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彼女と僕の奇妙な日常【小説家になろう!】  作者: MOH
前日譚 『この展開は!』(彼女と僕が出会った理由)

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バニーガール?(とある受験生のつぶやき)

 彼女が『変態』を繰り返すから、思い出したくもない当時の状況を、かいつまんで説明することにした。

 彼女も同じクラスにいたはずだけど。


 話し始めると、あの班のリーダーが諸悪の根源だったことに今更ながら気がついた。映画撮影の班分けをした後、班のリーダーになった彼が「放課後、俺んちに集合」と勝手な号令を掛けたんだ。

 彼の自宅は地下室へ来る途中に歩いた商店街にある、というかあったと言うべき電気屋さん。アイツが『涼宮ハルヒみたいな映画を撮りたい』と言った理由が直ぐ分かる、あのアニメの中の映画撮影に出てくる街の電気屋さんにそっくりなお店。


 彼は電気屋さんの2階自宅、板張りの部屋に集まった班のメンバーに説明を始めた。

「あの映画の肝(キモ)は朝(・)比(・)奈(・)み(・)く(・)る(・)の(・)バ(・)ニ(・)ー(・)ガ(・)ー(・)ル(・)。だから準備してきた」

 そう言ってドンキホーテの袋からペラペラのバニーガール衣装を自慢げに取り出したんだ。その衣装を見て誰れかがツッコミを入れた。

「そんなの誰が着るの? 女子に頼めるわけないし」

 自分も含め他のメンバー全員が激しく首肯したのを覚えている。


 そこでアイツは当たり前のようにこう言ったんだ。

「『自給自足』『信ずるものは救われる』この班の誰かがこれを着てプラカードを持って商店街の宣伝をするの。うちの高校は進学校だから文化祭には中学生が親同伴でたくさん観に来るよね?」


 親と一緒ではないけど中学3年の時、友達と文化祭を観に来たのは覚えている。

 でもそれとバニーガール姿は関係ないだろう? その場でそんなことを言った気がする。


 いつもは大人しいのに、そういう時に限ってアイツはリーダーぶって語るヤツなんだ。

「そこが甘いね。こんな地方の県立高校、とは言っても県内有数の進学校だよ。在校生の多様性を示さないとね。男子生徒がバニーガール姿で商店街を練り歩いて話題になれば、街の活性化につながるし公営放送がローカルニュースで取り上げれば、全国ニュースに流れるかも知れない。そうしたらこの街がまた盛り上がるんじゃないかな」


 その熱弁を聞いて班の誰も抗議をしなかったのは覚えている。アイツは寂れていく地元の商店街、もっと言うと自分ちの電気屋さんを何とかしたかったのだと察して、その場にいたみんなが断りにくい雰囲気になったんだ。

 そこまで言うのなら、アイツのバニーガール姿に付き合おうという流れになったんだけど、そこからがヤツらしいというか、何というか。


「バニーガール姿で商店街を盛り上げる映像を撮るのにみんな賛成したから、このクジを引いてくれる?」

 アイツはみんなの前に、あらかじめ線を引いてあるアミダクジを出してきたんだ。


『それはないだろう』とみんなが文句を言うと、ヤツはシラっと言ったんだ。

「自分が買ってきた衣装を自分で着て自分が出演したら、班の意味がないでしょう? 学校の文化祭だからみんなで作らないと。出演する権利はみんな平等にチャンスがないとね」


 そんなチャンス、欲しくなかったんだけど。


 リーダーからもっともらしいことを言われ、誰も咄嗟(とっさ)に反論できず、みんなは渋々とアミダクジを引いたんだ。結果はもう分かるよね、僕はこんな時だけクジ運が強くて当たりを引いてしまうんだ。


 それからカツラ被り化粧までさせられて看板を持たされたバニーガール姿になって、地元商店街を宣伝する映像を撮らされたわけ。そんな日に限って、いつもは閑散としている商店街に人通りは多く、知らない人からたくさん写メされて恥ずかしかったなぁ。公営放送の取材が来なかったのは良かったけど。


 文化祭当日は『学校の中では盛り上がった』とだけ言っておこう。街中で評判にならなかったのが不幸中の幸い。

 全国ネットにも載らなかったからね。


(つづく)

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