決戦5
理沙の魔法攻撃は続いていた。
『ん~、そろそろ飽きてきましたね。』理沙の魔法を捌きながら魔王が呟いたとき、
「ガキイィィン!」死角からのハイベルトの攻撃をまたも防ぐ魔王。
「まだだ!」ハイベルトは魔王に連続攻撃を仕掛ける。
『ほお、攻撃速度が上がりましたか。』魔王が感心する。
「それだけではないぞ!」
ハイベルトの攻撃は1秒間に15撃になっていた。
『ほう、これはなかなかの物です。』
しかし、それを全て受け切る魔王。
「では、これならどうだ!」
ハイベルトは刀を持ったまま獣化した。
攻撃数は4倍になった。
『くっ、これは。』
何回かに一度は魔王の身体に刃が届き始めた。
しかし、魔王の傷は瞬時に回復する。
だが、ハイベルトの攻撃は魔王の意識を集中させることに成功した。
理沙はその隙を狙い、魔法の威力を上げ発動する。
魔王はハイベルトの攻撃を刀でいなしながら、片手で理沙の魔法をつかみ取った。
爆炎魔法がが発動する前に、握りつぶされる。
しかし、不死者となり痛みを感じないはずの魔王の手に激痛が走った。
『ぐう!』
理沙の魔法に合わせ、詩織が錬成した聖属性を持った雲丹型のアイテムを投げていた。
魔王の手は棘が刺さった所から崩壊し始める。
『やりますね!』魔王がそう言った瞬間、雲丹型のアイテムが爆発しその棘を四散させる。
「うわぁ、えげつないねぇ。」理沙がそう感想を述べると、「褒めても何も出ない。」と詩織が返す。
魔王は片手を失い、更に半身に棘を浴びながら、まだハイベルトの攻撃を凌いでいた。
『仕方ないですね。』
「ドシャ!」魔王は地面を刀で撃ち、土煙を上げた。
ハイベルトの斬撃が空を切る。
「ぐぅ!」
視界を奪われ、体勢を立て直したハイベルトの前には魔王の姿はなかった。
魔王は一瞬で自分の陣に戻っていた。
そして『%&@#¥“・?』聞き取れない言葉で呪文を唱えると、崩壊していた身体が瞬時に元に戻った。
「厄介な!」理沙が歯噛みをして言う。
「仕切り直し!」詩織が言う。
涼音はハイベルトに回復を唱えた。
「すまない!」ハイベルトが言うと「いえいえ~。」と涼音が答える。
「次はあたしも参加しますね!」涼音がにっこりと微笑みながら言う。
「いや、さっきも参加しなさいよ。」理沙が突っ込んだ。
「いやぁ、行けるかなぁって思ったから。」涼音が呑気に答える。
「今度は本気でやるから。許して、理沙姉。」
「まったく。」と言いながら特に気にしていない理沙が言う。
「本気で行くよ!」
「ほい!」
「あい!」
「分かった!」3人が答えた。
真紀は久美子に近づいた。
久美子は微動だにしない。
その刹那、真紀と久美子の間にいまだに残る陣からデスロードが顕現する。
真紀の頭上には、未だ「光あれ」の光球が輝いている。
その光をレジストして出てくるのであれば、相当なレベルの者であろう。
「邪魔!」真紀がデスロードに手に持った「錫杖」で一撃を入れる。
デスロードはそれを片手で受けながした。
「つ!」真紀がバランスを崩す。
デスロードは剣を抜き、真紀に向かい振りかぶる。
真紀は護壁を唱えようとしたが、(間に合わない!)と感じ「錫杖」で受ける体制を取る。
「ガシュ!」
デスロードの右目に矢が突き刺さり、頭の内部で爆炎が発動する。
シャイナが魔法矢を撃っていた。
デスロードが灰になり霧散する。
「真紀殿、無事ですか?」
「シャイナさん、ありがとう。危ないところでした。」
「まだ来ます!」
シャイナはそう言うと弓をたすきにかけ、レイピアを抜いた。
陣からは数体のデスロードが出てこようとしていた。
シャイナは陣に近づくと、デスロードの眉間にレイピアを突き刺し、レイピアを通して爆炎の魔法を発動させる。
(うわぁ、容赦ないわ。)真紀が思う。
「ここは私が対処しますので、真紀殿は久美子殿の元へ。」
「わかった、ありがとう。」
真紀はそう言うと、久美子に向き直った。
一歩、また一歩と久美子に近づく。
そして、あと数メートルと言う処で何かの壁に阻まれる。
(結界?)
真紀はその壁に手をあてる。
「鑑定!」
真紀がその言葉を発動する。
「聖属性を拒絶する壁」
「聖属性を持つ者はこの壁を通り抜ける事能わず。」
「つぅ。」
「久美子!」
「あたしを舐めるなぁ!」
真紀が錫杖を結界に叩き付ける!
その刹那、四散する結界。
久美子が虚ろな目で真紀を見る。
「久~美~子~!」
真紀が久美子に近づきながら声をあげ、久美子に平手を放とうとする。
「・・・・」
しかし久美子は感情の無い虚ろな瞳で真紀を見て呪文を唱える。
「護壁・・」
「うっ!」
真紀の身体が数メートル弾かれる。
「んにゃろぉ!」真紀が吼えた。
「やってくれるよ!」
「姉さんだからって、手加減なんかしないよ!」
真紀は「錫杖」を地面に打ち付け、「聖属性を阻む結界が無い今なら。」
そう言いながら、両手で複雑な印を結ぶ。
「天変地異!」無属性の強大な魔法が発動した。




