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星の降る道ⅰ 死者の星環  作者: 超魔王
隊商の道
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30/65

ラクダ

メルヴァーンを出たとき、僕は何度も後ろを振り返った。


人がいる。


五人も増えている。


馬も増えた。


ラクダまでいる。


荷には、ナーヴァンから運んできた絨毯と、ナディラが買った赤や青の石がある。


僕の青い石も、その中にあった。


「大きくなったね」


僕が言うと、ダルガンが振り返った。


「何が」


「僕たち」


「八人だぞ」


「三人だったんだよ?」


僕には、ずいぶん大きくなったように見えた。


ダルガンとナディラと僕だけだった。


それが今では、ハミドさんたち五人がいる。


夜だって交代で見張れる。


荷物を見ている人がいるから、全員で同じところへ行く必要もない。


僕はちょっと立派な隊商になった気がしていた。


ところが、半日もしないうちにその気分はなくなった。


前から隊商が来た。


馬が七、八頭。


ラクダが五頭。


人も十人くらいいる。


先頭の男が片手を上げた。


ダルガンも上げた。


それだけですれ違った。


その後ろから、また来た。


今度は馬が多い。


次はラクダばかりだった。


昼には僕たちより少し小さな隊商を追い越した。


夕方には、数えるのをやめたくなるくらい長い隊商に追い越された。


「……僕たち、小さいね」


「だから言っただろ」


「言ってないよ」


「思ってた」


それは言ったことにならないと思う。


メルヴァーンから先は、山の道ともカルバーブの道とも違った。


空が広い。


地面は乾いている。


麦畑が途切れると、背の低い草ばかりになった。


その向こうには石だらけの土地がある。


さらに遠くには、茶色い山が見えた。


砂のたまった場所もあった。


でも、ずっと砂ばかりではない。


水のあるところへ来ると、急に木が増えた。


畑がある。


羊がいる。


家がある。


宿がある。


そこを過ぎると、また乾いた土地になる。


僕たちは馬とラクダを一緒に連れて進んだ。


ほかの隊商も同じだった。


「全部ラクダじゃ駄目なの?」


僕が聞いた。


「駄目じゃねえ」


ダルガンが答えた。


「じゃあ、なんで馬もいるの?」


「乗るからだ」


「ラクダにも乗れるよね」


「乗れる」


「じゃあ――」


「馬の方が速い」


「じゃあ全部馬」


「荷が減る」


「じゃあラクダ」


「遅い」


僕は黙った。


ハミドさんが笑った。


「だから両方いるんだよ」


最初からそう言ってほしかった。


夜になると、八人で野営した。


三人のころより、ずっと賑やかだった。


誰かが馬を見る。


誰かがラクダを見る。


誰かが火のそばにいる。


見張りも交代できる。


僕が寝るころにも、まだ誰かの声が聞こえていた。


翌朝。


ダルガンが火を起こしている横で、ハミドさんが街道を見ていた。


僕もそちらを見る。


遠くに、黒いものが動いている。


「また隊商?」


「そうだな」


近づいてくるにつれて、人と動物に分かれた。


馬。


ラクダ。


荷車までいる。


「みんなサルマンドへ行くの?」


「そんなわけねえだろ」


ハミドさんが言った。


「途中で売る奴もいる。北へ行く奴もいる。南へ行く奴もいる。サルマンドから来た奴もいる」


「じゃあ、分からないね」


「分からなくていいんだよ」


街道はいくつも枝分かれした。


そして別の道と合流した。


朝にはいなかった人が、昼には僕たちの前を歩いている。


一緒だった人が、次の分かれ道ではいなくなる。


僕は三日目には、誰がどこから来てどこへ行くのか考えるのをやめた。


ただ、一つだけ分かった。


東へ進むほど、人が増えている。


道も増えている。


荷物も増えている。


ある日の午後、僕たちは高いところを通った。


乾いた風が吹いていた。


遠くに、何本もの道が見えた。


その上を、小さな列が動いている。


一つ。


二つ。


三つ。


もっとある。


「全部、道?」


「そうよ」


ナディラが言った。


「最後はだいたい同じ方へ集まるわ」


「どこ?」


ナディラは東を指した。


「サルマンド」


僕はそちらを見た。


まだ町は見えなかった。


見えるのは、乾いた大地と、遠い山だけだった。


でも、その町へ向かっている人たちは見えた。


僕たちも、その一つだった。

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