表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/90

ダンジョンにて

森のダンジョン。

それは「深森」から各森の階層ごとに発生している。

その森のレベルより数レベル高い妖魔が生息しており、その種類も森とは比較にならない場所であった。


「あたしは良いけど。」涼音が言う。「愛華はどうする?」

「愛華の今のレベルだとぎりぎりの場所だと思うけど。」


愛華たちが先ほどいた場所は「深森」より一つ浅い「逢森」であった。

愛華は「逢森」を散策するのに全く不便を感じなかった。

しかし、森の階層は一つ違うと職業レベルで10前後のレベル差が必要になる。

「スキル」や「特性」、「技能」に特化していればレベル差は少なくなるが、逆にそれらのわざが無ければ人生の終わりを意味する。

もちろん自分の身は自分で守る必要がある。


「・・・。」愛華は口ごもる。


そんな愛華を見て、理沙が言う。

「詩織、彼女に「胴当て」を作ってあげたらどうかな?」と言いながら理沙が詩織のおでこを突っつく。

「ふにゃ?」詩織が寝ぼけて声を発する。

理沙はそんな詩織を無視して、詩織の前に古いトースターや皮のカバンを置く。

「んー?」詩織がカウンターから起き上がる。


「理沙、珍しく入れ込んでない?」詩織が言う。

「いやぁ、涼音がここに人を連れて来たのが嬉しくって。」理沙が言う。


「な、あたしかよ?」涼音が思う。

「この人たちの中ではあたしやっぱりダメっ子なんだな。」


「涼音に釣り合いそうな娘って珍しいから。」理沙が言う。


「ん?」涼音が思う。「あれ?ちょっと違う?」


「んー、分かった。」詩織が言う。「侍レベル20ね。」

詩織が再びカウンターに水の陣を書き始める。


そして、詩織がぶつぶつと高速で呪文を唱える。

途中で近くにあった灰皿も陣の中に入れると「創造!」と詩織が呟く。

一瞬カウンターの上がまばゆい光に包まれる。

「胴当て」がそこに存在していた。


詩織はその「胴当て」を手に取るとあちこちを見て「うん。」と頷いた。

「会心の出来。」と言いながら詩織が愛華に「胴当て」を差し出す。


愛華は顔を上気させながらそれを受け取る。

(やばい、やばい、やばい。)憧れの存在の人から二つも装備を貰ってしまった。


「あの、私何でもします。」愛華が少し興奮気味に言う。


しかし詩織はすでにカウンターに突っ伏して寝息を立てている。

良く寝る人だ。愛華が思う。


「愛華、着けてみ?」涼音が言う。


言われて愛華が「胴当て」を装備する。

(おー凄いフイット感!)守りが数レベル上がったように感じる。


涼音はその姿を見て言う。「それなら大丈夫そうだね。」

理沙もうんうんと頷いていた。


「じゃ、明日はダンジョン潜りね。」涼音が愛華に言った。



日が変わった。

愛華と涼音は「深森」のダンジョン前に来ていた。

ポッカリと空いたダンジョンの入り口は力無きものの侵入を拒んでいるように感じる。


「じゃぁ行こうか。」涼音が軽く言葉を発する。

生まれてから初めてのダンジョンを経験する愛華は「あ、あぁ。」としか答えられられなかった。

緊張で心臓が飛び出しそうである


一歩足を踏み入れただけで色々な妖魔の視線を感じる。


(まずい、予測を超えている。)愛華が思う。


しかし涼音が愛華を見て言う。

「愛華。」

「しー姉がくれた装備を何で使わないの?」


「え?」愛華が問う。「装備を使うって何のこと?」


(装備は着ける(装備する)物でしょ?)(装備を使うって何?)愛華が思う。


「ふぅ。」涼音がため息をつく。

何か残念そうな目で愛華の方を見ているのが愛華にも判った。


涼音が愛華の胴当てに手を置き、{もにょもにょ}と呪文を唱え始めた。

(解放!)涼音が唱える。


瞬間、愛華の「胴当て」がまばゆい光を放つ。

愛華は自身の防御系のステータスが数レベル分上昇したのを感じた。


「愛華。」涼音が言う

「暫くは。我慢するね。」


愛華は痛感する。


「やばい、あと数日で色々使いこなせないとこの人達から見捨てられる。」

「死ぬ気でやらないと、この居場所を失ってしまう。」

愛華は自分の力の無さを痛感する。


「深森」のダンジョンは緩やかな坂道で構成されていた。

涼音と愛華はゆっくりと穴を下って行った。


所々で妖魔の気はするが、ちょっかいは全くなかった。

恐らく涼音の気に反応しているのだろう


しばらく進むと戦いの気配を感じた。


「おぉ」涼音は感じ取る。

これは存在を否定する波動。

(いったい何がこんな波動を出して戦いを行っているんだろう?)

