涼音、決心する
「ズルいです。」シャイナがぶるぶる震えている。
「何故バレたし。」涼音が横を向いて言う。
「いやですねぇ、これだけ匂っていればバレバレですよ。」コロコロと笑いながらシュワが言う。
「桃花殿、あんまりではないか。」シャイナはさらに顔を赤くする。
「ほえ? シャイナさんのも、皆さんの分もあるよ。」桃花が言う。
「え?」
「と、言う事だから~、皆さんも食べて、食べて~。」そう言いながら、桃花はカバンから、さっきのより大きい箱を取り出し、ふたを開ける。
そこには、先程と同じものが詰められていた。
「ふわぁ。」シャイナが目を見張る。
「あら、綺麗ですわ。」
「ぬ、我も食べて良いのか?」
「どうぞ、どうぞ。」桃花がニコニコしながら言う。
「い、いただきます。」そう言いながら、シャイナが唐揚げにフォークを差し、口に入れる。
「ふわぁ。」シャイナは幸せそうな顔をして咀嚼する。
「前の飯テロの時はどうなるかと思ったけど、意外と帰ってこれるもんだね。」そう言いながら詩織も、手を伸ばして唐揚げを摘まむ。
「あぁ、金鶏ね。」理沙も奥の部屋から出てきて言う。
「美味いのじゃ!」
「桃花さんは料理がお上手なのですね。」シュワが優雅に唐揚げを口に入れる。
「だぁ~、シュワ、気持ち悪いから元に戻ってよ。」涼音が叫ぶが、
「退化するのは無理ですね、次に進めばまた変わるかもしれませんが。」ほほほと笑いながらシュワが言う。
「キャラ。」
「はい、何でしょう?」
「ケーキ奢るから手伝って。」
「良いですけど、何をすれば?」
「森に潜る。」そう言いながら、制服を脱いで体操着に着替える涼音。
「はい、お供します。」そう言うと、制服がいつもの装束に変わる。
「いつも思うけど、本当に便利だね其れ。」
「ふふふ、私達の特権ですね。」キャラがほほ笑む。
キャラ達は、自分の意志で森に入る服装を選べるらしい。
「こっちにはないのかな?」
「ん~、何かをクリアすれば出きるっぽい。」
し~姉が、相変わらずカウンターに突っ伏しながら言う。
「何をクリアすればいいの?」
「解んない。」
「うぅ、酷い。」
「今回の森の散策で、解決出来るっぽい。」し~姉が言う。
「マジで?」
「多分。」
「解った。」涼音は理解する。
「魔法少女に私はなる。」
「何言ってるんだか。」桃花が涼音をジト目で見る。
「桃花も来るの。」
「え?私も?」
「はい、巫女衣装に、着替える、着替える。」
「ちょ、涼音、自分でやるから、私を剥かないで~。」
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「で、目的は何なの?」桃花が不機嫌そうに言う。
「シュワが、進化しそうな大物の封印。」
「あらぁ、このメンバーで何とかなりますか?」キャラが言う。
「なるでしょ、後ろにシャイナもいるし。」
「え?」桃花が振り返ると。
「あら、ばれてました?」悪びれもせず、シャイナが現れる。
「ケーキにつられると思ったよ。」涼音が悪い顔で言う。
「ふふふ、ケーキと聞いては、黙っていられません。」
「なんか、森の王もエルフも俗物に思えてきたよ。」
「いや、何だと思っていたの桃花?」
「もっとこう、崇高な?」
「幻想を断ち切る。」涼音が右手で桃花の頭を軽くチョップする。
「あた!」
「どっちも生きてるの。」
「森で、自分の土地で、生きてるの。」
「ほえ?」
「桃花も、ケーキ好きでしょ。」
「うん。」
「彼女たちも、普通の女の子なの。」
「うん。」
「ケーキの味を知っちゃったら、食べたいでしょ。」
「涼音。」
「なに?」
「責任転換してるよね。」
「え~、何を?」
「キャラやシャイナに、ケーキの味を教えたの、涼音だよね。」
「あれ? そうだったっけ?」
「えぇ、あれは強烈でした。」
「そうですね、私も魂を弾かれました。」
「あれ、そうか、感謝するがよい、私が未知の味を教えたのだから。」涼音が胸を張る。
しかし、涼音のはったりを無視して、
「涼音が、元凶だよね!」桃花が涼音に詰め寄る。
「あはは。」涼音はごまかし笑いをすると、
「ダッシュ!」涼音は森に逃げた。
「あ、逃げた!」
「追えばいいのかな?」
「そうでしょうね。」
楽しそうにキャラとシャイナが涼音を追う。
桃花は、本気で涼音を追う。
「私を巻き込まないで~。」
桃花の叫びは、涼音に・・届くかなぁ?




