ダンジョン続き
(うわぁ。)って顔をしているシャイナの横で涼音の存在が現れる。
シャイナは内心驚くが、平静を装って言う。
「お、お帰りなさい。」
「ただいま。」
「やっぱ、シャイナの魔法矢凄いねぇ。」
「いえいえ、そんな。」
「組み合わせによっては、えげつない威力だよね~。」
「涼音様の攻撃に比べたら、私の攻撃なんて。」
普通の会話をしながら二人は奥に進んだ。
そこには入り口と同じような豪華な扉があった。
一部違っていたのは、その扉の横に右肩から左の脇までが壁に埋まっている少女がいた事であった。
赤みがかった茶髪の少女は15歳ぐらいに見える。
わずかに出ている左手には薄いシルクのような袖がみえた。
しかし、めんどくさそうと思った涼音は無視することにした。
「さぁ、先に進もうか。」涼音が言う。
「はい、そうですね。」シャイナが答える。
「おいお前ら、まったく無視とは酷くないじゃろうか。」
「いやぁー、人の趣味には口出ししないことにしてるから。」涼音が答える。
「何も趣味でこんな所に濱ってる訳じゃないのじゃ。」壁に埋まった少女が言う。
「何かの健康法かなって思って。」涼音が答える。
「ダンジョンの壁に埋まる健康法などあるわけないじゃろ!」
「もしくは、宗教上の修行かもしれないし。」
「どんな宗教じゃ!」
「とりあえず、うちらに関係なさそうだから、そういう事で。」
「まて、待つのじゃ。」
「えー、先を急ぎたいんだけど。」
「悪い話ではないのじゃ。この身を開放すれば我が下僕に加えてやるのじゃ。」
涼音はやれやれと首を振りながら少女に壁どんをする。
「お戯れを、お嬢様!」そう言いながら涼音は腰の忍者刀を抜く。
その刀身を見た少女が驚愕する。
「な、その刀は、草薙の剣と同じ力を感じるのじゃ!」
「邪龍の封印にはもってこいの刀ですよ、お嬢様。」涼音が冷たく言い放つ。
「な、ま、待つのじゃ、いや、何故我の正体を見破っているのじゃ、ちょ、謝る、謝るからその刃を仕舞ってほしいのじゃ。」
「涼音様、凄く悪い顔なさってますよ。」シャイナが助け舟を出す。
「ふう。」とため息をつきながら涼音が刀を仕舞う。
「で?」涼音が問う。「何でそこに埋まってるの?」
「数十年前に森の中で眠っていたら、いつの間にかダンジョンに取り込まれてこのありさまなのじゃ。」
「いや、あんた龍なんでしょ、そんな所から出るの苦労しないんじゃない?」
「龍核を完全に包まれてしまっているので、出るに出られないのじゃ。」
「無理に出ようとすると、龍核が破壊されて滅せられてしまうのじゃ。」
「で、助けてほしいと。」
「そうなのじゃ。」
「助けた場合の見返りは?」
「我が下僕に・・」
「シャイナ、先を急ごう。」
「そうですね。」
「な、待つのじゃ、我が下僕の何が不満なのじゃ?」
涼音は振り返るとやれやれと言う顔で言う。
「あんた、あたしのレベル見える?」
「忍者レベル12じゃろ。」
「それだけ?」
「我が加護を受けられるのじゃぞ、光栄には思わんか?」
「あんた、龍種にしては修行してるみたいだね。」
「お、おお、神龍を目指して修行はしておるのじゃ。」
「確かに龍族レベル56は凄いと思うよ。」
「な、我がレベルを看破するのか。」
「そのまま100レベルを超えれば神龍も夢じゃないかもね。」
「でもね。」涼音が保護を解く。
「上には上がいるって事かな。」
「な、し、司祭レベル48?」
「レベル差わかるかなぁ?」
「我がレベルの8倍以上じゃ。」
「で、下僕?」
「す、すみませんでしたぁ。数々の非礼、反省いたしますのじゃ。」
「解ってもらえて嬉しいよ、じゃ、そういう事で。」
涼音とシャイナが先を進もうとする。
「ま、待ってくださいなのじゃ。」
「なに?」涼音が不機嫌そうに言う。
「我を御身の下僕に加えて下さらぬか?」
「えーー?その程度の封印も解除できない奴を?」
「え?、な?封印?」
「まさか、それも解らないとか?」
「龍核を捕らわれているので何とも。」
「ふぅ。」涼音はため息をついて壁を拳で軽く叩く。
少女の周りの壁がぼろぼろと崩れる。
吐き出されるように少女が壁から転げ落ちる。
「じゃ、先を急ぐから。」涼音がそう言うと、少女が涼音の足に縋り付く。
「この御恩は一生をかけて返すのじゃ、」
「いや、そういうの良いから。」涼音が少女を剥がそうとするが少女はぴったりと張り付いている。
涼音は無言で腰の刀に手をやる。
「うざい。」
「ちょ、ちょ、待つのじゃ、待つのじゃ、本当に消滅するから、その刀は駄目なのじゃ。」
「涼音様。」シャイナが何かに気付いて言う。
「このダンジョン、活動を停止しています。」
「ほえ?」涼音から素っ頓狂な声が出た。
「え、って事は?」
「その方がダンジョンコアと言う事では?」
「あぁ、そういう事。」ニコッと笑いながら涼音が言う。
「じゃぁ、これをサクッとやれば、ジョブコンプリート?」
「理沙様は、コアを持ってきてとおっしゃってましたから、生のままの方がよろしいのでは?」ニコニコと返すシャイナ。
「お、お前たち、鬼じゃ~。」涙目の少女がいた。
「とりあえず、あんたは私達と一緒に来る。」
「はいなのじゃ。」
「理沙様の依頼は達成ですわね。」
「あれ、じゃこの扉は何だろう。」涼音が横の扉を見て言う。
少女の態度が急変する。
「そ、そこは開けないほうが良いのじゃ。」
「なんで?」
「やばい奴の住処なのじゃ。」
「シャイナ。」
「はい?」
「今までに、会った事も無い存在ってこれ?」涼音が少女を指指して言う。
「これ呼ばわりなのじゃ。」少女が更に涙目になる。
「これもそうですが、その中にもいますね。」
「振り?」
「振りです。」
「あんた、名前は?」少女に向かって涼音が問う。
「ナ、ナーガ・エキドナ・ウシュムガルと言うのじゃ。」
「あー。いかにもな名前おつ。」
「で、何て呼べば良い?」
「好きに呼ぶのじゃ。」
「じゃぁナーガ。開けて」
「え、我が?」
「うん、開けて。」
「やっぱり鬼なのじゃ。」
何だろう、涼音さんがだんだん黒く。。。




