エルフに仇なす者
「ここにエルフがいるのか!」店の扉から、数人を従えた初老の男が入って来た。
「あぁ、馬鹿が来た。」涼音がカウンターで頭を抱える。
「はぁ。」シャイナがため息をつく。
「はははは、エルフの娘よ我の元に来い。」その初老の男が言う。
「私に用か。」シャイナが立ち上がる
「おぉ、本当に美しいのだな、我の妻にふさわしい。」初老の男が言う。
「お前は馬鹿か。」シャイナが言う。
「な、私を馬鹿呼ばわりするのか?」初老の男が言う。
「お前は三つ間違いを犯している。」シャイナが凛として言う。
「間違いだと?」
「一つ目は、お前は歳は何歳だ?」
「59歳だ。」
「私は、78歳だ、だがあと数百年は生きられる、お前は後何年生きられるのだ?」
「う、それは。」
「二つ目に、此処は店だ、私に相まみえたければ森に来い!」
「うぅ。」
「三つ目に、私はお前の顔が嫌いだ!」
「くそぉ、此処まで馬鹿にされて今更引けるか、お前達、やってしまえ!」初老の男が後から入って来た者たちにに叫ぶ。
「はい。」
「了解!」
「ん!」初老の男に付いてきた冒険者らしき若者がその力を開放する。
「本当の馬鹿だった~。」涼音が頭を抱える。
「悪いが、力を出させてもらう。」
「金のためだ!」
「俺の力を試すため。」
3人の冒険者らしい男達がシャイナに迫る。
「はぁ。」涼音がため息をつく。
「え? 涼音?」
「桃花、110番と119番。」
「え?」
「この3人は、再起不能だから。」
「あぁ。」
「一人目の男の、手と足の関節が反対側に曲がって折れる。」
「ひぎゃぁぁ!」その男はその場で崩れ落ちる。
金のためだと言った男の全身の骨が一瞬で砕けた。
「がぁ!」その男もその場でうずくまる。
多分、再起不能だ、一生車いす生活だろう。
「ぐはぁぁ!」俺の力を試すためと言った男の首が身体の後ろを向いている。
「あれは即死だね。」涼音が言う。
そして、3人とも店の外に放り出された。
「ななな。」初老の男が其処で狼狽える。
「出直してこい!」シャイナが踵を返す。
「くそう、このままおめおめと帰れるか!」初老の男がシャイナに襲い掛かる。
「あ~あぁ、あの人も死んだ。」涼音が首を振る。
「無礼者!」シャイナが初老の男に魔法を発動する前に、道楽亭(店)の防衛機能が働いた。
「ひぎゃぁぁぁ。」全身の骨を粉砕しながら、その男が店の外に飛ばされる。
「はぁ、シャイナの情報公開は早かったかな。」理沙がカウンターの奥で言う。
「理沙様のご判断に間違いは無いでしょう。」シャイナが笑いながら言う。
シャイナへの求婚、求人は、その後数週間続いた。
ほぼ全員が、前の者と同じ運命になった。
「はぁ、そろそろ落ち着いてくれないかなぁ。」理沙がカウンターの奥で言う。
「あの、こちらにエルフの方がいると聞いてきました。」
入って来たのは、中学生ぐらいの少年。
シャイナは立ち上がって言う。
「私に用があるのか?」
「はい、初めまして、僕は日本一馬と言います。」
「ほぉ、私は「シャイナ様ですよね。」少年が言う。
「あぁ、そうだ。」
「わぁぁ、本当にエルフの方がいるんですね?」少年は目を輝かせて言う。
「おや?」涼音は興味深そうに観察する。
「涼音、趣味悪いよ。」桃花が涼音に呟く。
「えぇ、興味深いじゃない、この店に辿り着けた少年が、店の防衛機能に引っ掛からないんだよ。」
「そうだけど。」
「シャイナ様。」少年がその場で跪く。
「うん?」シャイナはそれを見て固まる。
「今は無理ですが、身体と心を鍛えて、森に会いに行きます。」少年が言う。
「おぅ。」シャイナは答える。
「そこで、貴女に勝てたら、貴女の数十年を僕に下さい。」少年がその場で礼をする。
「おわぁ、プロポーズだ!」涼音がワキワキする。
「はわわ、私凄い物を見てますね。」桃花も同じ状態だ。
「ははははは。」シャイナは豪快に笑った。
「気に入った、少年! 日本一馬と言ったか? 用意が出来たらこの店に来い! その後、森で待っていてやろう。」
「ありがとうございます!」少年はその場で礼をすると、店を出て言った。
「ふふふ、シャイナ、モテモテだね。」
「今の少年以外は、眼中に有りませんけどね。」
「今の少年は気になるんだ?」涼音がニマニマしながら言う。
「えぇ、涼音以外で、初めて気になった人間ですね。」シャイナが言う。
「え?」桃花がシャイナをガン見する。
「え?」シャイナも桃花を見る。
「シャイナさんは、私をそういう風に見ていたんですか?」桃花が悲しそうに言う。
「え? 桃花、そう言う意味じゃないんですよ、桃花は涼音と同じ、私の仲間じゃないですか。」シャイナが言い訳する。
「でも、涼音ほど気に掛けて貰えていないんですよね?」桃花が悲しそうに言う。
「そんな訳あるはずが無いですよ、エルフの羽衣を纏うお方ですよ!」シャイナが叫ぶ。
「あ!」桃花が納得する。
「私たちの至宝を纏うお方を、蔑ろにすることはエルフの恥です。」
「良かったぁ。」桃花はそう言いながらシャイナに抱き着いた。
「桃花様?」シャイナは桃花の行動に途惑って両手が挙動不審になる。
「ふふふ、二人とも仲良いね。」涼音は少しだけ焼きもちを焼きながら言う。
道楽亭はいつも通りだ。
ぷっはぁ、やばい、更新を忘れていました。
つたない話にお付き合いくださり、ありがとうございます。




