訓練と言う名の死
朝日が出る前にフォンとライラは家を出ていた。
まだ春前なので外気は寒い。そんな中でもライラは薄着で仁王立ちしていた。
「フォン早速修行始めようか。」
とやる気満々な表情で言っている。
母さんはなぜあんな薄着で寒くないんだ?やはり少し抜けてるからか?
と思っているとジト目でこちらを見てきた。
「なんかへんなこと考えてない?」
「考えてなんかないよ?!」
何でこっちの考えてることがわかるんだ?!
と内心びっくりしながらばれないように母さんを見ていると一呼吸したうち
「訓練はじめよっか。」
と笑顔で言ってきた。
「フォン。最初に訓練すべきなのはなんだと思う?」
と質問してきた。
それはもちろん基礎ステータスだと思う。
筋力や体力を上げるところから始めなければ、剣がうまく扱えないのと怪我をしてしまうからだ。
ある程度の基礎ができていれば飲み込みも早いだろう。
「筋力や体力?」
と答えると母さんは「正解」とうれしそうな顔で言っていた。
「わかっているなら話が早いわね。じゃ、山を一周しようか。」
と普通に言ってのけた。
は?え、嘘だろ。確かに俺たちの家の前には山があるけど富士山ぐらいありそうな山を一周?!何時間かかると思ってるんだ?!
と俺が顔を引きつっていると、
「大丈夫よフォン。人間こんなことで死なないから!最初は母さんも一緒に行くから!」
というと俺の手をつかんで走る体制をした母さん。
いやちょっと待って心の準備が・・・
「れっつごー!!」
と元気に言った瞬間母さんは走り始めた。
ああこうなりゃやけだ!!どうにでもなれ!!と思い走り始めたのだった。
人がこの光景を見たら不思議がるだろう。
普通親と子が手をつないでいると子供が母親を引っ張っていくはずなのに、フォンたち親子の場合は母親が子を引っ張っているのだから。
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山をなんとか一周走り終わったときには昼だった。太陽が空の真ん中にサンサンと輝いているからだ。
走り終わったフォンは寝転んでいた。もう手も足も使えないと言っているようなすばらしい大の字で寝転んでいる。
走り終わったライラはすぐさま家に入り何か持ってきそうな感じだった。
しょっぱなからなんて厳しい訓練だ母さんアホなの?
と思っているとき家の玄関からすさまじい音がした。
ライラが持っていたのは某有名な野球漫画に出てきそうな体を固定するものだった。
なんだあれ?!あんなものを着てこれから修行するのか?!いやそんなことはないきっと何かの間違いだよそうに違いない訓練初日から弟子を殺す人がどこにいる?いやいないね。それが正真正銘のアホだったら話は違うが・・・・
と頭の中で現実逃避しているときに悪魔のささやきがフォンの耳に届いた。
ライラはドヤ顔しながら
「これを着て筋トレよ!!とりあえず今日はマラソンで疲れているだろうから、腕立て100腹筋100背筋100でいいわよ。」
と笑顔で言ってきた。
神様今日俺は殺されるかもしれません。実の母親の手によって・・・
フォンが心の中で神様に言っているとき、またもや悪魔のささやきが
「さあ早く!フォン立ちなさい、そして早くこれを着る!」
と言ってきたのだった。
やるしかないのか・・・俺終わった後生きてるのかな・・・
と嘆いていながらフォンは立ちあがってそれを着た。
その訓練後フォンが意識を失っているのがアーグルにみっかって、ライラがこってり怒られたのは当たり前のことだった。
目覚めるとそこは自分の部屋だった。外は月が街を照らしていた。
フォンが意識をどんどん取り戻してくると急激な体の痛みとものすごい空腹を感じた。
まあ昼も夜もメシを食べていなければこうなるよな。なんか食べ物あるかな
と激痛を感じながらもベッドから出て食べ物を探しにいくと、リビングにアーグルが本を読んでいた。
アーグルはすぐに気配に気づいてフォンの方を向いた
「あ、フォン起きたんだ。リビングに何か用?」
と不思議そうにたずねた。
「おなかがすいちゃって。何か食べ物ある?」
とフォンが言うとアーグルは理解したようだった。すると立ち上がって
「なにか温かいスープでも作るよ。すぐにできるからまってて。」
といってパタパタと音を出しながら台所に向かっていった。
何分かしたときにアーグルはお盆においしそうなスープを持ってきてくれた。
「熱いから気をつけてね。」
と言いながらフォンに渡した。
「ありがとう父さん。」
スープをもらうとおいしそうにフォンは飲んだ。
スープを飲み終えるとアーグルは心配そうな顔をして
「ライラの訓練大丈夫?耐えれそう?」
と聞いてきた。
心配するのも無理ないよなぁと思いながら
「たぶん大丈夫だよ。このぐらいしなきゃ強くなれないだろうから。」
と答えるとアーグルはほっと息をはきながら
「それならいいんだけどね。ライラはすぐ暴走するからな心配なんだよ。」
と苦笑しながら言った
「なんとなくそんな感じがするよ。昔からあんな感じなの?」
とフォンが聞くと、昔を懐かしむか顔で
「うん、そうなんだよ。昔から僕が後処理をさせられてたよ。」
と遠い目をしながら言ってきた
ああこれは父さんそうとう苦労したんだなと思っていると疑問が出てきた。
「昔の父さんたちって何してたの?」
と質問した。
するとアーグルは照れくさそうに
「王宮直属の騎士団長と宮廷魔道士だったんだ。」
という爆弾発言をした。




