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星の降る道ⅰ 死者の星環  作者: 超魔王
遠ざかる道
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もう一度、頼む

ダルシャン王堰を出る前に、ダルガンが僕に聞いた。


「それで、お前はどうしたい?」


「どうしたいって?」


「兄貴の仇を討ちたいのか?」


水門の向こうで、水が白く砕けていた。


僕はすぐには答えられなかった。


兄の仇を討つ。


叔父上と戦う。


国を取り戻す。


どれも、口に出してしまえば簡単そうだった。


でも、僕にはまだ、何が起きたのかさえ分からない。


「……分からない」


ダルガンは何も言わなかった。


「兄が宮殿に火をつけたっていうのも、僕には分からない。兄はあの日の昼まで普通に仕事をしてたんだ。報告を読んで、明日の予定の話もしてた」


あの夜の兄の顔を思い出そうとした。


うまく思い出せなかった。


「それに、僕まで死んだことになってる」


「それは間違いなく嘘ね」


ナディラが言った。


「うん。僕、生きてるから」


自分で言って、少し変な気分になった。


「なのに、まだ誰かを探してる。王宮から何かがなくなったって噂まである。アルダーンの印だとか、騎士団の印だとか、聞くたびに話が違うけど」


僕は二人を見た。


「このまま、兄がおかしくなって宮殿を焼きました、僕も死にました、で終わるのは嫌だ」


仇討ちをしたいのかは分からない。


王になりたいのかも分からない。


でも。


「何が起きたのか知りたい」


ダルガンが頷いた。


「なら?」


僕は姿勢を正した。


最初に頼んだときとは、もう事情が違う。


僕が何者なのか、二人は知っている。


それでも頼むなら、もう一度ちゃんと言うべきだと思った。


「ダルガン。ナディラ」


二人を見る。


「改めてお願いします。僕をサルマーンまで連れていってください。大図書館へ行きたい」


しばらく二人とも黙っていた。


先に口を開いたのはダルガンだった。


「何を今さら」


「え?」


「最初からそのつもりだ」


ナディラも笑った。


「途中で捨てるつもりなら、こんなところまで連れてきてないわ」


「……ありがとう」


「ただし」


ナディラが指を一本立てた。


「今までより面倒な旅になるわよ」


「分かってる」


ダルガンが僕を見た。


「本当に?」


「……たぶん」


「なら、まだ分かってねえな」


そう言って歩き出した。


僕もそのあとを追った。


堰では、何事もなかったように水が流れていた。


僕たちは、その水とは違う方角へ向かった。


サルマーンへ行くために。

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