっ、命懸けの仕事してますし、敵に捕まって、一歩間違えれば死んでましたし、だからその、とにかく恋人作りたいなと思ったんですよ」


「ほうほう」


「あまり多くは言えませんけど、そう言う相手はいますけど、ライバルが多いみたいで……」


 などと温泉でのぼせた様に顔を真っ赤にして視線を反らしながら答えてくれる。

 これ以上尋ねるのは野暮。

 むしろこれだけ答えてくれただけでも十分だと考えねばならない。

 

「恋なぁ……ウチにも相手出来るかなぁ?」


 自分みたいな喧嘩っ早くて男勝りな女の子に相手が出来るのだろうかと思う。

 そう言う点においてレッカが羨ましかった。


「あ? ここにいたんですね?」


 ここでレッカの相方のリリナが登場する。

 白い髪の毛に純白の肌で青い瞳の北欧系の顔立ちをした可愛らしい爆乳の女の子。

 四肢も鍛えられた人間のソレだ。 

 衣服も軽装な真っ白な上着に白色のシャツ、黒いニーソにホワイトのスニーカーと言う出で立ち。

 レッカもスタイル抜群の爆乳美女だが、此方も負けず劣らずの爆乳美女だ。

 

「よう来たな。まあ店の営業時間延ばして二人纏めて面倒見たるさかい。所謂貸し切り言う奴や」


「え? いいんですか?」


 リリナが状況を読み込めないまま、それでも何故だか嬉しそうに返事する。


「ええんよ。たまにはそう言うのもありでええやろ。だけど流石に限度があるから深夜になる前に返すけどな。何ならメイド喫茶のワンさん呼んで送ってもらうから」


 と、笑いながらリカは料理の準備をする。

 

 最近リカは分かった事だが、普通に生きると言うのも楽ではない。

 普通に生きるのにもそれ相応の努力が必要なのだ。

 いい大学に入っていい会社に就職しても幸せな人生を送れるとは限らないが、だからと言って努力せずにダラダラと生きていいと言う理由にはならない。

 

 でもひたすら努力する人生は正直しんどい。リカも遊びたい盛りの十代なのだ。

 たまにはこうしてアレコレ忘れながらたこ焼きを焼くのも悪くないと思った。

 

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