決戦6
しかし、久美子は虚ろな目で「遮断」を唱える。
一瞬で周りの景色が変わる、。
久美子の陣を中心に後楽園球場と同じ広さで、存在が何もなくなる。
「ちょ!」真紀が慌てて自分に結界を張る。
「おおぃ。なんちゅう物を発動しやがる!」
真紀は崩落する空間で、かろうじて留まっていた。
その余波は涼音やハイベルト、理沙と詩織にも影響を及ぼした。
「おっと。」
「ぐおぁお!」
「あらあら。」
「むふ。」
ハイベルトだけが必死に抵抗したようだが、其々が対抗したようだ。
不死の魔王はその空間に普通に留まっていた。
『ふふふ、流石、我が理解者は一味違いますね。』
その余波で周りにあった陣はすべて消滅している。
「まったく、本当に厄介!」理沙が不満そうに言う。
「でも、きっとここまでだよー。」詩織が欠伸をしながら言う。
「そう?」理沙が詩織の言葉を聞いて平静を保つ。
「じゃあ、この空間をよろしく!」理沙が言う。
「ほーい。」詩織が答える。
「やばいわ、これ。」涼音が感じハイベルトとシャイナに護壁を張る。
「!」
詩織が空間魔法を発動する。
「ちょ!」涼音がそれに巻き込まれながら思う。
「これ、錬金術師のスキルじゃないよね~!」
ハイベルトとシャイナはその空間にいながら、その四股が千切れるような感覚を味わう。
「ぐおぁおぁおぁおぉあお!」
「きゃぁぁぁぁぁあぁぁ!」
「しー姉、マジでパないっす!」涼音がそう思いながら自分と二人を守る。
瞬間、無くなった空間が元に戻り、かってそこにあった空間が元に戻る。
そこには、「真紀」が「久美子」と対峙した場面に戻っていた。
シャイナとハイベルトは何かに酔ったような顔をして立っていた。
「しっかりして!」涼音がそう言いながら二人に回復を唱える。
二人の状態異常は瞬時に消える
そこには久美子を中心に、すぐ傍に真紀、少し離れた場所の不死の魔王、それに対峙するハイベルト。
更に離れた場所に涼音と理沙と言う布陣になっていた。
最初に動いたのは涼音だった。
不死の魔王に無属性の攻撃を仕掛ける。
不死の魔王はその攻撃に反応するが、涼音の攻撃を躱せなかった。
『な、何故だ!』
不死の魔王に一撃を入れた涼音が、右手を額に当て、半身を捻った香ばしいポーズを決めながら言う。
「貴方、さっきのしー姉の攻撃で「回避の腕輪」無くなってるけど。」
詩織の雲丹型の爆弾は確かに不死の魔王の左手を爆砕していた。
その際に腕輪も逸脱している。
そして、その腕輪はちゃっかり涼音が付けていた。
次に動いたのはハイベルトだった。
身体を斜めにして、回転することで技の威力を高めた攻撃を不死の魔王に叩き込む。
『くはぁ』その攻撃を受け切れず、不死の魔王が悶絶する。
「ねぇ、がら空きだけど。」涼音がそう言いながら不死の魔王の右足首の腱を切る。
『ぐわ!』
「遅い!」ハイベルトが剣を持った不死の魔王の腕に切りつける。
『!』不死の魔王の親指が切り離される。
「ガシャ!」
それによって不死の魔王は刀を落した。
『くっ!』
不死の魔王は踵を返すと、久美子の下に転移する。
『王女よ、我に祝福を!』
不死の魔王が久美子に縋り言う。
久美子が右手を上げ不死の魔王に呪文を唱えようとする。
「やらせないよ!」理沙が無詠唱で振動魔法を発動する。
久美子は何かを唱えるが、理沙の魔法に邪魔をされて何も起こらない。
そこに詩織の雲丹型爆弾(笑)が不死の魔王の鳩尾に叩き込まれる。
『ぐはぁ!』
不死の魔王は久美子から強制的に引き剥がされる。
そして雲丹型爆弾が発動する。
「グボン!」くぐもった音が不死の魔王の胴体から聞こえる。
『くおぉぉ・・』
不死の魔王が欠損した腹部を押さえながら跪き、
『ぐばぁ!』不死の魔王が吐血する。
ハイベルトは不死の魔王の落とした刀を拾うとその刃を透かし見る。
「ほぅ、この刀には意思があるようだ。」
その刀はハイベルトを歓迎しているよな雰囲気だった。
ハイベルトはその刀を頭上に掲げ宣言する。
「我に従え!」
するとその刀が一瞬輝く。
「仰せのままに、我が主よ!」ハイベルトの脳裏に言葉が響く。
「我は備前長船長光。今より主を守る鉾とならん。」
ハイベルトの手の中で刀が変質する。
2m近かった刀身が1m程の刃渡りとなり、打突にも耐えられそうな切っ先になった。
ハイベルトは最初から持っていた刀と、今手に入れた刀を目の前で交差する。
「不死の魔王に鉄槌を!」
不死の魔王はその腹部を再生しようと呪唱を唱えるが、再生は始まらなかった。
「ねえ、それって陣がいるんじゃないの?」涼音が不死の魔王のすぐ後ろで言う。
『ぐあ!』不死の魔王は、涼音に向かいその手で攻撃を仕掛けるが、涼音は既にそこにいない。
そして、ハイベルトの必殺の攻撃が不死の魔王にさく裂する。




