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星の降る道ⅰ 死者の星環  作者: 超魔王
遠ざかる道
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北門への道

北へ向かうほど、道を行く商人が増えた。


荷車、馬、驢馬、羊。


王都の近くとは違う言葉も聞こえる。


北門はカルバーブ北部でも大きな門の一つだった。


そこを抜け、その先の道を使えば、やがて東へ回ってサルマーンへ向かうことができる。


少なくとも僕は、そう聞いていた。


ところが昼過ぎ、ダルガンが知り合いの商人を見つけて馬を止めた。


「おお、ダルガンじゃねえか!」


「久しぶりだな」


男たちは笑って肩を叩き合った。


僕は少し離れて待った。


旅に出てから知ったけれど、ダルガンとナディラには、こういう知り合いが驚くほど多い。


町の商人だけじゃない。


馬を売る人、羊を運ぶ人、荷車を貸す人、宿の主人。


道そのものに知り合いがいるみたいだった。


やがて話していた男の声が小さくなった。


「お前、北門抜けるのか?」


「ああ。そのつもりだ」


「やめといた方がいいぞ」


ダルガンの顔が変わった。


「何かあったか?」


「知らん」


「知らんのかよ」


「知らんから怖えんだよ」


男は北を指した。


「兵が増えてる。荷だけじゃねえ。人の顔まで見てやがる」


別の商人が言った。


「東も面倒らしいぞ。南もだ。役人がやたら細かく人を見てるって話だ」


「西は?」


「さあな」


男は首を振った。


「ヴァルダーン大公の領地だろ。中央の命令がどこまで行ってるのか、こっちじゃ分からん」


それに西はサルマーンとは反対だった。


ダルガンはしばらく考えた。


それから、


「分かった。助かった」


とだけ言った。


別れてから、僕は聞いた。


「どうする?」


「見るだけ見る」


「北門を?」


「ああ。ただし、近づきすぎねえ」


ナディラも反対しなかった。


その日の夕方、北門に近い町へ入った。


そこでダルガンが突然、ナディラに言った。


「少しだけ宝飾品を見繕ってくれ」


「売り物?」


「いや」


ダルガンは答えた。


「贈り物だ」


誰に贈るのかは言わなかった。


ナディラも聞かなかった。


僕は一緒に小さな宝飾店へ入った。


ナディラは店に並んだ品を一つずつ見た。


手に取る。


裏を見る。


光にかざす。


店主と二言三言話す。


最後に選んだのは、青い石を使った首飾りだった。


「ラピスラズリね。派手すぎないし、これならいいと思う」


ダルガンは値段を聞き、少しだけ交渉して金を払った。


「ありがとう」


「どういたしまして」


僕は聞いてみた。


「誰にあげるの?」


「知り合いだ」


それだけだった。


翌朝。


僕たちは荷物をできるだけ宿に残し、北門の様子を見に行った。


門が見えてくる前から、いつもと違うことは僕にも分かった。


兵が多い。


多すぎる。


「……何かあったのかな」


ダルガンは答えなかった。


僕たちは人の流れに混じったまま、ゆっくり進んだ。

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