涼音は自分が浮き浮きしているのを感じた。


愛華も何かを感じているようだ。

「愛華。」涼音が言う

「何?」愛華が答える。

「「隠形」出来る?」涼音が問う。

「少しなら。」愛華が答える。


「隠形」その名の通り自分の存在を消すスキル。

「やってみて。」涼音が言う。

「ん。」と愛華が言うと愛華の存在が希薄になる。


(何とか及第点かな?)涼音が思う。

「今からあたしもするけど、見失わないでね。」涼音が言う。

「それと、戦闘している場所に行くから覚悟もしてね。」


「分かった。」愛華が答えた瞬間、涼音の存在が消えた。


(え?)愛華が驚愕する。

そこに涼音が見える。

でも存在しない。

(見失うなってこういう事か。)愛華は色々と自分が至っていない事を痛感する。


理沙様が言う「使えない」と言う言葉を思い出す。


すると涼音は普通に歩き始めた。

愛華は焦りながらそれに続く。

(私の隠形は通用しているのか?)愛華は思う。

幸か不幸か戦いの場所まで妖魔のちょっかいは無かった。

(きっと涼音の力なんだろうな。)愛華が理解する。


戦闘が行われている場所に着いた。


「愛華、隠れて。」堂々と立ちながら涼音が言う。

愛華はそれに従って岩陰に身を隠す。


そこには愛華の目からは「緑色の影」と数匹の「キラータイガー」が大きな樹の下で対峙しているのが見えた。


(き、キラータイガー?)愛華が声を出さずに驚愕する。

(初めて見た。)愛華が思う。

(でも、一匹なら勝てそうかな?)愛華が自分の現在の力と比較してそう思った。

(しかし、相手をしている緑の影はいったい何だろう?)愛華が疑問に思ったとき涼音が右手の親指と中指を輪にして戦いをのぞき込む。

「へぇ~。」涼音が小声で呟く。「初めて見た。」


(あれ?私と同じこと言ってるぞ?)と愛華が思うが(いやいや、きっと緑の影の方を看破して言ってるんだろうな。)と愛華は思い直し戦闘を行っている場所を見る。


愛華の感覚では、存在を否定する波動を出しているのは「キラータイガー」であった。

(私の見立てでは「キラータイガー」って結構強そうに思えるんだけど。)愛華が考える。

(真の守の王を見た後だと象と蟻位の差に感じるな。)

と思った刹那、愛華が心にダメージを受ける。

(私も蟻レベルってことかぁ(涙))


(なんか愛華が一人で浮き沈みしているように感じる。)と思ったが、涼音は何も言わずに戦況を見守っている。

今のところ、戦闘に介入するつもりは無いようだ。


この場所に着いて、すでに数分が経過しているが、「キラータイガー」は攻撃を躊躇しているように見える。

(あの影は何だろう?)愛華が思う。

何者なのか分からない。しかし「キラータイガー」が攻撃をしないだけでなく、それが何なのか理解できない状態で混乱しているから存在を否定する波動を出しているのだと愛華が理解する。。



その時、「おっと。」と言いながら涼音が結界を張る。

「キラータイガー」が識別のスキルを使ったようだ。


涼音の結界のおかげで涼音と愛華、二人の存在は隠蔽されている。


しかし、「キラータイガー」の混乱は解消されていないと愛華は感じる。


「レジスト?」愛華が小声で言うと、涼音がこくりと頷く。


「何で終わらせないんだろう?」涼音が小声で言う。

「結構なレベル差があるから苦労しないだろうに。」


「戒律か修行なのかな?」涼音が言う。


更に数分が過ぎた時、愛華の目の前から涼音が消えた。

(え?)それを見た愛華が恐怖を感じる。(置き去りにされた?)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