動き出す最上級
「やばい、やばい、やばい!」
「理沙姉、落ち着いて。」
「落ち着いていられないよ! あたし達が感知できない相手だよ。」
「あれは、影だって言ってたじゃん。」詩織が言う。
「その影に、黒龍を殺されてるんだよ。」
「あぁ、それは違うよ。」真紀が何かを気付いて言う。
「真紀、どうしてそう思うの?」理沙が食いつく。
「だって、黒龍さんの心臓にこれが刺さってた。」真紀が細い針のような物を取り出す。
「あんた、何時の間に。」理沙が驚愕する。
「え~、基本でしょ。」真紀がニカッと笑いながら言う。
「流石、真紀だ、偉い偉い。」詩織が、真紀の頭を撫でる。
「し~姉、馬鹿にされてるようにしか感じないんだけど。」
「くっ、ばれてる。」
「し~姉、酷い。」
「あんたら、じゃれてないで、一度店に帰るよ。」理沙がその場をまとめる。
「ほ~い。」
「はいな。」
「帰ったら、そのまま魔族の国と繋がった場所に行くよ!」
「解ったー。」
「ほい、ほい~。」
「まったく、緊張感のかけらもないね!」
「ほっ、ほっ、ほっ、それがうちらの通常運転。」真紀がおどけて言う。
「ひそかに作った魔道具のお披露目、くすくす。」
「し~姉は、マジで怖いから、止めて。」
「真紀、酷~い。」
「あんたら、急ぐよ。」
「理沙姉は通常運転だ。」
「その前に、黒龍さんを封印。」そう言って真紀が封魔石を投げる。
「え? 死んだ相手に?」涼音が言う。
黒龍の周りに、封魔石の結界が出来る。
そして、聞きたくない音。
「ゴキン、バキン、グシャ。」
「黒龍、ゲット~。」
「いや、真紀姉、ポケモンゲットみたいに軽く・・」涼音の訴えは、軽く流された。
「はい、シュワちゃんにあげる。」
「マジですか! やた。」
「いただきます!」そう言いながら、いつものようにシュワは良い音を出しながら、封魔石を食べる。
「コリコリ、バキョ、ボリボリボリ。」
「こ、これは。」
身体中が淡い光に包まれながら、シュワが言う。
「はうぅ、身体中の筋肉が崩壊しているような。」
「あぎゃぁぁぁ。」シュワが叫ぶ。
「え? え? ヒールとかかけた方が良いのかな?」涼音が言う。
「いや、多分だけど、効かない。」真紀が言う。
「これは、きつい。」シュワが何かを耐えながら言う。
「あぁ、身体がバラバラになる。」
「はぐあぁぁあぁ。」
「はぁはぁ。」
「あがぁぁあぁあ。」
「はぁはぁ。」
「あぁぁぁぁぁ。」
「終わったみたいだね。」理沙が言う。
シュワの容姿が激変していた。
「お姉さま方、お待たせいたしましたにゃ。」そこには、まるで宝塚の女役のような姿態をした者が跪いていた。」
「え~っと、誰?」涼音が突っ込む。
「ほほほ、嫌だなぁ、涼姉、シュワですよ。」
「いや、誰だよお前!」
「だから、シュワですってば。」
「気持ち悪い!」涼音が言う!
「ちょ、涼姉、酷くない?」シュワが困った顔で言う。
「まぁ、これを見てみようか。」理沙は腰のポーチから鏡を取り出して、シュワに渡す。
「はい?」
「これ、誰ですか?」
「いや、お前だ!」涼音が冷静に言う。
「はぁぁ?」シュワはその事象にうろたえる。
「シュワの変異は、置いておいて、今は魔族をどうするか。」
「どうするもこうするも、消滅一択でしょう?」
「詩織の言うとおりだね。」
「涼音、何で魔族の領域とつないだままにしたの?」詩織が涼音に聞く。
「解り合えるかなって。」
「あぁ、多種族との邂逅か。」理沙が答える。
「それじゃ、しょうがないね。」
「んじゃ、そこを塞ごうか。」
「それが最善。」
「涼音、そこに案内して。」
「解った!」
「あの、皆さん、私のこと忘れてますよね。」
「童が助けたのじゃ。」
「いえ、良いんですけど。」
「あれ、森さん、まだいたんだ?」店に帰った涼音の一言で森佳子の顔から表情が消え、目から光が消える。
「ふふふ、所詮私は消耗品。」
「あの?」
「こうやって、存在を忘れられて、消えていくのですね。」
「も、森さん?」
「桃花。」
「え?涼音?」
「消えるか、残るかは、読者の判断。」
「なにそれ?」
「神である、読者の判断。」
「え~っと、作者の都合ってこと?」
「桃花、それは言わないお約束。」




