招待状
ジュリエッタがジャイアントセンティピードにトドメを刺した。
「くぅ~、ムカデってやっぱ嫌いだわぁ!」
ジュリエッタがクローに付いたムカデの体液を、土に擦り付けている。
「ジュリエッタ!大丈夫か!?」
アレクセイが駆け寄る。
「フン!かすり傷だよ!大丈夫!」
ジュリエッタが両手に腰に当てて、胸を張る。
「馬鹿野郎!相手はムカデだぞ!毒が回ったらどうする!イラーリア、アンチドーテを頼む!」
アレクセイが声を荒げて言う。
「は〜い、任せてぇ〜」
イラーリアが神に祈りを捧げて、魔法を行使する。
「いやぁ~腹ペコだね!」
ジュリエッタが右手をぐるぐる回して叫ぶ。
「とにかく、薬草のタイムはこんなもんだろ、これでコルネリア嬢の依頼は達成だな」
アレクセイが薬草を入れた袋を確認する。
「私もぉ〜腹ペコォ〜」
イラーリアはジュリエッタに肩を組まれて、楽しそうに笑っている。
「じゃあ帰るか」
アレクセイが笑顔で言った。
その日の深夜、アレクセイ達は星の導き亭に付いた。
「ん?」
アレクセイは店のドアに、何かが括り付けられているのに気付く。
「これは、聖印のレプリカか・・・不死の神、女神イライザの紋章!?どうして!」
アレクセイは仰天する。
「どしたの?早くご飯を・・・」
ジュリエッタが何かを言おうとしたのを、アレクセイが遮る。
「シャロンさんに知らせないと!」
そう言うと、慌ててドアを開けて、シャロンを探す。
「おかえり!お疲れ様でした!」
アルジェンヌが声をかけてくる。
「シャロンさんは!?」
アレクセイが汗だくでアルジェンヌに問う。
「シャロンさーん!」
アルジェンヌがカウンターを見て叫ぶ。
「ああ、アレクセイ、ジュリエッタ、イラーリア!お疲れ様、無事で何よりだわ」
シャロンがカウンターから駆け寄る。
「アルジェンヌ、今日も大盛りで!」
ジュリエッタが空気を読まずに大声を出す。
「わたしもぉ〜」
イラーリアもジュリエッタに続く。
「シャロンさん!こんな物が店のドアに!」
アレクセイは深刻な顔でシャロンに先程の聖印のレプリカを見せる。
「え!?これはイライザ教の紋章!」
シャロンの表情が一気に険しくなる。
「ひょっとして、挑戦状ですかね?」
アレクセイが不穏な表情で言った。
「な〜に〜、お金でも拾ったの〜」
ラナが話に入ってくる。
「ん?イライザ教の紋章?・・・アレクセイ!あんた入信したの!?」
ラナはすでに出来上がっている。
「シャロンさん、皆を集めますか?」
アレクセイがラナを無視して話をする。
「・・・」
シャロンが紋章をじっくり観察する。
「!」
シャロンが何かに気づいたのか、目を大きく見開いた。
「・・・ラファエラ」
シャロンが小声で呟く。
「ラファエラ?」
アレクセイが聞き返す。
「ラファエラ?なにそれ?」
ラナも聞き返す。
「よくは知らないけど、ランディルで猛威を振るったイライザ教の神官よ」
シャロンの顔が不穏に満ちてくる。
「そいつがなんで店に?やはり挑戦状・・・」
アレクセイが顎に手を当てて考える。
「招待状だったりして」
ラナがそう言って、ラム酒の瓶をラッパ飲みする。
「そうね・・・とにかく、これは由々しき事態よ、ラファエラがマジャルダに来ている可能性があるわ」
「いい?ラナ、この事をすぐにスカウトギルドに報告して注意喚起して、私は警備隊に行ってくる」
シャロンが完全に仕事モードになっている。
「あいよ〜、すぐ行った方が良さそうね」
ラナはラム酒を持ったまま、スカウトギルドに向かう。
「アレクセイ、ありがとう、とにかくこの事は、今は黙っててちょうだい、他のメンバーには私から話すわ、いいわね」
シャロンはアレクセイに語気を強めて言う。
「わかりました」
アレクセイがそう言うと、シャロンがその言葉を聞かずに出ていった。
「お~い!アレクセイ、今日のシチュー、激ウマだぞ〜、お前の分も食うぞ〜」
ジュリエッタの能天気ぶりに、アレクセイは大きなため息をついた。




